叢書・ウニベルシタス946
中世の知識と権力 知は力となる
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-588-00946-4 C1322
奥付の初版発行年月:2010年11月 / 発売日:2010年11月中旬
古今東西、いかなる権力も「統治」のために何らかの「知識」を必要とした。その知識は、どのように形成され、どのように利用され、いかにして世の中を動かす力、あるいは権力になったのか。修道院の僧坊や付属学校、黎明期の大学における知の生産と伝達の過程を探りつつ、中世ヨーロッパにおける教養知識、実践知識とは何であったのか、また、両者の関係はどのように変化したのかを明らかにする。【文化史・中世史】
中世における知識と権力の関係を、知が生みだされる現場に踏み込んで明らかにします。
マルティン・キンツィンガー(キンツィンガー,M.)
1959年,ドイツ,ヘッセン州に生まれる.ブラウンシュヴァイク大学で史学を学ぶ.1997年,ベルリン自由大学で中世史学の教授資格を得る.ミュンヒェン大学教授などを経て,2002年からミュンスター大学史学科教授.本書の他に『中世フランス・ドイツにおけるカール大帝の遺産』(2005年)などの著書がある.
井本 晌二(イモト ショウジ)
1943年に生まれる.東京大学文学部独文学科卒業.東京都立大学大学院修士課程(独文学専攻)修了.元・横浜国立大学教育人間科学部教授.訳書に,H. C.シャーパー『西洋音楽史・上下』,O. E.ドイッチュ他編『モーツァルトの生涯』(以上,シンフォニア社),共訳に,W.ハルトゥング『中世の旅芸人』,F.ライヒェルト『世界の体験』,N.オーラー『巡礼の文化史』,N.エリアス『時間について』,N.ビショッフ『エディプスの謎・下』(以上,法政大学出版局),O.ボルスト『中世ヨーロッパ生活誌・上下』(白水社),A.ボルスト『中世の巷にて』(平凡社)などがある.
鈴木 麻衣子(スズキ マイコ)
1979年に生まれる.横浜国立大学教育人間科学部国際共生社会課程卒業.同大学大学院教育学研究科修士課程言語文化教育専攻修了.共訳に,W.ハルトゥング『中世の旅芸人』,F.ライヒェルト『世界の体験』(以上,法政大学出版局)がある.
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
題辞 知は力となる 7
序文 教養について 12
Ⅰ 中世の知識と中世における知識──近代への道 17
1 現代の危機、歴史のヴィジョン 19
2 信仰と知識 22
3 知識と知識社会 26
4 教養知識と行動知識 30
5 文化技法と象徴的資本としての知識 35
6 伝統性と個人性 43
7 コミュニケーションとしての知識 49
Ⅱ 修道院の僧房と権力中枢──中世からの道 63
1 修道院の文化 68
2 修道院学校の秘密の場所 72
3 修道院の歴史 79
4 出自と知識 87
5 規律の重圧下での知識獲得 89
6 知識政策 99
7 知識の空間 114
8 大聖堂付属学校 116
9 学校、授業、学問 121
10 知識、有益性、出世 128
11 知的な風土 132
12 都市市民の新しい知識 140
13 大学における古いものと新しいもの 159
14 知識を巡る争い 178
15 王の知識と貴族の教養 196
あとがき 知識社会における教養、知識、権力 211
訳者あとがき 213
参考文献 巻末(5)
索 引 巻末(1)