G-SEC eyes
グローバル・セキュリティ入門
価格:1,650円 (消費税:150円)
ISBN978-4-7664-1037-2(4-7664-1037-8) C0331
奥付の初版発行年月:2005年05月 / 発売日:2005年05月上旬
国際的テロ、感染症、通貨金融危機、環境・エネルギー問題・・・。科学技術の発展は、テレビの向こう側にあった現象を私たちの身近な危機へと変えた。今日の私たちが直面している危機は、連鎖反応をしながら姿を変え、地理的・時間的な距離の概念を大きく超えて急速に伝播する。この「新たな危機」を理解するための「グローバル・セキュリティ」という考え方をわかりやすく紹介する知的で楽しい入門書。
薬師寺泰蔵
内閣府総合科学技術会議議員。慶應義塾大学客員教授。
竹内勤
慶應義塾大学医学部教授
福井弘道
慶應義塾大学総合政策学部教授
小林良彰
慶應義塾大学法学部教授
赤林英夫
慶應義塾大学経済学部助教授
目次
第1部 グローバル・セキュリティ入門のためのガイダンス
第一章 「新しい危機」の登場 薬師寺 泰蔵
グローバル・セキュリティとは何か/新しいリスク社会の到来/現代的リスク問題の特徴/構造的危機問題の例——キューバ危機/非構造的な危機の特徴/非構造的危機としての環境問題/異なるレベルの社会/「システム」としての社会/「フラクタル社会」の考え/リスク・パワーとカウンター・パワー/新しいリスク研究プロジェクトの必要性
第二章 G-SECマインド 薬師寺 泰蔵
G-SECマインドとは何か/ケテリス・パリブスの誤謬/動いているものを表現する——データの動的な可視化/既存科学の「翻訳」への挑戦/「翻訳」——新しいメガネを使うことで、見えなかったものが見えるようになる/「構造」ではなく、パターンを探す/政策科学の「第三ステージ」に向けて/非構造的危機解決のための人材養成の必要性/「専攻モジュール」と「政策エディティング」/G-SECセンターの必要性
第2部 G-SEC探訪
第三章 グローバル・イシューとしての感染症 竹内 勤
一 デンバーサミット
二 先進国と開発途上国の比較
マラリア/WHOの挑戦/マラリア流行のきっかけ
三 日本の経験 日本の経験の意味
四 日本の取組み 自立した人材の育成
五 今後の展開
第四章 空間情報と危機管理政策 福井 弘道
一 ジオ・インフォマティックスと空間情報社会
地域情報力/ジオ・インフォマティックス・プログラム/ジオ・イン フォマティックスで見る世界/総合政策科学としてのリスク研究の枠組み
二 「九・一一」以降の危機管理
「九・一一」の際の対応/ホームランド・セキュリティ/カリフォル ニア州の事例/マルチハザード・マッピング・イニシアチブ/Ge oNODE/オープンGISコンソーシアム
三 リスク対応型社会
リスク・コミュニケーション/リスク・コミュニケーションへの取組み /総合リスク情報マネジメント・システムの構築/岐阜県ふるさと地理 情報センター/日本の空間情報管理——統合型GIS/人材養成/デジ タル・アース
第五章 地方自治体と民主主義の変容 小林 良彰
一 何が危機なのか
長期的な危機/民主主義の危機
二 なぜ地域を見るのか
先行指標としての自治体/地域で何が起きているのか
三 時代の変化
市民の参加/地方分権一括法
四 ニュー・パブリック・マネージメント
行政の「顧客満足」/エンパワーメント/新しい政治文化
/自治体とNP
五 調査と分析
調査の概要/調査の結果/分析の枠組み/市長のNPMに対する認知態 度と社会・経済環境/NPM型政策の採用とエンパワーメント
六 結論と提言
市民へのエンパワーメントとしての住民投票/意識の改革
第六章 出稼ぎ労働と所得リスク 赤林 英夫
一 はじめに
出稼ぎ労働とは/出稼ぎをめぐる疑問/農村社会のリスク
二 グローバル化と人的資源のセーフティネット
グローバル化がもたらすもの/家族の経済理論
三 家計の抱えるリスクと出稼ぎの意味
所得リスク、健康リスク、社会リスク/家計のリスク対応/出稼ぎ労働 の意味
四 南アフリカ共和国における移動労働
アパルトヘイト/「内なるグローバル化」としてのアパルトヘイト廃止 五 利用データと推計方法
コンディショナル・ロジット・モデル/民主化と人口移動
六 出稼ぎ労働の実証分析
出稼ぎの発生頻度/出稼ぎの動機
七 出稼ぎはリスク回避行動か
分析結果の解釈/地域の雇用創出
八 今後の課題
出稼ぎ労働者の属性/労働移動による技術移転/今後の課題