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デカルトとビュフォン氏の見解に関する批判的考察を踏まえた、動物の基本的諸能力を解明する試み動物論

叢書・ウニベルシタス966
動物論 デカルトとビュフォン氏の見解に関する批判的考察を踏まえた、動物の基本的諸能力を解明する試み

四六判 222ページ 上製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-588-00966-2 C1310
奥付の初版発行年月:2011年11月 / 発売日:2011年11月上旬

内容紹介

ジョン・ロックの影響のもとに、独自の経験論哲学を展開したコンディヤックの動物論。自然を機械的・力学的に見なし、動物は諸器官の働きによって機械的に動いていると考えたデカルトや、人間は自然の中心に位置する存在であるとし、他の動物は人間の周囲に同心円状に配置されると考えたビュフォンらに反論して動物の感覚認識を支持し、今日の自然観・動物観の基礎を築いた先駆的業績。

出版部から一言

ジョン・ロックの影響のもとに、独自の経験論哲学を展開したコンディヤックの動物論。自然を機械的・力学的に見なし、動物は諸器官の働きによって機械的に動いていると考えたデカルトや、人間は自然の中心に位置する存在であるとし、他の動物は人間の周囲に同心円状に配置されると考えたビュフォンらに反論して動物の感覚認識を支持し、今日の自然観・動物観の基礎を築いた先駆的業績。

著者プロフィール

エティエンヌ・ボノ・ド・コンディヤック(コンディヤック,E.B.ド.)

1714年,グルノーブルの法服貴族の家系に生まれる.1726年から33年までリヨンのイエズス会のコレージュで基礎教育を受けた後,パリに出てサン・シュルピス神学校とソルボンヌ大学で神学を修める.1735年に哲学の教授資格を,1739年に上級聖職位を取得し,1741年に司祭職に就任するが,これ以降もパリの俗界にとどまり,デイドロ,ルソー,フォントネル,ダランベール,ドルバック,エルヴェシウス,ビュフォンらと交流しながら執筆活動を開始した.1746年に発表した処女作『人間認識起源論』を皮切りに,『体系論』『感覚論』『動物論』などを発表.1752年,フォントネルと共にベルリン王立アカデミー会員に選出される.1758年から67年まで,パルマ公国の王子フェルディナンドの家庭教師として招聘され,ルイ15世の孫に当たる王子を教えた.その後パリに帰り,1968年にはアカデミー・フランセーズ会員に選出される.1773年にヴォージャンシー近郊に城館を購入し,『教程』『通商と政府』『論理学』『計算の言語』を執筆.1780年,65歳で死去.

古茂田 宏(コモダ ヒロシ)

1952年に生まれる.1976年,東京大学文学部倫理学科卒業.1983年,東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学.山梨県立女子短期大学助教授,千葉大学助教授,一橋大学助教授・教授を経て,同大学大学院社会学研究科教授として在職中の2010年死去.
主な著書に,『思想史の意義と方法』(以文社,1982),『近代変革期の倫理思想』(以文社,1986),『醒める夢冷めない夢――哲学への誘惑』(はるか書房,1995),『ビンボーな生活ゼイタクな子育て』(はるか書房1999),共著に,『喫茶店のソクラテス』(汐文社,1984),『公園通りのソクラテス』 (汐文社,1987),『モダニズムとポストモダニズム』(青木書店,1988),『言葉がひらく哲学の扉』 (青木書店,1998),『翼ある言葉』(青木書店,2002),訳書に,コンディヤック『人間認識起源論』上下(岩波書店,1994),ウォルツァー『アメリカ人であるとはどういうことか――歴史的自己省察の試み』(ミネルヴァ書房,2006),共訳に,プーラン・ド・ラ・バール『両性平等論』(法政大学出版局,1997) がある.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 文

第 I 部 デカルトの学説とビュフォン氏の仮説

第1章  獣はただの自動人形ではないということ。人はなぜこのような根拠のない説を空想しがちであるのか。
第2章 もし獣が感じるとすれば、我々人間のように感じるということ
第3章  獣は単なる物質的な存在だという仮説において、ビュフォン氏は、自分が獣に認めた感覚を説明できないということ
第4章  人間以外の動物が純粋に機械的であり、かつ同時に感じうるというこの想定においても、彼らがもし認識能力をもっていないとすれば、自分の自己保存のために気づかうことはできなくなるであろうということ
第5章 獣は比較し、判断するということ。獣は観念をもち、記憶をもつということ
第6章 諸感官についてビュフォン氏が行った考察の検討
第 I 部の結論

第II部 動物の諸能力の体系

第1章 全ての動物に共通する習慣の形成について
第2章 動物における認識の体系
第3章  同一種に属する諸個体は、その種において互いに摸倣しようとする傾向が低ければ低いほど、より斉一的な仕方で行動するということ。それゆえ、人類が個体間でこれほど異なっているのは、もっぱら、人類が全ての動物の中で最も真似をしあう傾向を強くもっているという理由からであるということ
第4章 動物の言語
第5章 本能と理性について
第6章 いかにして人間は神についての認識を獲得したか
第7章 いかにして人間は道徳の諸原理についての認識を獲得したか
第8章 人間の情念は獣の情念とどこが違うか
第9章  全ての動物における習慣の体系。それは、いかにして倒錯したものになりうるか。こうした悪習を正しうる資質を人間はもっているということ
第10章 知性と意志について──人間の場合であれ獣の場合であれ
第II部の結論

(付論)『あるアメリカ人への手紙』の著書にあてたコンディヤック神父の手紙

訳 注
コンディヤックの生涯と著作(古茂田 宏)


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