叢書・ウニベルシタス993
哲学の犯罪計画 ヘーゲル『精神現象学』を読む
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-588-00993-8 C1310
奥付の初版発行年月:2013年06月 / 発売日:2013年05月下旬
この世界の起源にある不穏さ、あるいは歴史の転機の契機のなかにある不穏さを、哲学はつねに見いだし、果てはその不穏さを自ら組織し、拡大し、遂行する。ドゥルーズ論で著名な哲学者が、ヘーゲル哲学を存在と生成のドラマとして、犯罪、殺人という言葉を主題とする「犯罪計画」として変奏し、『精神現象学』の運動をダイナミックにドラマティックに描き出す。前代未聞のヘーゲル論の誕生。
ジャン=クレ・マルタン(マルタン,J.-C.)
(Jean-Clet Martin)
1958年生まれ。通信教育で大学入学資格を取得し、パリ第8大学にて博士号を取得。現在はリセで哲学を教えると同時に、その活動は哲学の枠を超えて、小説を書き、絵画を論じるなど、文学や芸術の分野でも幅広い執筆活動を行っている。著書に『ドゥルーズ/変奏』(毬藻充・加藤恵介・黒川修司訳、松籟社、1997)、『物のまなざし:ファン・ゴッホ論』(杉村昌昭・村澤真保呂訳、大村書店、2001)、『百人の哲学者 百の哲学』(杉村昌昭・信友建志監訳、河出書房新社、2010)、『フェルメールとスピノザ:〈永遠〉の公式』(杉村昌昭訳、以文社、2011)、『ドゥルーズ:経験不可能の経験』(合田正人訳、河出文庫、2013)等多数。
信友 建志(ノブトモ ケンジ)
1973年生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士後期課程修了。思想史・精神分析専攻。現在は龍谷大学で非常勤講師を務める。著書に『メディアと無意識』(共著、弘文堂、2007)、『フロイト=ラカン』(共著、講談社選書メチエ、2005)、訳書にエリザベート・ルディネスコ『ラカン:すべてに抗って』(河出書房新社、2012)、『いまなぜ精神分析なのか:抑うつ社会のなかで』(共訳、洛北出版、2008)、アントニオ・ネグリ『スピノザとわたしたち』(水声社、2011)、ステファヌ・ナドー『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』(水声社、2010)、ジャン=クレ・マルタン『百人の哲学者 百人の哲学』(共監訳、河出書房新社、2010)等多数。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
前口上
第一場 意識の円環
抽象の裏をかく
現象と現象学
循環性、円環
概念
否定性
疎外
感覚的確信、自己確信
知覚
塩の欠片、あるいは「事物とはなにか?」
意識、自己意識
第二場 欲望の諸経路
バッカス
彼岸と「いまここ」
生
動物
欲求と欲望
再認
死を賭した闘争
不安
主人と従僕
ストア派
懐疑論不幸な意識
第三場 「精神は骨ではない」
理性
観念論
理性的なものと現実的なもの
観察
自然法則
有機体
内部と外部
精神は頭蓋骨ではない……
……性格でもない
社会
実践的行動
幸福
心情と自負の狂気
美徳と世の流れ
理性の狡知
作品
第四場 社会的創造
精神
契機と形象
ギリシャの都市国家
アンチ・オイディプス的家族
反ティゴネーAnti/gone
罪と罪責感
《帝国》
彷徨
自己形成過程
善悪の彼岸
下賤な意識、高貴な意識
象徴的死
言語活動
へつらい
分裂
ニヒリズムの曙光
信仰と純粋洞察
啓蒙
啓蒙主義の真理
フランス革命と恐怖政治
恐怖政治を乗り越える
道徳的世界観
良心
美しき魂
悪と赦し
キリストについて
第五場 芸術宗教と永遠性
大綱と《歴史》
宗教的プロセス
自然宗教──光
動物的宗教から職人的宗教へ
抽象的な芸術作品
悲喜劇あるいは生ける芸術作品
神は死んだ
人間‐《神》、あるいは弁証法とは何か?
人間の死
犯罪と概念
絶対知
イメージの不滅性
エピローグ
宇宙の驚異よりも犯罪を──訳者あとがきにかえて
索引
関連書
R.B.ピピン著/ 星野勉監訳『ヘーゲルの実践哲学
』