ニューパラダイムテキストブック
地盤力学
価格:3,630円 (消費税:330円)
ISBN978-4-501-62320-3 C3051
奥付の初版発行年月:2008年04月 / 発売日:2008年04月中旬
土木工学(Civil Engineering)はすべての工学の源泉であり,人間社会と自然環境との接点に関し,最先端の学識・技術を駆使して社会基盤施設を計画,調査,設計,建設,維持管理し,人類の福祉と環境の増進に寄与することを目的とするものである。
具体的にはわれわれの生活や国の発展を支えている鉄道,港湾,河川改修,海岸保全,ダム,道路,橋梁,トンネルなどの広範な社会基盤施設や,上水,下水,住宅開発など種々な都市基盤施設などの多くの構造物は土木の関与により建設,管理されている。
このように,土木工学は単に建設技術に留まらず,国土計画,国土管理のほぼ全般を網羅しているといえよう。
大学や高専の土木教育のカリキュラムでは,各分野に共通な土木工学の基礎科目の習得は将来の専門分野の如何にかかわらず,必須のものである。このため専門課程の当初において重点的に配当,教授されている。その後に前述のそれぞれの専門分野に関する講義をうけ,また応用能力の育成のため演習,実習を履修する。
このようにして初めて従来の工学的力学系を核とし,社会システム系を新しい構成柱とする21世紀の土木技術を修得した者となりうるのである。
最近の土木工学の飛躍的拡充と発展にともない教育現場においてもこれに呼応した的確な対応,特に基礎理論を十分に理解した上で,応用能力をもった技術者の育成が切望されている。
本シリーズでは上記のような認識のもとに,第1期計画として土木工学の基礎科目として地盤力学,水工学,構造力学,コンクリート工学,測量学をとりあげ,基本的かつ常識的事項の修得に主眼を置き,演習書の体裁をとり,演習課題をあげ,その解説記述を通じ学習者の興味,探求心,自身を会得してもらうよう企画した。
このため各専門分野ですぐれた行政を挙げられ,かつ永年の教育経験を有していられる先生方にお願いし,それぞれのテーマごとに編著者となっていただいた。かくして平易な記述の中に新しいパラダイムをもつ教科書となるよう意図したものであり,これらが学習者諸君のこの上もない学習上の伴侶となりうることを心から願うものである。
1999年3月
京都大学名誉教授
工博 岡田 清
本書の初版は(株)山海堂から刊行された。以来,幸いにも多くの読者から愛用されてきたが,このたび東京電機大学出版局から新たに刊行されることとなった。本書が今後とも読者の役に立つことを切に願っている。
2008年3月
ニューパラダイムテキストブック編集委員会
目次
第1章 地中の有効応力/透水
1-1 地中の有効応力
1-2 Darcy則
1-3 流線網
1-4 透水力
第1章のまとめ
第2章 一次元変形/圧密
2-1 一次元圧縮
2-2 圧密理論
2-3 圧密理論の解釈
第2章のまとめ
第3章 土の強度/多次元変形
3-1 ダイレタンシー(dilatancy)
3-2 破壊規準
3-3 強度増加率
3-4 多次元変形
第3章のまとめ
第4章 地盤内の応力
4-1 集中荷重・線荷重による応力
4-2 帯状荷重による応力
4-3 面加重による応力
4-4 接地圧分布
第4章のまとめ
第5章 地盤の変形
5-1 年度地盤の沈下量
5-2 現場計測と沈下予測
5-3 地盤の側方流動
第5章のまとめ
第6章 地盤の強度
6-1 地盤強度の特徴
6-2 粘土のレオロジー
6-3 原位置試験
第6章のまとめ
第7章 地盤の安定解析法
7-1 極限つり合い法
7-2 極限解析法
第7章のまとめ
第8章 土圧/支持力
8-1 Rankine土圧
8-2 Coulomb土圧
8-3 浅い基礎の支持力
第8章のまとめ
第9章 斜面の安定
9-1 斜面安定の安全率
9-2 分割法による安定解析
9-3 摩擦円解法と安定図表
第9章のまとめ
第10章 地盤の動的問題
10-1 地盤の地震応答
10-2 建物の震害/耐震設計
10-3 液状化
第10章のまとめ
参考文献
索 引