テレビゲーム教育論 ママ! ジャマしないでよ勉強しているんだから DON'T BOTHER ME MOM —I'M LEARNING
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-501-54230-6 C3037
奥付の初版発行年月:2007年07月 / 発売日:2007年07月上旬
テレビゲーム積極的な利用を提案.
日本語版読者の皆さんへのメッセージ
日本の読者の皆様
このたび、『Don’t Bother Me Mom — I’m Learning!(ママ、ジャマしないでよ—勉強してるんだから)』が日本語に翻訳されて、日本の皆さんのお目にかかる機会に恵まれたことを大変光栄に思います。本書が読者の皆さんにとって価値あるものとなり、皆さんのお役に立てばと願っています。
私の妻は日本人(神戸出身)で、息子は日米二つの世界に育っていますが(おそらくそのせいでなおさら)、私は日本の複雑な文化について知ったかぶりをするつもりはありません。ただ、日本の優れたゲーム業界のリーダーやゲームクリエイターたちの手によって、世界的に評価の高い数々のテレビゲーム機やゲームタイトル、ゲーム史に残るキャラクターたちが世に送り出されたことはよく知っています。日本は常にゲームの最先端にあり続けてきたため、おそらく日本の若者たちは世界のどの地域の若者たちよりも、ずっと長くて深いゲーム体験をしてきたのではないかと思います。そのため日本の若者たちは、テレビゲームの良いところにも悪いところにもたくさん触れて、とても大きな影響を受けているのではないかと推測しています。
私は日本の家族や家庭でのテレビゲームの利用のされ方について、とても関心があります。たとえば日本の親や教師たちは、アメリカの親や教師たちと同じように、あまりに長時間ゲームで遊ぶ子どもたちに対して不安を感じているのでしょうか。日本のマスメディアは、アメリカのマスメディアがやっているのと同じように、ゲームに関して誤った情報を親たちに送っているのでしょうか。日本の子どもたちは、アメリカの子どもたちと同じように、ゲーム世界での成功を認めてくれないといった経験をしているのでしょうか。
まだ私はこれらのことをよく理解していませんが、おそらく日本でもアメリカと同じようなレベルで、多くの家庭でゲームに関する誤解が存在するのではないかと思います。そしてゲームについての価値観の違いからくる世代間コミュニケーションの問題は、むしろアメリカよりも日本の方が深刻なのかもしれないと感じています。
もしこのような私の推測が当っているなら、本書はきっと役に立つでしょう。たとえ何かささやかなことであっても、たとえわずかひと家族だけでも、本書に記したことが日本の親子の理解を導くことに貢献できるなら、わたしにとってこれ以上うれしいことはありません。
ヨロシクオネガイイタシマス!
2007年2月
マーク・プレンスキー
目次
第1部 ゲームは敵ではない
第1章 もちろん心配でしょう—何が起こっているか知らないからです!
第2章 子どもとゲームについてのとてもいいニュース
第3章 でも、マスメディアで騒いでいるゲームの悪影響についての話はどうなの?
第2部 「デジタルネイティブ」の出現
第4章 子どもたちは私たちとは違う—彼らはネイティブで私たちは移民だ
第5章 ほんとに子どもたちの思考の仕方は違うのか?
第6章 オンライン世界で生活するデジタルネイティブたち
第3部 今のゲームは何が違うのか?
第7章 複雑さに意味がある—ほとんどの大人はまるでゲームを理解していない
第8章 子どもたちがゲームで遊んで学んでいるポジティブなこと
第9章 ゲームプレイのモチベーション
第10章 ゲームの適応性—本当の意味での「ノー・チャイルド・レフト・ビハインド」
第11章 ただのゲームではない—これはシステムだ
第4部 子どもたちが(自発的に)学んでいること
第12章 10歳の少年がゲームで学んだ経済とビジネスの教訓
第13章 子どもたちはゲームからどのように協調性を学んでいるか
第14章 (あなたが信じようが信じまいが)子どもたちはゲームから倫理を初めて学ぶ
第15章 優秀な人間になるための7つのゲーム
第16章 自分のゲームを作ろう—モディング
第17章 テレビゲームで健康増進(そう、テレビゲームで!)
第18章 子どもたちはケータイを使ってどんなことを学べるか
第5部 親や教師、すべての大人たちが子どものゲーム世界に入っていく方法
第19章 子どもたちと話そう—子どもたちの知識を尊重しよう
第20章 新しい言語—デジタル移民再教育のためのボキャブラリー
第21章 ゲームが役に立つと理解した親たちの教育法
第22章 みんなのゲーム—女の子、男の子、老いも若きも、家族みんなで
第23章 過去の「エデュティメント」からの脱却—カリキュラム対応型ゲームの到来
第24章 教師の皆さんへ—カリキュラムや教室で使えるゲーム
第25章 子どもたちが自ら学んでいること
第26章 あなたには子どもたち並に勇気がある?—自分で試してみよう!
第27章 今すぐやるべきこと
まとめ
あとがき
訳者解説—ゲームを取り巻く状況の変化
付録—親と教師のためのツールキット
さらに理解を深めたい方のための文献ガイド
索引
著者紹介
訳者紹介