認識と反省性 ピエール・ブルデューの社会学的思考
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-588-15105-7 C3036
奥付の初版発行年月:2020年02月 / 発売日:2020年02月下旬
アルジェリア戦争の経験を経て、哲学徒は社会学者へとなっていく。社会調査を実践しながら、独自の理論をつくり上げたブルデュー。彼の思考の生成と展開を手がかりに、著者は社会学的認識について探究する。膨大な未邦訳文献と一次史料を用い、その理論の独自性を浮き彫りにしていく。社会科学と政治のかかわりも考察し、「社会学とはなにか」と改めて問いかける気鋭の研究者による書。
磯 直樹(イソ ナオキ)
群馬県生まれ。上智大学法学部国際関係法学科卒業。フランス国立社会科学高等研究院博士課程・ヨーロッパ社会学センター(現・CESSP-Paris)留学を経て,一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士課程修了。博士(社会学)。大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室特任助教・URA,日本学術振興会特別研究員PDを経て,現在は同RPD,慶應義塾大学法学部訪問研究員,江戸川大学他非常勤講師。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序論
1 ブルデュー研究一般の動向
2 社会学史一般におけるブルデューの位置づけ
3 本書の主題に関わるブルデュー研究
4 「認識と反省性」に関する先行研究
5 本書の問題設定
第1章 社会学と認識問題
1 認識の概念
2 カッシーラーの認識問題
3 古典社会学の認識問題
4 フランスのエピステモロジー
5 方法論と認識論
6 認識問題としての社会調査
第2章 哲学徒のアルジェリア経験
1 哲学徒ブルデュー
2 ブルデューのアルジェリア経験
3 アルジェリア戦争とフランス知識人
4 フィールドからの問い
第3章 六〇年代のブルデューと社会調査
1 フランス構造主義の文脈
2 ブルデューと構造主義
3 アロンとブルデュー
4 ブルデューと量的方法
5 ブルデューと質的方法
6 『社会学者のメチエ』と認識論的断絶
第4章 三つの基礎概念の形成
1 三概念の初期構想
2 「再生産」以後のブルデュー
3 『実践理論の素描』における「プラクセオロジー」
4 一九七〇年代における三つの基礎概念の展開
5 性向と分類
6 ブルデューの理論的思考
7 ハビトゥス論の構図
8 権力界
第5章 「階級」と社会空間
1 階級分析・社会階層論の構図
2 ブルデューの「階級」分析
3 『ディスタンクシオン』の問い
4 文化の社会学的認識
5 ブルデュー派階級分析の展開
第6章 社会学的認識と反省性
1 反省性の概念
2 反省性の実践とフィールド
3 科学的知識の産出過程の分析
4 価値自由と反省性
補章 「中範囲の理論」以後の社会学的認識
1 現代社会学と中範囲の理論
2 社会学における理論的なものと経験的なもの
3 ブリュノ・ラトゥールの社会学批判
4 ブルデューにおける理論と反省性
結論
あとがき
文献一覧
人名索引・事項索引