第2版法体系の概念 法体系論序説
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-7664-0726-6(4-7664-0726-1) C3032
奥付の初版発行年月:1998年01月
「法とは何か」という法学の最も根本的な問題に正面から取り組んだ現代法学の名著。ベンサム、オースティン、ハート、ケルゼンらの理論を批判的に検討した上で、新たな法分析への視点を提示する。
<著者略歴>
ジョゼフ・ラズ(RAZ. Joseph)
1939年生まれ。ヘブライ大学法学修士(1963年)、オックスフォード大学法学博士(1967年)。現在、オックスフォード大学法哲学教授(ベイリオル・カレッジ)。この間、ロックフェラー大学、オーストラリア国立大学、カリフォルニア大学バークレー校、コロンビア大学、トロント大学、エール大学ロー・スクールなどの各客員教授。
主要著作として、The Concept of a Legal System, 2nd ed., Clarendon Press, Oxford, 1980; Practical Reason an Norms, 2nd ed., Princeton University Press, 1990; The Authority of Law, Clarendon Press, Oxford, 1979; The Morality of Freedom, Clarendon Press, Oxford, 1986; Ethics in the Public Domain, Revised Edition, Clarendon Press, Oxford, 1995 などがある。
<訳者略歴>
松尾 弘(まつお ひろし)
1962年生まれ。慶應義塾大学法学修士(1987年)、一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得(1990年)。現在、横浜国立大学大学院国際経済法学研究科助教授。この間、シドニー大学(1997年)、イエナ大学(1998年)の各客員教授、オックスフォード大学客員研究員(1998年〜1999年)。
主要業績として、『民法の体系−市民法の基礎−』(慶應義塾大学出版会、1997年)、カナリス『法律学における体系思考と体系概念』(共訳、木村弘之亮代表訳、慶應義塾大学出版会、1996年)、「民法学の発展における自然法論の意義」姫路法学21号(1997年)、゛Historical and Theoretical Intimacy between the Concepts of Rights and Property”, ARSP-Beiheft 67, Rights, Franz Steiner Verlag, 1997 などがある。
目次
Ⅰ オースティンの法体系論
1 主権
2 存在の指標
3 同一性の指標
4 法体系の構造
Ⅱ オースティンの理論:批判
1 主権の無制限性
2 人的服従について
3 主権の統一性
4 立法について
5 独立性について
Ⅲ 規範理論の構成要素
1 規範的言明
2 規範の構成要素
A 規範の構造に関するベンサムの説明
B 規範の構造に関するケルゼンの立場
3 規範の存在
A 派生的な創造条件
B 派生的な消滅条件
C 原初的な存在条件
Ⅳ法の個別化について
1 個別化の問題
2 法の個別化へのケルゼンのアプローチ
3 ケルゼン対ベンサム−比較
Ⅴ ケルゼンの法体系論
1 法体系の存在
2 同一性の指標
3 同一性の指標−根本規範の役割
4 同一性の指標−有効性の連鎖
5 法体系の構造
A 個別化に関する二つの選択的原理
B 一方の分類を他方の分類に投影することの可能性
C 静態的原理の優越性
6 独立的規範について
Ⅵ 初規範の体系としての法体系
1 定言命令的規範
2 根本規範と動態的正当化
3 体系の構造とその体系に属する諸法の個別化
A 制限的要件
B 指導的要件
4 義務賦課法
5 権能付与法
A 服従法に関する覚書き
Ⅶ 諸法の体系としての法体系
1 法の規範性にちて
2 許可について
3 権利を設定する法について
4 発生的構造および作用的構造
A 強制的サンクションに関する覚書き
Ⅷ 法体系の同一性
1 非定時点的な法体系の同一性
2 定時点的な法体系の同一性とその所属資格
3 承認のルールについて
A 法と紙に書かれた法との関係に関する覚書き
Ⅸ 法体系の存在について
1 実効性の原理について
2 幾つかの追加的な指摘
おわりに:源泉、規範性および個別化
1 源泉
2 個別化一般
3 機能付与的ルール
4 規範性
5 規範的言明