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普遍経営学への小歩現代経営学の再構築

第2版 現代経営学の再構築 普遍経営学への小歩

A5判 536ページ 並製
価格:5,720円 (消費税:520円)
ISBN978-4-501-61930-5(4-501-61930-9) C1034
奥付の初版発行年月:2002年05月 / 発売日:2002年05月下旬

内容紹介

普遍的経営学構築を試みる.特に医療経営を補填

 現代社会において,企業の経営のみではなく,他の組織にも適用できる経営学こそ「経営学の精髄」であるといえる。本書では,その構築の一歩を形成することを試みる。企業と企業経営の仕組みや,企業の経営管理全体の仕組みを理論的,実践的に解説する。
 内容の古くなった箇所を改め,現状に即した補足。特に医療経営学の項目を充実させた。

前書きなど

■ 序
 戦後の日本経済の発展を支えた様々な要因すなわち終身雇用制,年功序列制,企業内組合などは,日本人の精神風土に適合する「経済成長装置」といえるものであった。
 ところが,日本経済のターゲットが「量」から「質」へ転換されるようになると,企業の求める人材も,組織の和を醸成する協調性から,時代環境の変化に柔軟かつ敏速に対応できるという点に力点が置かれるようになった。すなわち,21世紀の企業経営は「グローバル社会」,「高度情報通信ネットワーク社会」,「環境調和型社会」,および「高齢化社会」といった社会の流れの中で,いかに創造性を発揮して,新しいイメージを描くかが課題となる。特に,新しい経営スタイルを考えるには,「高度情報通信ネットワーク社会」のインパクトに注目すべきであろう。この社会においては,イントラネットやエクストラネットにより,上と下,内と外の情報格差がなくなる。然らば,トップは,ネットワークを通じた「1人対多数」のコミュニケーションをこなし,指導性を発揮できなければ,地位を失う。一九「グローバル社会」,「環境調和型社会」および「高齢化社会」への対応も大きな課題である。経団連は,2020年ビジョン「魅力ある日本−創造への責任」において,「企業は自己責任原則と厳しい企業倫理の下で自由に活動し,国民の真の豊かさに貢献する商品・サービスの開発,提供や経営を行っている」とした理想的企業像を描いている。筆者の理解では,このような時代背景において,「木を見て森を見ず」的人材,すなわち製品の開発技術力は有しているが企業の仕組みや消費者の製品ニーズに疎い人材,あるいは語学カはあるが情報機器操作能力に疎い人材なども評価されなくなり,いわゆる「ストラティジスト」のみが企業側から評価されるようになると考える。
 ストラティジストとは,簡潔に表現すれば,将来の企業内外環境の変化を予想し,また,根本的にはスペシャリストであるが環境の変化に応じて他のスペシャリストの代替をも可能にするような柔軟性,予見性および創造性に富む人材のことである。このような人材には具体的に,柔軟な思考力,鋭敏な感受性,および深遠な洞察力が必要であると考える。
 本書の目的は,このようなストラティジスト育成の勧点から,営利組織の代表である企業の経営管理論の考察のみならず,この理論を典型的な非営利組織である病院の経営管理論へ適用することについての妥当性の検証をも同時に行うことにある。換言すれば,全ての組織体に普遍的に成立・妥当する一般原理ないし一般理論を形成する普遍経営学の構築に些少の貢献を行うことに目的がある。
 また,本書の構成は,まず,経営学とその1対象である企業を巨視的にみる。
それらは,経営学の定義と企業の法的・経済的・社会的意味である。次に,企栄における経営者の職能と管理者の職能を明確にする。それは,大企業における経営の機能,大企業における管理の機能,大企業における経営管理技術,および中小企業の経営管理機能からなる。さらに,非営利組織の典型とされる病院における経営者の職能と管理者の職能を明確にする。これには,医療経営学,医療組織論,医療経営戦略給および医療人事管理論がある。最後に,営利,非営利を問わず適用できる普遍経営論あるいは普遍組織論への進展を若干試みた普遍経営学への小歩がある。
 なお,本書の原稿校正に当っては,東京電機大学出版局の橘内文女史に多大なる助力を賜り,深く感謝する次第である。

■第2版にあたって
 殺伐とし,何ともいえない閉塞感を覚える現代であるが,この思いは,企業の経営者も同じであろうと想像する。
 南宋の朱新仲が,“人生の5計”を説いている。それらは,“生計”,“身計”,“家計”,“老計”および“死計”である。まず“生計”とは,「自分が天から授かった使命を考える」,“身計”とは,「社会にどのように貢献するかを考える」,“家計”とは,「家庭をいかに営むかを考える」,“老計”とは,「いかなる価値をもって老いるかを考える」,最後の“死計”とは,「いかに死ぬのかを考える」ことを意味する。
 これについて,安岡正篤は,この“人生の5計”が不透明な現代において重要な意味をなすとする。筆者の解釈によると,事前に5計があれば,有意義な内面生活をもっているので,外面的な問題に一喜一憂せず,何があっても平常どおり執務できる。
 これにつけ,1980年代の企業経営者は,“JAPAN AS NO.1”であったが,1990年代から現代に至るまで,経営者は“AMERICA AS NO.1”である。君子の豹変ではないが,経済環境の変化があったにせよ,なぜこのように態度が一変するのか再考する必要性があると考えられる。経営者が経営の精髄を消化せず,経営を実行していることも解の1つをなすと考える。
 このような問題意識から,“経営の精髄”について考慮すると,企業の経営にのみ適用できる経営学でなく,他の組織にも適用できる経営学こそ“経営学の精髄”であるといえ,本書で,その構築の一歩を形成することを試みる。
 本書の構成は,まず,第Ⅰ部企業経営学総論で,経営学の定義と企業の法的,経済的,経営的および社会的意味を考える。それらは,第1章経営学の定義,第 2章経営学史,第3章企業形態論,第4章会社設立の手続き,第5章日本的経営論,第6章21世紀の企業社会論から構成される。
 次に,第Ⅱ部企業経営学各論では,将来の経営者・管理者として企業に評価される人材を育成することを目的とし,主として大企業の経営者・管理者の職能に重点を置き,大企業の経営機能,管理機能および経営管理技術,中小企業の経営管理職能について論及する。これらは,経営者の職能である第7章経営組織論,第8章経営戦略論,第9章社会的責任論,経営管理者職能である第10章経営意志決定論,第11章経営管理論,第12章経営分析(理論編),第13章経営分析(実践編),および管理者の職能である第14章R


目次

第Ⅰ部 企業経営学総論
 第1章 経営学の定義
 第2章 経営学史
 第3章 企業形態論
 第4章 会社設立の手続き
 第5章 日本的経営論
 第6章 21世紀の企業社会論

第Ⅱ部 企業経営学各論
 第7章 経営組織論
 第8章 経営戦略論
 第9章 社会的責任論
 第10章 経営意志決定論
 第11章 経営管理論
 第12章 経営分析(理論編)
 第13章 経営分析(実践編)
 第14章 R


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