叢書・ウニベルシタス1163
文学的絶対 ドイツ・ロマン主義の文学理論
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-588-01163-4 C1310
奥付の初版発行年月:2023年10月 / 発売日:2023年10月中旬
〈近代文学〉そのものの自己意識であり、自己産出的発明でもあったドイツ・ロマン派の雑誌『アテネーウム』。1800年前後のイェーナで、私たちが今もなお属している〈危機=批評の(クリティック)〉時代が決定的に開かれた。絶対的な文学主体としてのロマン主義やイロニーの脱構築的展望を初めて哲学的に把握し、フランスの思想界に翻訳・紹介した歴史的な書物、ついに日本語全訳版刊行!
フィリップ・ラクー=ラバルト(ラクー ラバルト フィリップ)
フィリップ・ラクー=ラバルト(Philippe Lacoue-Labarthe)
1940年生。ストラスブール・マルク・ブロック大学名誉教授。国際哲学コレージュ議長(1988–89年)。ミメーシスや形象などの観点から哲学と政治の関係を問う丹念なテクスト読解を続け、ヘルダーリンによるソフォクレス翻訳の仏訳に基づく上演など、演劇に関わる仕事にも取り組んだ。主著に『哲学の主体』(1979年、未邦訳)、『近代人の模倣』(1986年、邦訳みすず書房)、『政治という虚構』(1988年、邦訳藤原書店)、『ハイデガー 詩の政治』(2002年、邦訳藤原書店)ほか。ナンシーとの共著に『文字の資格』(1973年、未邦訳)、『舞台』(1992年、未邦訳)、『ナチ神話』(1991年、邦訳松籟社)など。2007年没。
ジャン=リュック・ナンシー(ナンシー ジャン リュック)
ジャン=リュック・ナンシー(Jean-Luc Nancy)
1940年生。ストラスブール・マルク・ブロック大学名誉教授。脱構築という哲学的営為を自覚的に引き受け、意味、世界、身体、芸術、政治、キリスト教など多くの主題をめぐって旺盛な著作活動を展開した。主著に『無為の共同体』(1986年、邦訳以文社)、『限りある思考』(1990年、邦訳法政大学出版局)、『共同‐体(コルプス)』(2000年、邦訳松籟社)、『複数にして単数の存在』(1996年、邦訳松籟社)、『脱閉域』(2005年、邦訳現代企画室)ほか。ラクー=ラバルトとともに寄稿した論集としてドゥギーほか『崇高とは何か』(1988年、邦訳法政大学出版局)。2021年没。
柿並 良佑(カキナミ リョウスケ)
柿並 良佑 1980年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。山形大学人文社会科学部准教授。現代フランス哲学、表象文化論。共(編)著に『ジャン=リュック・ナンシーの哲学』(読書人)、『〈つながり〉の現代思想』明石書店)、訳書にブーレッツ『20世紀ユダヤ思想家1』(共訳、みすず書房)、ナンシー『嘘の真理』(講談社、近刊)ほか。
大久保 歩(オオクボ アユム)
大久保 歩 1972年生。大阪大学文学研究科博士後期課程単位取得退学。東京家政学院大学非常勤講師。哲学、政治理論。論文に「ニーチェにおける自由と自律」(『倫理学年報』第70集)、共著に『〈つながり〉の現代思想』(明石書店)、訳書にガシェ『地理哲学──ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』について』(月曜社)、バーンスタイン『暴力』(共訳、法政大学出版局)ほか。
加藤 健司(カトウ ケンジ)
加藤 健司 1963年生。慶應義塾大学文学研究科博士課程単位取得退学。山形大学人文社会科学部教授。比較文学、近代ドイツ文学。訳書にピーパー『迷宮』(共訳、工作舎)、ノイズ『マゾヒズムの発明』(共訳、青土社)ほか。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
日本語版への序(ジャン=リュック・ナンシー)
凡 例
ロマン派(ツァハリアス・ヴェルナー)
前口上
文 献
略年譜
『アテネーウム』目次
開 幕
1 体系‐主体
2 〈ドイツ観念論最古の体系プログラム〉
Ⅰ 断 片
1 断片の要求
2 フリードリヒ・シュレーゲル『批評断章』
3 『アテネーウム』断章
Ⅱ 理 念
1 芸術の限界内における宗教
2 フリードリヒ・シュレーゲル『着想集』
3 フリードリヒ・シュレーゲル『哲学について(ドロテーア宛)』
4 シェリング「ハインツ・ヴィダーポルストのエピクロス主義的信仰告白」
Ⅲ 詩
1 名もなき芸術
2 フリードリヒ・シュレーゲル『文学についての会話』
3 A・W・シュレーゲル『文学と芸術についての講義』
Ⅳ 批 評
1 特性の形成
2 シェリング『芸術哲学』(序論)
3 フリードリヒ・シュレーゲル『批評の本質』
閉 幕
1 ロマン主義の曖昧
2 フリードリヒ・シュレーゲル ソネット「アテネーウム」
3 ノヴァーリス「第一の対話と第二の対話」
訳者あとがき
訳 注
用語集
断章索引
索 引