環境問題へのアプローチ
価格:2,090円 (消費税:190円)
ISBN978-4-501-61880-3(4-501-61880-9) C3040
奥付の初版発行年月:2001年07月 / 発売日:2001年07月上旬
専門家が広い視野で興味深く解説した入門書
本書は地球環境をめぐる様々な議論について,一般読者の理解を助けることを目的とする。第1章ではそのための基礎知識,第2章では各個の地球環境問題について書かれた。また,第3章では人間の経済活動と環境のかかわりについて,さらに,第4章では,環境を守るために個々人がもつべき倫理観について書かれた。図表も多く,また「ポイント」のコーナーを設けるなど,理解を高める工夫がされている。一読,新聞・雑誌の環境記事論点がよくわかる。
生命を紫外線から守るオゾン層の破壊,大気中のこ酸化炭素の増加による地球温暖化,熱帯雨林の過剰伐採による砂漠化などの地球環境間題がクロ−ズアップされている。本書はこのようなさまざまな地球環境問題を特に専門知識をもたない一般の広範な読者に理解していただくことを目的としている。そのために,難解な理論などは避け,平易な執筆となるよう配慮した。また,理解の助けとなるよう「ポイント」のコーナーを多く設けた。
第1章では地球環境間違を考える上での基礎知識を,第2章ではさまざまな地球環境問題について執筆した。また,近年の環境破壊は人間の経済活動が活発・大規模化したことが大きな原因であることから,第3章では経済活動と環境のかかわりについて述べた。さらに,第4章では環境を守るためには,われわれ個人個人がもつべき倫理観について述べた。
20世紀は驚異的な科学技術の発展と世界的な動乱・戦乱の世紀であった。21世紀は環境問題との戦いの世紀となろう。したがって,いまや環境問題は研究者や企業のみならず,われわれ一人一人が高い意識をもって取り組まなければならないものとなっている。本書によって読者が環境問題を知り,その意識を高めることに僅かなりとも寄与することができれば幸いである。
私事にわたるが,この10月に父の七回忌を迎える。海軍軍人であった父は,頭髪を託して戦艦大和を旗艦とした海軍の沖縄特攻に参加し,奇跡的に生還している。晩年,戦場に散った多くの戦友たちに平和な現在を見せてやりたかったと語った父の姿が今でも脳裏に焼き付いている。激動の前世紀を生きた人々の苦労を想い,何とか平和で美しい自然環境に恵まれた地球を次の世代に引き経ぎたいものである。
なお,本書の第1章,第2章の大部分は東京電機大学出版局より既刊の「水圏の環境」,「大気圏の環境」,「地圏の環境」の内容から,本書の目的に合致する部分を抜粋・書き直したうえで,再編集したものである。これらの本の執筆者である,池田裕一・江種伸之・岡本博司・小池俊雄・小尻利治・中井正則・中村由行・平田健正・福島武彦・藤野毅・道奥康治・村上和男・吉羽洋周の各氏に深く感謝の意を表します。
2001年元旦(松風台にて)
有田 正光
目次
第1章 環境問題の基礎知識
第2章 さまざまな環境問題
第3章 環境と経済
第4章 環境と倫理
【参考・引用文献】