叢書・ウニベルシタス1145
創られたサン=キュロット 革命期パリへの眼差し
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-588-01145-0 C1310
奥付の初版発行年月:2022年07月 / 発売日:2022年07月下旬
貴族やブルジョワのキュロット(半ズボン)を穿かない庶民がフランス革命の推進力となり、その象徴的なイメージが街頭に姿を現す。前もって規定された運動体ではなく、行動の中で創り出された運動体として、サン=キュロットはパリの民衆が政治的経験によって複雑に変容した結果である。激変する世界の中で、多様な社会的当事者たちは如何にして新たなアイデンティティを見出すのか。革命的暴力の力学と現象学を提示する。
アイム・ブルスティン(ブルスティン アイム)
(Haim Burstin)
1951年ミラノ生まれ。ミラノ・ジョヴァンニ・ベルシェ高校からミラノ大学へ。大学入学前から学生運動に関与。その後70年代初めにパリ第一パンテオン゠ソルボンヌ大学に留学し、フランス革命史講座教授A・ソブールの指導の下で課程博士論文『革命期のフォブール・サン゠マルセル。経済構造と社会構成』。シエーナ大学を経て、ミラノ大学人間科学部教授を務めた。その間に、パリ第1大学フランス革命史講座教授M・ヴォヴェルの指導を受けつつ、99年に国家博士論文を提出し、後にこれを『活動中のフランス革命──フォブール・サン゠マルセル(1789~1794年)』(Une Révolution à l’œuvre : le faubourg Saint-Marcel (1789-1794), Champ Vallon, 2005)として刊行した。また、『フランス革命史年報』、『近現代史雑誌』などフランスの学術誌や、イタリアの学術雑誌にも多数寄稿している。
田中 正人(タナカ マサト)
1944年生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程満期終了。愛知県立大学外国語学部(フランス学科)教授を経て、愛知大学法学部教授。愛知大学名誉教授。著書に、『1848 国家装置と民衆』(共著、ミネルヴァ書房、1985年)、『規範としての文化』(共著、平凡社,1990年)、『世界史大系 フランス史3』(共著、山川出版社、1995年)、訳書に、レモン『フランス 政治の変容』(共訳、ユニテ、1995年)、シアパ『革命家グラッキュス・バブーフ伝』(彩流社、2019年)、ブォナローティ『平等をめざす、バブーフの陰謀』(法政大学出版局、2020年)、シアパ『革命家ブォナローティ伝』(彩流社、2021年)、など。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序文 ダニエル・ロシュ(コレージュ・ド・フランス教授)
序章
第一章 サン゠キュロット──歴史と歴史記述との間で
1 この五〇年間の歴史記述
2 サン゠キュロットとは何なのか?
3 社会的境遇と政治意識
第二章 サン゠キュロットとジャコバン派──政治的前衛勢力、革命的ミリタン、そして人民大衆
1 サン゠キュロットという観念──理念型とステレオタイプとの間で
2 行動中のサン゠キュロット
3 革命的ミリタンなのか、それとも「革命の中のタルチュフ」なのか?
第三章 フランス革命期の知識人
1 「知的ボヘミアン」とサン゠キュロット
2 パリ天文台におけるフランス革命
3 転倒した世界
4 エピローグ
第四章 革命的暴力の現象学──パリの事例をめぐる考察
1 前例
2 暴力の浸透
3 暴力と急進的立場
4 暴力正統化の諸形態
訳者あとがき