慶應義塾大学商学会商学研究叢書18
ドイツ金融資本と世界市場
価格:5,874円 (消費税:534円)
ISBN978-4-7664-0583-5(4-7664-0583-8) C3034
奥付の初版発行年月:1994年01月
1914年以前のドイツ資本主義の対外発展プロセスを金融資本運動の世界的展開の観点から、とくにドイツ大銀行の起業家的性格に注目しつつ、実証主義的立場に立脚して分析・解明したものである。
赤川 元章(あかがわ もとあき)
昭和15年 東京都に生まれる
同 40年 慶應義塾大学商学部卒業
同 43年 同大学商学研究科修士課程修了
同 45年 慶應義塾大学商学部助手
同 46年 同大学商学研究科博士課程単位取得退学
同 49年 慶應義塾大学商学部助教授
同 54年〜56年 銀行史研究所・フランクフルト大学に留学
同 60年 慶應義塾大学商学部教授
平成1年 ハンブルク大学留学
現在に至る
著書・論文 「リー不満の経済理論」『三田商学研究』第19巻4号(1976年)『ヒルファーディングの経済学方法論(Ⅰ)‐(Ⅲ)』『三田商学研究』第21巻2・3号・第22巻1号(1978年‐1979年)
「擬制資本の概念について」『マルクス金融論の周辺』渡辺佐平編著、法政大学出版局(1980年)
その他
共訳 ビクター・モーガン著『貨幣金融史』慶應通信(1989年)
目次
はしがき
序説
第1部 ドイツ資本主義世界化の展開過程と金融資本の役割
第1章 金融資本の世界性と対外決済システムの構造
——金本位制下におけるドイツの場合——
Ⅰ 金融資本の構成とその運動の世界性
1 資本運動世界化の基本構造
2 資本輸出と金融資本の構造的関係
3 「国民的」金融資本と「国際的支払手段」の構造的関係
Ⅱ 銀行資本の世界性とその対外決済システムの展開
1 貿易金融の史的展開と世界的決済システムの構造
2 外国為替市場の構造と対外的支払手段の運動
3 外国為替相場と中央銀行「公定歩合」の基本的関係
Ⅲ 国際収支の展開と金運動の構造
1 ドイツにおける経済発展と貿易構造の関係
2 ドイツにおける金運動の構造とその特色
3 貨幣恐慌と金運動(1907年の場合)
4 国際金本位制下における中央銀行の限界と金融資本
第2章 ドイツ資本主義発達史(1914年以前)における外国貿易の構造
Ⅰ ドイツにおける外国貿易の組織構造
1 問題設定
2 輸出取引の構造
3 輸入取引の構造
4 商品取引所の史的展開とその特色
Ⅱ ドイツにおける商品定期取引の構造とその展開
——ハンブルク取引所におけるコーヒー定期取引の生成を中心にして——
1 定期取引の成立とその構造
2 定期取引と相場変動
3 定期取引の禁止とその後の是正
Ⅲ ドイツ貿易構造の特殊性
1 産業構造展開の歴史的特殊性
2 「地理的生活区域」の特殊性
3 貿易都市の変遷
第3章 貿易・金融中心地、ハンブルクの成立過程と世界市場
Ⅰ 国際貿易中心地、ハンブルクの成立とその特色
1 ドイツ・ハンザの一商業都市からの脱却
2 貿易金融システムの確立とハンブルク経済圏の拡大
Ⅱ ハンブルク金融構造の成立とその特色
1 個人銀行の展開とその活動内容
2 株式銀行の成立
3 ベルリン大銀行のハンブルクへの進出
4 証券市場および対外証券投資の特徴
第4章 ドイツ資本主義の対外発展とその金融的構造
Ⅰ 貿易金融の構造——異国間における商品運動——
1 輸入金融の構造と問題点
2 輸出金融の構造と問題点
Ⅱ ドイツ銀行資本の国際金融業務の構造とその意義
1 国際的「支払・信用仲介」業務
2 「外国証券引受・外国産業への参加」
Ⅲ 資本輸出の諸形態と構造——異国間における利子生み資本運動——
1 資本輸出の史的展開とその諸形態の特徴
2 資本輸出の「地理的生活区域」の構造
第2部 ラテン・アメリカにおけるドイツ金融資本の展開と特徴
序
第5章 ラテン・アメリカとドイツの経済定諸関係
Ⅰ ラテン・アメリカにおける欧米先進諸国の経済進出の展開の特徴
——とくにドイツを中心として——
1 ヨーロッパ先進諸国の経済進出の契機と展開
2 貿易構造
3 資本輸出
4 先進諸国の経済進出におけるラテン・アメリカの意義と問題点
Ⅱ ラテン・アメリカにおけるドイツ金融資本の活動
第6章 ラテン・アメリカにおけるドイツ海外銀行の活動
Ⅰ ドイツ海外銀行の成立と発展
1 Deutsche Ueberseeische Bank
2 Die brasilianische Bank fur Deutschland
3 Die Bank fur Chile und Deutschland
4 その他のドイツ海外銀行
Ⅱ ドイツ海外銀行の経営状態の比較分析
第7章 アルゼンチン貨幣金融制度の発展とドイツ銀行資本
序
Ⅰ アルゼンチン貨幣制度の確立過程
1 独立当初の通貨混乱期
2 公的発券制度の確立への模索と失敗
3 「飛躍的発展期」と中央発券銀行の設立
4 保障銀行制度の展開とその破産
5 アルゼンチン貨幣恐慌からベアリング恐慌へ
Ⅱ アルゼンチン金融構造の特色
1 国家通貨機構Caja de Conversionの成立
2 国家銀行Banco de la Naicion Argentinaの成立と役割
3 民間銀行の状況
Ⅲ 通貨価値安定期における為替取引きの構造
Ⅳ アルゼンチンにおけるドイツ銀行資本の活動
1 ドイツ銀行資本の進出状況
——とくに海外銀行の設立経過について——
2 ドイツ銀行資本と資本輸出
第3部 バルカン・オリエント諸国の経済発展とドイツ金融資本の展開
第8章 バルカン諸国の経済発展とドイツ金融資本
序
A ルーマニア
Ⅰ ルーマニア資本主義の発展と体外的経済関係
1 貿易構造の特殊性
2 対外依存型工業化の展開
Ⅱ ルーマニアにおけるドイツ大銀行の直接的な経済的勢力
1 ドイツ資本市場とルーマニア公債
2 鉄道国有化政策の展開とドイツ大銀行の役割
3 ドイツ大銀行の石油産業への進出
Ⅲ ルーマニア金融構造の発展とドイツ系外国銀行の活動
1 ルーマニアにおける通貨・信用制度の萌芽的段階
2 中央銀行Banca Nationala a Romaniei とその他の「国民的銀行」の生成
3 ドイツ大銀行系「国際的銀行」の活動
B セルビア
Ⅰ 「周辺国」セルビアの対外的経済関係の展開
——とくにドイツとの関係について——
1 貿易構造
2 外債依存の財政構造とドイツ銀行資本
Ⅱ セルビア産業発展とドイツ産業資本の進出
Ⅲ セルビア金融構造の特色
1 通貨制度の確立と国内銀行の発展
2 外国銀行の活動
C ブルガリア
Ⅰ ブルガリア貿易構造の特徴とドイツとの関係
1 貿易状況・貿易国構成の変化とその問題点
Ⅱ ブルガリアの工業化と外国資本の役割
1 国内産業資本による工業化の展開
2 外国資本の役割
Ⅲ ブルガリア金融構造の特色
1 通貨制度の確立と国内銀行の発展
2 外国銀行の活動
Ⅳ ブルガリア財政問題とドイツ銀行資本
第9章 衰退国家「オスマン帝国」の近代化と対外的経済関係
序
Ⅰ 近代以前のトルコ貨幣金融制度の展開
Ⅱ 中央銀行としてのBanque Imperiale Ottomane
Ⅲ 財政破産とトルコ公債管理機構
Ⅳ オスマン帝国におけるヨーロッパ資本の勢力関係
第10章 オスマン帝国におけるドイツ金融資本の鉄道事業について
Ⅰ オスマン帝国へのドイツ進出の契機
Ⅱ アナトリア鉄道会社とドイツ産業資本の関係
Ⅲ 鉄道事業の拡大とBank fur Orientalische Eisenbahn の役割
Ⅳ アナトリア鉄道の延長をめぐるフランス・イギリス資本との抗争
第11章 ドイツ金融資本とバグダード鉄道問題
Ⅰ 第1時大戦前のドイツ・オリエント政策をめぐるドイツ金融資本の役割と帝国主義との関係についての論争
Ⅱ バグダード鉄道会社設立とヨーロッパ銀行資本
Ⅲ バグダード鉄道の延長とTurkish Petroleum Company をめぐるドイツ・イギリスの接近
第12章 オリエント諸国とドイツの経済的諸関係
——ドイツ海外銀行の活動を中心にして——
序
Ⅰ オリエントにおけるドイツ海外銀行の活動
1 Deutsche Palastina-Bank
2 Banque d’Orient in Athen
3 Deutsche Orientbank in Berlin
Ⅱ オリエントにおけるヨーロッパ海外銀行とドイツ企業の活動
1 ペルシア
2 エジプト
初出一覧
参考文献