非線形問題の解法
価格:3,190円 (消費税:290円)
ISBN978-4-501-62250-3 C3041
奥付の初版発行年月:2008年01月 / 発売日:2008年01月下旬
非線形問題解明の必要性について,以前から唱えられてはきた。そして,その重要性の認識はそれぞれ意識するしないにかかわらず,今日きわめて高い。たとえば,いろいろな予測が外れるのは,いうまでもなく,多くの場合,非線形性のためである。とくに未来への予測はむずかしい。たとえば,ソ連の崩壊を予測できた人はまず,いなかったといわれる。それほどでなくても単純な自然現象でも,しばしば非線形性が本質的な役割を演じていることが多い。いずれにしても,これらの現象が必ずしも数学モデル,とくに非線形方程式とその解を求めることに帰着される。
本書では,このような非線形問題の概観に続いて,その解を求める方法の実際,さらには,これらの解はほとんど近似解であることを考慮して,その精度の問題について考察する。このとき非線形問題では,一般論はあまり意味がなく,むしろ個別性に特徴があるので,例をあげて説明することによって,その本質を明確にしたい。使用する例は,筆者の専門である流体力学関連のものによる説明が多くならざるをえないが,この場合でもなるべく簡単で本質的なものを用い,複雑なものについては詳細を付録にまわして通読の便を図った。
本書の対象としては,数理科学・数理工学などを専門とする方々や同方面での学生のための教科書・参考書であるが,この科学の時代,ほとんどが数学モデル化され,コンピュータ化され,いやでも非線形問題の解が必要となる方々も多いと思われる。このような方々に少しでも参考になればと思う。この点,自分から言うのも変だが,以前から「非線形を解く達人」などといわれてきて,大袈裟にいえば,その極意を伝えたいという気持ちである。
2007年11月
著者識
目次
第1章 非線形問題の概要
1.1 非線形とは
1.2 非線型方程式
1.3 非線型方程式の解の特徴
1.4 方程式の解と近似解法
1.5 近似解の精度
第2章 厳密解
2.1 序
2.2 求積法
2.3 解の存在定理
2.4 中間積分
2.5 自己相似,次元解析
2.6 特異点の性質
2.7 類推
第3章 近似解と近似解法
3.1 序
3.2 近似解法の概要
3.3 簡単な近似解法
3.4 摂動法,逐次近似法
3.5 特異摂動法
3.6 レイリー_リッツ法,ガレルキン法
3.7 有限要素法
3.8 差分法
3.9 参考書と練習問題
第4章 近似解の精度
4.1 序
4.2 近似解の誤差と精度
4.3 近似解と精度
付 録
1 線形変換
2 ファン.デル.ポール式の解
3 弱い解の定義の一例
4 摂動近似の一例
5 微分方程式の解の公式の例
6 爆風方程式の自己近似解
7 定常放射流の問題
8 ヘリウム原子の問題
9 単振子の近似の改良
索 引