シミュレーションによる
システムダイナミックス入門 STELLA体験版CD付
価格:3,190円 (消費税:290円)
ISBN978-4-501-54040-1(4-501-54040-0) C3004
奥付の初版発行年月:2005年11月 / 発売日:2005年11月下旬
体験版ソフト付き入門書
システムダイナミックスの2つのソフトウェアはSTELLAとithinkで現在アメリカでは高校の教科の一部に取り入れられている。研究機関,政府機関,大学等はいうまでもなく,広くビジネス業界に浸透している。システムダイナミックスをビジネスの大学院で教えている大学はマサチューセッツ工科大学,ニューヨーク州立大学である。ハーバード大学ではビジネスのトップ幹部が企業経営の全体を鳥瞰できるように企業スコアーボードというソフトウェアを学生に使わせている。システムダイナミックスの更なる展開を示す例である。このソフトウェアの開発会社であるHPS(現isee systems)は年間を通じてアメリカの主要都市で定期的にセミナーを開催し,筆者も2004年ボストンでこのセミナーに参加した。その感動がこの本を執筆するばねとなり,その影響は今日にも及ぶ。それまで,私を常に悩ませ続けていたことがあった。なぜ簡単にシミュレーションできる非線形モデル,フィードバックモデル,相互依存モデル,不測事態をモデルに組み込めないのか,という疑問である。やがてSTELLAとithinkの日本語版が利用可能となり,その感動を日本の読者と共有できることになった。この本が多少でも参考になれば,筆者として望外の喜びである。isee systemsのセミナー主催者,この本の出版を快諾してくださった東京電機大学出版局の植村八潮氏,本の執筆段階から協力をいただいた全国大学生活協同組合連合会の石野雅之氏,編集を担当された出版局の徳富亨氏の各氏に心から感謝したい。
2005年10月
筆者
目次
1 未来予測はシナリオ予測である
技術革新,過熱投資はバブルを生み出すが,同時にビジネスチャンスを提供する
ITにはできないところにビジネスチャンスがある
インターネットはWebサイトからユビキタスへ
個人資産を堅実に増やせる資産アドバイザー:リスク回避の名案はあるか
為替レートは大きく変動する
為替レートのポジション
未来予測はシナリオが必要
システムダイナミックスによる未来予測
2 システムダイナミックス入門
フローとストック
フロー,ストック,コンバータで複利計算
アルコール量の吸収と排出モデル
スカイダイビングとパラシュート
新製品の普及
自己の業績評価
ウサギとオオカミの共存
連鎖反応
心理的モデルの構築ができる
ストックとフローの適応例
予測思考
既存の分析思考と因果関係モデル
未来予測にはどのような手法が使われているのか
シナリオとは未来のトレンドを読み込み
構造変化をシナリオに託す
状況変化を想定し,コンバータを利用する
不測事態発生を組み込む:PULSE関数の役割
ダイナミックス思考の境界線:人間思考の限界
3 STELLA/ithinkの基本言語
はじめに
モデル作りの基本はストック,フローとコンバータ
ストック,フロー,コンバータの基本例
コンバータの役割
その他のツール
スライダー
説明ボタン
ノブ
チェーンスライダー
意思決定ダイヤモンド
スイッチ/チェインスイッチ
ナビゲーションボタン
注意情報を表示するメッセージ
4 曲線当てはめ
はじめに
トレンドをつかむには
7つの曲線
指数関数
増加指数関数の例
減少指数関数の例
S字曲線の成長
振動曲線
上昇と振動減少
急上昇と急下降
V字形パターン
曲線当てはめからの教訓
まとめ
5 モデル構築入門
はじめに
既存の統計分析モデル
パターンの確認
システムダイナミズムの基本
まとめ
6 システムダイナミックスによるモデルの紹介
はじめに
フィードバック
7 シナリオで予測する
はじめに
未来への動向を読み取る
構造変化を読み取る
今後の日本経済とアメリカ経済の見通し
構造変化をシナリオに組み込み
8 時間の遅れと調整モデル
はじめに
遅れの平均時間と遅れのパターン
認知による遅れ
意思決定のシステムイメージ
目的達成への調整
需要と供給による価格変化のメカニズム
PULSE関数による遅れ
その他の調整モデル
付録 モデル作成の方法
人口モデルの作成
人口モデルの定義
複利計算
イギリスのインフルエンザ
アルコールの体内吸収と体外排出
物体の落下
ウサギとオオカミの共存
付録CD解説
参考文献
索引