アメリカ文学史 駆動する物語の時空間
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-0914-7(4-7664-0914-0) C3090
奥付の初版発行年月:2003年01月
アメリカ文学研究・現代批評分野の第一人者である著者が、アメリカ文学史を、アメリカン・ドリームを求めて常に移動を繰り返す精神が織りなしてきた物語として編み直した、新しい文学史です。
第一人者のみが著すことのできる、共著によらない魅力的・個性的なアメリカ文学史の「通史」であると同時に、初学者向けの豊富な知見と情報が満載の「テキスト」です。
アメリカ文学史上の「ベスト20」を選んでの解説や、年表など、資料も充実しています。
1955年東京生まれ。コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D., 1987)。現在、慶應義塾大学文学部教授。アメリカ文学専攻。著書『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房)で1988年度日米友好基金アメリカ研究図書賞、『ニュー・アメリカニズム--米文学思想史の物語学』(青土社)で1995年度福澤賞受賞。著書に『アメリカン・ソドム』(研究社、2001年)、『リンカーンの世紀』(青土社、2002年)、共著にStorming the Reality Studio (Duke UP, 1991), In Memoriam to Postmodernism (SDSUP, 1995), Transactions, Transgressions, Transformations (Berghahn Press, 2000) ほか多数。
目次
はじめに--「アメリカ文学史」とは何か
第1章 アメリカ文学史序説--ロード・ナラティヴの千年紀
1 アメリカン・ドリームは移動する
2 ロード・ナラティヴのフロンティア
3 グローバリズム以後のアメリカ文学地図
第2章 神権制下の文学--ピューリタニズム
1 キャプテン・ジョン・スミスの遺産
2 丘の上の町
3 反律法主義論争
4 異端者と異民族と
5 セイラムの魔女狩りとは何であったか
6 アメリカ的主体の多元的起源
7 マザーからエドワーズへ
第3章 独立革命の文学--リパブリカニズム
1 マザー、エドワーズ、フランクリン
2 自伝のタイム・パラドックス
3 信仰ではなく信用を
4 隠喩としてのファミリー・ロマンス
5 パンフレットの文学
6 『コモン・センス』から『独立宣言』へ
7 コネティカット・ウィッツ
8 アメリカ小説の起源
9 共和制読書のアレゴリー
第4章 膨張主義の文学--トランセンデンタリズム
1 アメリカン・ロマンスの曙
2 インディアンはひとりではない
3 ペイル・フェイス、レッド・スキン
4 アメリカン・ルネッサンス
5 ヤング・アメリカの文学的独立
6 一八五〇年の妥協
7 白鯨オン・ザ・ロード
8 白の女たち
第5章 進化思想の文学--ダーウィニズム
1 ダーウィン以前
2 ストウ夫人『アンクル・トムの小屋』
3 もうひとりのハリエット
4 南北戦争以前・以後
5 ゲティスバーグの演説
6 マーク・トウェインの冒険
7 リアリズムとナチュラリズム
8 ヘンリー・ジェイムズの想像力
9 クレオールの世紀末
第6章 荒地以後の文学--コスモポリタニズム
1 イエロー・ペリル
2 蝶々夫人症候群
3 一九〇〇年の奇遇--ボームとドライザー
4 パリのアメリカ人
5 コスモポリタンの詩学--パウンドとエリオット
6 「荒地」のあとで
7 失われた世代
8 荒地を越えて氷山の一角へ--フィッツジェラルドとヘミングウェイ
9 三〇年代への転換--ウィラ・キャザーの闘争
第7章 冷戦危機の文学--ポスト・アメリカニズム
1 アメリカの世紀
2 さまざまなルネッサンス
3 敗北の想像力--フォークナー、バック、ミッチェル
4 米ソ冷戦以前・以後
5 魔女狩り、赤狩り、同性愛者狩り--マシーセンに始まる
6 失われた世代からビート世代へ--またはサンフランシスコ・ルネッサンス
7 アメリカ黄金時代
8 サイバネティックス時代の文学
9 ポストモダン・アメリカの主体形成
10 二十世紀アメリカ小説最高傑作
11 文学史的自意識--ジョン・ベリマンの陰に
12 ポール・オースターとアメリカ文学史
13 ドン・デリーロ『アンダーワールド』または世紀転換期の夢と悪夢
第8章 アメリカ文学の正典を読む
1 ナサニエル・ホーソーン『緋文字』
2 ハーマン・メルヴィル『白鯨』
3 マーク・トウェイン『不思議な少年』
4 トマス・ディクソン『クランズマン』
5 ウィリアム・フォークナー『響きと怒り』
6 ジョン・スタインベック『怒りの葡萄』
7 リチャード・ライト『アメリカの息子』
8 J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』
9 トニ・モリスン『ビラヴド』
10 トマス・ピンチョン『メイソン&ディクソン』
11 アン・ブラッドストリート『十番目の詩神』
12 ウォルト・ホイットマン『草の葉』
13 ガートルード・スタイン『やさしい釦』
14 シルヴィア・プラス『エアリアル』
15 アドリエンヌ・リッチ『血、パン、詩』
16 ユージーン・オニール『楡の木陰の欲望』
17 アーサー・ミラー『セールスマンの死』
18 テネシー・ウィリアムズ『イグアナの夜』
19 T・S・エリオット原作 アンドリュー・ロイド・ウェッバー作曲
ミュージカル『キャッツ』
20 トニー・クシュナー『エンジェルス・イン・アメリカ』
第一部「至福千年紀が近づく」 第二部「ペレストロイカ」
Column
1 船旅のフロンティア
--ウィリアム・L・ヒート=ムーン『水路アメリカ横断8500キロ 西へ!』
2 ボルティモアの文学史
3 アメリカ禁酒運動の運命
4 ネイチャー・ライティング
5 リンチ国家アメリカ
6 ヴードゥー・ジャズ小説の最高峰--イシュメール・リード『マンボ・ジャンボ』
7 一九二〇年代の文学史革命
8 アメリカン・ゴシックの達成--ポール・ボウルズ『遠い木霊』
9 同毒療法のビート的伝統--ウィリアム・バロウズ『ウェスタン・ランド』
10 映画「すべての美しい馬」考--現世界の終わりと新世界の始まりを告げる
11 ブラック・フェミニズム--トニ・モリスン『パラダイス』
12 韓国系アメリカ文学の可能性--チャンネ・リー『最後の場所で』
13 ポストコロニアル文学の収穫--ジャメイカ・キンケイド『アニー・ジョン』
14 『小説作法』--スティーヴン・キングの極意
15 スポーツ小説を超えて--デイヴィッド・プリル『葬儀よ、永久に続け』
16 ナノテク文学の未来--ニール・スティーヴンスン『ダイヤモンド・エイジ』
参考文献
アメリカ文学年表
索引