サピエンティア20
シティズンシップ教育論 政治哲学と市民
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-588-60320-4 C1330
奥付の初版発行年月:2011年09月 / 発売日:2011年09月上旬
2002年以降、イギリスの学校では「シティズンシップ教育」が必修となった。政治に参加し政府を監視する、能動的で責任ある市民の育成を目的としている。本書の著者クリックは、ブレア政権が設置した諮問委員会の委員長を務め、この政策に多大な影響を与えた政治哲学者である。政治家や官僚に任せきりにせず、いまこそ民主主義を取り戻すために必読の書。
バーナード・クリック(クリック,B.)
(Bernard Crick, 1929-2008)
ロンドン生まれのクリックは、ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジを卒業後、LSE(ロンドン・スクール・オヴ・エコノミクス・アンド・ポリティカルサイエンス)で、ハロルド・ラスキやマイケル・オークショットの教えを受けながら博士号を取得した。ハーバード大学やマッギル大学で教鞭を執った後、イギリスに戻り、LSEで11年間にわたって教えた。シェフィールド大学とロンドン大学バーベック・カレッジの政治学教授を歴任している。1984年に引退し、エディンバラに移り住んだ。2008年12月、79歳の誕生日の直後に亡くなった。著書の多くが翻訳されており、『政治の弁証』(前田康博訳、岩波書店、1969年)、『現代政治学の系譜――アメリカの政治科学』(内山秀夫・梅垣理郎・小野修三訳、時潮社、1973年)、『政治理論と実際の間(一)・(二)』(田口富久治・岡利郎・松崎重五訳、みすず書房、1974-76年)、『政府論の歴史とモデル』(小林昭三・石田光義訳、早稲田大学出版部、1977年)、『ジョージ・オーウェル――ひとつの生き方(上・下)』(河合秀和訳、岩波書店、1983年)、 『デモクラシー』(添谷育志・金田耕一訳、岩波書店、2004年)がある。また、共編著の邦訳として、『思い出のオーウェル』(オーウェル会訳、晶文社、1986年)、『現代政治学入門』(添谷育志・金田耕一訳、新評論、1990年、講談社学術文庫、2003年)がある。
関口 正司(セキグチ マサシ)
[序言、第1章、第3章、第6章、第10章担当]
1954生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。法学博士。九州大学大学院法学研究院・教授(政治哲学・政治学史)。
主な業績:『自由と陶冶――J. S. ミルとマス・デモクラシー』みすず書房、1989年、『政治における「型」の研究』(編著)風行社、2009年ほか。
大河原 伸夫(オオカワラ ノブオ)
[第5章担当]
1953年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。法学修士。九州大学大学院法学研究院・教授(政治学)。
主な業績:『政策、決定、行動』木鐸社、1996年、『21世紀の安全保障と日米安保体制』(菅英輝・石田正治編)ミネルヴァ書房、2005年ほか。
岡﨑 晴輝(オカザキ セイキ)
[第7章、第8章担当]
1968年生まれ。国際基督教大学大学院行政学研究科博士課程修了。博士(学術)。九州大学大学院法学研究院・教授(現代政治理論・比較政治学)。
主な業績:『与えあいのデモクラシー――ホネットからフロムへ』勁草書房、2004年、『はじめて学ぶ政治学――古典・名著への誘い』(岡﨑晴輝・木村俊道編)ミネルヴァ書房、2008年ほか。
施 光恒(セ テルヒサ)
[第2章担当]
1971年生まれ。慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。九州大学大学院比較社会文化研究院・准教授(政治理論・人権論)。
主な業績:『リベラリズムの再生――可謬主義による政治理論』慶應義塾大学出版会、2003年、『「知の加工学」事始め――受容し、加工し、発信する日本の技法』(松永典子・施光恒・吉岡斉編)編集工房球、2011年ほか。
竹島 博之(タケシマ ヒロユキ)
[第4章、第9章担当]
1972年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(政治学)。東洋大学法学部・准教授(政治思想史・政治哲学・シティズンシップ教育)。
主な業績:『カール・シュミットの政治――「近代」への反逆』風行社、2002年、『欧州統合とシティズンシップ教育――新しい政治学習の試み』(C. ロラン-レヴィ/A. ロス編、中里亜夫・竹島博之監訳)明石書店、2006年ほか。
大賀 哲(オオガ トオル)
[第11章担当]
1975年生まれ。エセックス大学政治学部博士課程修了。Ph.D.(Ideology and Discourse Analysis)九州大学大学院法学研究院・准教授(国際政治学史・地域統合論)。
主な業績:『アメリカ外交の分析――歴史的展開と現状分析』(杉田米行編著)大学教育出版、2008年、『国際社会の意義と限界――理論・思想・歴史』(大賀哲・杉田米行共編著)国際書院、2008年ほか。
目次
序言
第1章 ようやく正式科目に
第2章 授業で政治を教える
第3章 偏向について
第4章 政治リテラシー
第5章 政治教育における基本的な概念
第6章 シティズンシップと教育
第7章 二〇〇〇年シティズンシップ教育施行令を擁護する
第8章 好意的立場からの批判的議論
第9章 シティズンシップ教育の諸前提
第10章 イギリスの公的生活における政治的思考の凋落
第11章 民主主義を熟考する
監訳者あとがき
参照文献
索引