コミュニケーション研究 第2版 社会の中のメディア
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-7664-1258-1(4-7664-1258-3) C3036
奥付の初版発行年月:2006年04月
コミュニケーションを考えるための手引書。
コミュニケーションに関する理論と資料を体系的に整理し、多くの図表を掲げてわかりやすく解説。
大石裕(おおいし ゆたか)
1956年東京生まれ。1979年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1985年慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程(政治学専攻)修了。(財)電気通信制作総合研究所、関西大学を経て、現在慶應義塾大学法学部政治学科教授(法学博士)。
主著に、『地域情報化——理論と政策』(世界思想社、1992年)、『政治コミュニケーション——理論と分析』(勁草書房、1998年)、『ジャーナリズムとメディア言説』(勁草書房、2005年)、『情報行動と地域情報システム』(共著:東京大学出版会、1996年)、『現代ニュース論』(共著:有斐閣、2000年)がある。訳書に、M.マコームズほか『ニュース・メディアと世論』(関西大学出版部、1994年)、G.E.ラング・K.ラング『政治とテレビ』(共訳:松籟社、1997年)など。
目次
第I部 コミュニケーションの構造と機能
第1章 コミュニケーションの基礎概念
1-1.コミュニケーションのとらえ方
(1)社会過程としてのコミュニケーション
(2)コミュニケーションの定義
(3)意味の共有という問題
1-2.コミュニケーション分析の基本単位
(1)一方向的なコミュニケーション・モデル
(2)効果分析の重要性
(3)フィードバック概念の導入
(4)マス・コミュニケーションのモデルへの展開
1-3.コミュニケーションの分類
(1)パーソナル・コミュニケーション
(2)中間コミュニケーション
(3)マス・コミュニケーション
(4)利用メディアと伝達される情報
1-4.情報行動と情報環境
(1)情報環境の中での情報行動
(2)共有される情報環境
(3)コピーの支配と擬似環境の環境化
(4)擬似環境におけるジャーナリズムの働き
1-5.「現実」の社会的構築・構成
(1)個人から(情報)環境への働きかけ
(2)「現実」の社会的構築・構成モデル
(3)予期される反応と「現実」の社会的構築・構成
(4)現実の「意味」の社会的構築・構成
第2章 コミュニケーションと社会構造
2-1.コミュニケーションの機能
(1)「機能」について
(2)コミュニケーションの機能
(3)コミュニケーションの機能とシステムの維持・安定
2-2.コミュニケーション効果・影響の研究
(1)コミュニケーション効果・影響研究の分類基準
(2)ミクロ—非累積的研究:説得研究
(3)ミクロ—累積的研究:社会化研究
(4)マクロ—非累積的研究:世論研究・流言(デマ)研究
(5)マクロ—累積的研究:コミュニケーションと社会変動の研究
2-3.「情報/コミュニケーション/社会」の関連図式
(1)社会過程/社会関係/社会構造
(2)第 I 層:情報の発信・伝達/交換・受容過程
(3)第 II 層:社会関係(物理的・文化的情報装置)
(4)第 III 層:社会構造・文化構造
第II部 マス・コミュニケーションとジャーナリズム
第3章 近代社会とマス・コミュニケーション
3-1.近代化の進展と近代社会の成立
(1)近代化の諸傾向
(2)分化と統合
(3)近代社会の特徴
(4)グローバリゼーション
3-2.情報環境の拡大と大衆社会の出現
(1)「市民社会」実現の期待
(2)大衆社会の脆弱性
(3)パワー・エリート論
3-3.マス・メディアの発達と普及(1)—欧米社会—
(1)「出版資本主義」と国民国家
(2)大衆紙の登場
(3)ラジオの黄金期
(4)最強のメディア=テレビ
3-4.マス・メディアの発達と普及(2)—日本社会—
(1)新聞の普及
(2)ラジオの普及
(3)テレビの普及
3-5.マス・コミュニケーションの機能
(1)マス・コミュニケーションの機能と逆機能
(2)マス・メディアの機能分析—テレビを中心に
3-6.日本社会におけるマス・メディア接触と機能評価
(1)マス・メディア接触の変化
(2)効用比較から見た機能評価
第4章 マス・コミュニケーションの効果・影響モデルの変遷
4-1.「市民社会」とマス・メディア
(1)市民的「公共圏」
(2)啓蒙機関としてのマス・メディア
(3)マス・メディア批判の視角
4-2.弾丸効果モデル
(1)宣伝研究
(2)パニック研究
(3)キャンペーン研究
4-3.限定効果モデル
(1)大衆社会と多元社会
(2)個人的要因
(3)集団的要因
(4)マス・コミュニケーション効果の一般化
(5)利用満足研究
4-4.強力効果モデル
(1)アジェンダ(議題)設定モデル
(2)沈黙の螺旋モデル
(3)培養理論
(4)メディア依存理論
4-5.強力影響・機能モデル
(1)スキーマ理論
(2)メディア・フレーム論
(3)能動的オーディエンス論とテクスト論
第5章 政治コミュニケーション論の展開
5-1.政治コミュニケーション論の視座
5-2.政治コミュニケーションの効果・影響研究
(1)政治コミュニケーション効果・影響研究に対する批判
(2)政治コミュニケーション効果・影響研究の修正と分類
5-3.批判的コミュニケーション論
(1)マルクス主義的政治コミュニケーション論
(2)批判的コミュニケーション論の展開
(3)イデオロギー装置としてのマス・メディア
5-4.多次元的権力観と政治コミュニケーション
(1)多次元的権力観
(2)多次元的権力状況におけるマス・メディアの役割
5-5.政治コミュニケーションの排除モデル
(1)排除モデルの視座
(2)カルチュラル・スタディーズ
(3)「能動的オーディエンス」再考
(4)言説分析
第6章 ジャーナリズムの自由と責任
6-1.マス・メディアの自由
(1)「自由」のとらえ方
(2)法制度的な保障
6-2.マス・メディアの自由に関する四理論
(1)権威主義理論
(2)ソビエト=全体(共産)主義理論
(3)自由主義理論
(4)社会的責任理論
6-3.マス・メディアの自由に関する他の理論構成
(1)発展のためのメディア理論
(2)民主的参加のためのメディア理論(i)—アクセス論への展開
(3)民主的参加のためのメディア理論(ii)—批判的観点からの展開
6-4.マス・メディアの規制と倫理
(1)放送に対する規制
(2)放送に対する規制根拠
(3)メディアの自主規制
6-5.ジャーナリズム活動の問題点
(1)ニュースのとらえ方
(2)ゲートキーパーとニュース・バリュー
(3)ニュースの共通性
(4)ニュースの共通性の要因(i)—ニュース組織とジャーナリスト
(5)ニュースの共通性の要因(ii)—記者クラブと発表ジャーナリズム
(6)ニュースの共通性の要因(iii)—客観報道
(7)ニュースの共通性の要因(iv)—ニュースの物語
(8)ニュースの共通性の要因(v)—テレビ・メディアの特質
6-6.ジャーナリズムと「現実」の社会的構築・構成
(1)濾過と省略の作用
(2)現実の社会的構築・構成(i)—擬似イベント
(3)現実の社会的構築・構成(ii)—メディア・イベント
(4)マス・メディア組織内での「現実」の社会的構築・構成
6-7.新たなジャーナリズムの模索
第III部 情報化の進展とコミュニケーションの変容
第7章 情報化の進展と情報社会論
7-1.情報化のとらえ方
7-2.情報化の進展とメディアの変容
(1)情報流通センサス
(2)情報化の測定
(3)情報化の構成要因
7-3.情報社会論と情報化政策
(1)脱産業社会論としての情報社会論
(2)各国の情報化政策
7-4.日本における情報社会論と情報化政策の展開
(1)未来社会論
(2)ニューメディア論
(3)マルチメディア論
(4)国家戦略としての情報化—e-Japan,u-Japan
第8章 情報化の進展とコミュニケーション過程
8-1.情報社会モデルと文化=コミュニケーション・モデル
(1)情報社会モデル
(2)文化=コミュニケーション・モデル
8-2.個人・家庭生活の情報化
(1)個人・家庭生活の情報化の指標
(2)インターネットの影響と効用
(3)情報化の進展と価値(観)の多様化
(4)個人間のデジタル・ディバイド
8-3.情報化と地域社会
(1)ケーブルテレビへの期待
(2)地域情報化構想
(3)情報化の地域間格差
8-4.情報化とマス・コミュニケーション
(1)新聞への影響
(2)放送への影響
8-5.情報化とグローバル・コミュニケーション
(1)情報の「南北問題」
(2)戦争報道
(3)インターネットと国家間のデジタル・ディバイド
第9章 日本社会の情報化と近代化
9-1.情報化に関する二つの見解—「狭義の情報化」論と、「広義の情報化」論
9-2.近代化の開始と交通・通信の創業
9-3.国家統合の進展と交通・通信網の整備
(1)地域間交流の活発化
(2)中央の成立と地方の従属化
9-4.産業化・都市化の進展と情報の大衆化
(1)産業化と都市化
(2)マス・メディア時代の到来と言論統制
9-5.高度産業社会における情報の一極集中
9-6.日本社会の中の情報化