叢書・ウニベルシタス1152
基本権 生存・豊かさ・合衆国の外交政策
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-588-01152-8 C1310
奥付の初版発行年月:2023年02月 / 発売日:2023年02月中旬
本書は、各人、各政府、各企業が、実現を目指すべき人間の生の「最低限」に関する本である、と著者は言う。安全な生活、十分な食料などがその最低限であり、この最低限への権利が「基本権(ベーシック・ライツ)」である。この基本権という発想は、従来の権利理論を大きく転回させた。貧困、軍事的介入、気候変動などの現代社会の諸問題をめぐる思考や、その解決に向けた実践に、大きな影響を与え続ける古典的名著の最新改訂版。
ヘンリー・シュー(シュー ヘンリー)
ヘンリー・シュー(Henry Shue)
アメリカ合衆国出身の政治哲学者。オックスフォード大学マートンカレッジ名誉教授。1970年にプリンストン大学で博士号を取得。ノースカロライナ大学、ウェルズリー大学、メリーランド大学、コーネル大学、オックスフォード大学で教鞭をとった。主な著作に、Basic Rights: Subsistence, Affluence, and U. S. Foreign Policy, 40th Anniversary Edition (Princeton University Press, 2020)〔本書〕,Climate Justice: Vulnerability and Protection (Oxford University Press, 2014), Fighting Hurt: Rule and Exception in Torture and War (Oxford University Press, 2016), The Pivotal Generation: Why We Have a Moral Responsibility to Slow Climate Change Right Now (Princeton University Press, 2022), などがある。
馬渕 浩二(マブチ コウジ)
馬渕 浩二 1967年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。中央学院大学商学部教授。倫理学、社会哲学。『連帯論──分かち合いの論理と倫理』(筑摩選書、筑摩書房、2021年)、盛永審一郎ほか編『今を生きるための倫理学』(共著、丸善出版、2019年)、『貧困の倫理学』(平凡社新書、平凡社、2015年)、オノラ・オニール『理性の構成──カント実践哲学の探究』(共訳、法政大学出版局、2020年)、ロナルド・L・サンドラー『食物倫理入門──食べることの倫理学』(単訳、ナカニシヤ出版、2019年)、ほか。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
四〇周年記念版序文
第二版序文
第一版序文
序論
第1部 三つの基本権
第1章 安全と生存
1 権利
2 基本権
3 安全権
4 生存権
5 標準的脅威
第2章 相関的義務
1 「消極的」権利と「積極的」権利
2 生存権と希少性
3 経済的剥奪に関する二つのテーゼ
4 回避・保護・扶助
5 三肢的分析の一般性
6 生存義務
7 義務のシステマチックな相互依存
第3章 自由
1 自由それ自体のために自由を享受すること
2 参加は普遍的に望ましいか
3 参加は普遍的に必要とされるか
4 他の自由──身体の移動の自由
5 パターナリスティックな独裁政治は改革されるか
第2部 生存権に対する三つの課題
第4章 現実主義と責任
1 人口抑制の一方法としての飢餓
2 剥奪は不可避か
3 ものの道理ではなく金だ
第5章 豊かさと責任
1 扶助する義務──優先原則
2 剥奪と侮蔑
3 剥奪と公正さ
第6章 国籍と責任
1 同国人の優先──それは何を意味することになるのか
2 道徳的な正当化理由──道徳の二つの同心円的な見方
3 政治的正当化理由──政府に関する二つの見方
4 原則に基づいた感情──ナショナリズムの二つの側面
5 剥奪回避という国家を越える義務
第3部 基本権に対する新しい課題
第7章 権利に基づく義務と制度的転回
1 人権の諸構想のための制度的転回
2 条件付きの主権
第8章 基本権と気候変動(二〇二〇年)
1 変化する脅威
2 気候変動の三つの特殊な性質
3 気候の制御のための苦闘
訳者後書き
注
参考文献
索引