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PICプログラミングと制御実験

たのしくできる
PICプログラミングと制御実験

A5判 220ページ 並製
価格:3,190円 (消費税:290円)
ISBN978-4-501-53460-8(4-501-53460-5) C3004
奥付の初版発行年月:2002年03月 / 発売日:2002年03月中旬

内容紹介

趣味から実用制御回路まで,平易に幅広く解説

 近年,PIC(ピック)というワンチップマイコンエレクトロニクス関連誌において数多く紹介されている。また,入出力回路やメモリをワンチップに納めた PICは工業高校などの教育現場においても注目を集めている。
 本書は,もっともポピュラーなPIC16F84Aのみを用い,PICのプログラミングから周辺回路の動作原理までをやさしく解説。遊びや趣味の世界にとどまらず,各種モータ・センサ回路・7セグメント表示器など,実用的な制御回路について解説した。

前書きなど

 ここ2,3年の間に,PIC(ピック)と呼ばれるワンチップマイコンとその回路が,単行本やエレクトロニクス関連の総合誌で,数多く紹介されるようになってきた。このなかでも,本書で使用するPIC16F84Aは,フラッシュプログラムメモリ搭載なので,何度でもプログラムを即時消去し,簡単に書き換えができる人気のあるPICマイコンである。
 PICへの関心が高まるなかで,著者は,所属する神奈川県工業教育研究会機械部会より夏季研修会(2001年7月23,24日参加者10名)の講師を依額された。「リレーシーケンス回路の実験とPIC回路の製作」という名称の研修会で,内容は,本書で取り上げる,リレーシーケンス回路,救急警報回路,LEDの点灯移動回路,DCモータの制御回路とした。自作テキストをもとに,PIC回路の製作とプログラムの書き込みを中心として,2日間にわたり実習形式で行われた。市販のPIC回路のキットのように,PICのプログラム内容がわからないようでは,ただ作るだけになってしまうので,プログラムと PIC回路の動作原理を説明し,PICのブラックボックス化を避けることに配慮した。参加者へのアンケートによると,「役に立った」,「来年度も続けてはしい」という感想や意見も多く,工業教育の現場でも,PIC回路への関心が生じてきたと思われる。
 著者は工業高校に勤務するなかで,上記の神奈川県工業教育研究会機械部会の計測・電気分科会に18年間も所属し,センサ回路,マイコン制御,ポケコン制御,メカトロニクスなど,多くのことを学び,経験を積ませていただいた。この経験は,本書のPIC周辺装置の記述に反映されている。この分科会の活動方針は,会員一人ひとりが回路や装置を製作し,実験をすることによってその理論や動作原理を理解し,わかりやすい教材作りをすることである。本書もこの方針にならい,PICによる制御実験のハードウェアとソフトウェアについて,基礎から学ぽうとしている方々に役立つように,以下の点を留意してまとめた。
 1.本書のすべての回路や装置は製作することができる。
 2.PICの初学者には,プログラムのしくみの理解が難しいかと思う。このため,フローチャートと全プログ
  ラムを記述し,そのどちらも,プログラムを理解するための説明を詳しく述べる。
 3.同様に,PIC回路とその周辺装置の動作原理やしくみを詳しく解説する。
 4.PICが遊びや趣味の世界にとどまらず,実用的な制御回路に生かせるよう,各種のモータ,センサ回
  路,7セグメント表示器などを取り入れ,基礎的ではあるが実用化を目指す。
 5.プログラムを作るには,PICの命令語のはかに,PICの基本構成,プログラムメモリ,各種レジスタ,I/O
  ポートなどハードウェアの知識が必要となる。これらの基本的な内容を記述する。
 6.プログラム開発環境ソフトMPLABの使い方は,そのインストール,ソースファイルの作成,プロジェクト
  ファイルの作成,アセンブルと順を追って説明する。手順に従えば,間違いなくHEXファイル(機械語)が
  できるよう,図解する。
 7.付属CD−ROMに最新版MPLAB Ver.5.50と本文中の全プログラムを収録し,プログラムがすぐ利用で
  きるようにする。
 8.新発売PIC対応のポケコンPC-G850VとPICライタを使用した,PIC開発の流れを詳しく解説する(PC-
  G850Vは,一般には市敗されておらず,教育機関でのみ入手可能)。
 本書の特徴は,プログラムのしくみを詳しく述べ,各種のモータ,センサ回路,7セグメント表示器,割込み実験など,基礎的でもあり,また,実用的回路を取り上げている。このため,ハード・ソフト両面の技術的なバランスがとれている。本書が,読者の方々のPIC技術の向上に貢献できれば幸いである。
 最後に,企画・出版に至るまで,終始多大な御尽力をいただいた東京電機大学出版局の石沢岳彦氏をはじめ,関係各位に心から御礼を申し上げる次第である。

2002年2月
著者しるす


目次

1 PIC16F84A
1.1 PICとは
 1.2 PIC16F84Aの外観と各ピンの機能
 1.3 PIC16F84Aの特徴
 1.4 PIC16F84Aの基本構成
 1.5 PICの命令
 1.6 プログラムメモリ
 1.7 ALU・Wレジスタとファイルレジスタ
 1.8 I/Oポート
2 PICの基本回路
 2.1 救急警報回路
  2.1.1 救急警報回路と各部品の働き
  2.1.2 救急警報回路のプログラム
  2.1.3 プログラムで使用した命令
  2.1.4 タイマサブルーチンのタイマ時間の計算
 2.2 LEDの点灯移動回路
  2.2.1 LEDの点灯移動回路とプログラム
  2.2.2 プログラムで使用した命令
3 DCモータの制御
 3.1 DCモータの正転・逆転・停止・ブレーキ回路
 3.2 PWM制御回路によるDCモータの速度制御
  3.2.1 PWM制御回路とその周辺回路
  3.2.2 DCモータの速度制御プログラム
  3.2.3 プログラムで使用した命令
4 単相誘導モータの正転・逆転制御
 4.1 リレーの基本回路
  4.1.1 押しボタンスイッチ
  4.1.2 リレーの構造と動作
  4.1.3 シーケンス図
  4.1.4 自己保持回路
 4.2 リレーシーケンス回路
  4.2.1 自己保持回路とインタロック回路
  4.2.2 単相誘導モータの正転・逆転回路
 4.3 PICによる単相誘導モータの正転・停止・逆転制御
  4.3.1 PICで制御する単相誘導モータの正転・逆転回路
  4.3.2 単相誘導モータの正転・逆転回路のプログラム
5 ステッピングモータの正転・逆転・位置決め制御
 5.1 ステッピングモータ
  5.1.1 ステッピングモータとその特徴
  5.1.2 2相ステッピングモータの駆動回路と励磁方式
 5.2 ステッピングモータ駆動一軸駆動装置
 5.3 押しボタンスイッチによるテーブルの左移動と右移動
 5.4 リミットスイッチを利用したテーブルの往復移動
 5.5 一軸制御装置の原点復帰と定位置自動移動
6 センサ回路を利用した実用回路
 6.1 超音波センサと衝撃センサによる防犯装置
  6.1.1 超音波センサの概要
  6.1.2 超音波センサの構造と原理
  6.1.3 超音波送信・受信回路
  6.1.4 衝撃センサの原理
  6.1.5 衝撃検知回路
  6.1.6 防犯装置のプログラム
 6.2 ヒステリシスON-OFF温度制御
  6.2.1 ヒステリシス温度スイッチ
  6.2.2 PICによるヒステリシスON-OFF温度制御
7 セグメント表示器の点灯制御
 7.1 ダイナミック点灯制御
  7.2 3桁加算カウンタ
  7.3 3桁減算カウンタ
8 LED点灯回路による割込み実験
 8.1 LEDの点滅制御
 8.2 10個のLEDの右点灯移動
 8.3 LEDの点灯移動と点滅制御をモデルにした割込み実験
9 MPLABとPICライタ
 9.1 MPLABのセットアップ
  9.1.1 MPLABのインストール
  9.1.2 Projectフォルダの作成
  9.1.3 MPLABのショートカットアイコンの作成
  9.1.4 開発モードの設定
  9.1.5 ソースファイルの作成
  9.1.6 プロジェクトファイルの作成
  9.1.7 MPLABの終了と再起動
  9.1.8 プロジェクトのCloseとOpen
  9.1.9 アセンブル
 9.2 PICライタによるプログラムの書込み
  9.2.1 PICライタ
  9.2.2 プログラムの書込み
  9.2.3 プログラミング済みPICからのデータリード
10 ポケコンによるPIC制御
 10.1 ポケコンによるPIC開発の流れ
 10.2 使用可能なPICの機種
 10.3 機械語エリア(ユーザエリア)の確保
 10.4 ソースプログラムの作成
  10.4.1 ソースプログラムの構成
  10.4.2 ソースプログラムの消去
  10.4.3 ソースプログラムの入力
  10.4.4 自動行NO.付加コマンド“AUTO”とRENUM命令
 10.5 プログラムファイル
 10.6 アセンブラ
  10.6.1 INCLUDEの書式
  10.6.2 疑似命令
 10.7 パソコン用からポケコン用へPICプログラム変換のポイント
 10.8 アセンブル
 10.9 ローダー
 10.10 PICライタCT-PIC/W1
 10.11 サンプルプログラム
参考文献
索引


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