ニクソン訪中と冷戦構造の変容 米中接近の衝撃と周辺諸国
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7664-1282-6(4-7664-1282-6) C3031
奥付の初版発行年月:2006年06月
▼東西冷戦システムを崩壊に導いた、1972年のニクソン訪中。「寝耳に水」といわれた日本の対応の裏には何があったのか。
▼当事国の米中に加え、日・ソ・韓・ベトナム・インドネシアそして台湾といった関係諸国への影響について、各国の専門家が明らかにする。
▼30年を経て公開された当時の米国政府機密資料、新発掘の各国一次資料をもとに、明快に冷戦史を解きあかす。
アメリカと中国が互いに接近する姿勢を見せつつあり、日本外交が問われるいま、真の外交政策とは何かを問う一冊。
増田 弘
東洋英和女学院大学国際社会学部教授。専門分野:日本外交史、日本政治外交論。
主要業績:(監訳)『周恩来 キッシンジャー機密会談録』岩波書店、2004年、(単著)『自衛隊の誕生』(中公新書)中央公論新社、2004年、『政治家追放』(中公叢書)、中央公論新社、2001年、『公職追放論』岩波書店、1998年、(編著)『アジアのなかの日本と中国』山川出版社、1995年。
伊藤 剛
明治大学政治経済学部教授。専門分野:国際政治学、日米中関係。
主要業績:(単著)『同盟の認識と現実—デタント期の日米中トライアングル』有信堂、2002年。Alliance in Anxiety: D?tente and the Sino-American-Japanese Triangle, Routledge, 2003. (編著)『比較外交政策—イラク戦争への対応外交』明石書店、2004年。(訳書)アルフレード・ヴァラダン『自由の帝国—アメリカン・システムの世紀』NTT出版、2000年。
望月敏弘
東洋英和女学院大学国際社会学部教授。専門分野:現代中国政治史・日中関係論。
主要業績:(共著)『20世紀の中国—政治変動と国際契機』、東京大学出版会、1994年、『歴史の中の中国政治—近代と現代』、勁草書房、1999年、『冷戦後アジア環太平洋の国際関係』、三嶺書房、1999年、『多文化と自文化』、森話社、2005年。
松田康博
防衛庁防衛研究所主任研究官。専門分野:東アジア論、中国および台湾の政治外交史、中台関係論。
主要業績:「台湾の政軍関係—政戦系統の役割を中心に(一九五〇〜八三年)」『アジア経済』(アジア経済研究所)43巻2号(2002年2月)。「台湾の大陸政策(1950-58年)—『大陸反攻』の態勢と作戦」『日本台湾学会報』(日本台湾学会)4号(2002年7月)、「中台関係と国際安全保障—抑止・拡散防止・多国間安全保障協力」『国際政治』(日本国際政治学会)135号(2004年3月)、「中国の軍事外交試論—対外戦略における意図の解明」『防衛研究所紀要』第8巻第1号(2005年10月)。
藩 亮
筑波大学人文社会科学研究科専任講師。専門分野:日本政治外交史、国際関係論、国際関係史。
主要業績:(単著)The United Nations in Japan's Foreign and Security Policymaking, 1945-1992: National Security, Party Politics, and International Status, Harvard University Asia Center, 2006、(共著)『池田・佐藤政権期の日本外交』ミネルヴァ書房、2004年、「占領下の日本の対外文化政策と国際文化組織—ユネスコ運動を中心に」『国際政治』127号(2001年5月)ほか。
倉田秀也
杏林大学総合政策学部教授。専門分野:国際政治学、安全保障論、韓国政治外交史。
主要業績:(共編著)『朝鮮半島と国際政治—冷戦の展開と変容』、慶應義塾大学出版会、2005年、『戦後日韓関係の展開』慶應義塾大学出版会、2005年、『現代国際関係論』東洋経済新報社、2005年、『アジア太平洋の安全保障とアメリカ』彩流社、2005年。
栗原浩英
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。専門分野:ベトナム現代史。
主要業績:「ホー・チ・ミンとスターリン」『アジア・アフリカ言語文化研究』65号(2003年3月)、(共著)『東南アジアの歴史』有斐閣、2003年、(単著)『コミンテルン・システムとインドシナ共産党』東京大学出版会,2005年、(共著)Chinh sach doi ngoai rong mo cua Viet Nam va quan he Viet Nam-Trung Quoc, Ha Noi,Nxb Khoa hoc xa hoi,2003.
宮城大蔵
政策研究大学院大学助教授。専門分野:日本外交史、国際政治史。
主要業績:(単著)『戦後アジア秩序の模索と日本』創文社、2004年(サントリー学芸賞受賞)、『バンドン会議と日本のアジア復帰』草思社、2001年、(共訳)『周恩来 キッシンジャー機密会談録』岩波書店、2004年。
斎藤元秀
杏林大学総合政策学部教授。専門分野:ロシア外交、国際関係論。
主要業績:(単著)『ロシアの外交政策』勁草書房、2004年、(編著)『東アジア国際関係のダイナミズム』東洋経済新報社、1999年、(共編著)『テロの時代と新世界秩序』時事通信社、2002年、“Northern Territories”and Beyond,Praeger, 1995.
目次
まえがき 増田 弘
序 章 問題の所在と構成 増田 弘
第一部 当事国の背景と歴史的意義
第1章 米中接近再考——「頭越し外交」の構造的分析 伊藤 剛
はじめに
Ⅰ 米中和解交渉と日中関係
Ⅱ 「ニクソン・ショック」下の日米関係
Ⅲ 日中国交正常化過程における米国
おわりに——中ソ対立と日中関係
第2章 中国の対米接近要因——国内的文脈と対外的文脈 望月 敏弘
はじめに
Ⅰ 国内的文脈からみた対米接近の動き
——国内政治の危機から再編成へ
Ⅱ 対外的文脈からみた対米接近の動き
——国際的孤立状況と中ソ対立の激化
おわりに
第3章 米中接近と台湾——情報統制と政治改革 松田 康博
はじめに
Ⅰ 米中接近の予兆
Ⅱ キッシンジャー訪中とニクソン訪中発表への対処
Ⅲ 国連脱退への対応
Ⅳ ニクソン訪中に対する危機管理
Ⅴ 蒋経国政権誕生に向けた「政治革新」
おわりに
第4章 ニクソン政権の対日安全保障政策
——十字路に立つ同盟と米国の選択 藩 亮
はじめに
Ⅰ ニクソン=キッシンジャーの安全保障戦略と日本
Ⅱ ニクソン・ショック前後の対日政策協議
Ⅲ 対日新政策をめぐる攻防
おわりに
第二部 関係諸国への影響
第5章 米中接近と日本
——日本政府(外務省)・自民党の対中国接近政策の失敗 増田 弘
はじめに
Ⅰ 日本政府(外務省)の第一次中国接近政策
Ⅱ 日本政府(外務省)の第二次中国接近政策
Ⅲ 日本政府・自民党の第三次中国接近策
おわりに——なぜ日本の中国接近政策は失敗したのか
第6章 米中接近と韓国
——「大国間の協調」と軍事停戦体制 倉田 秀也
はじめに
Ⅰ 周恩来訪朝とNSDM48——同盟の強化と弛緩
Ⅱ 第1回キッシンジャー訪中と軍事停戦体制——米中共同の影響力
Ⅲ 第2回キッシンジャー訪中とコミュニケ起草作業——UNCURK解体への圧力
おわりに——朝鮮問題「局地化」の限界
第7章 米中接近とベトナム労働党
——漸進的解放戦略と軍事攻勢戦略との間で 栗原 浩英
はじめに
Ⅰ 1971年初頭の労働党の内部事情と軍事行動の位置づけ
Ⅱ 米中接近に対する労働党の反応
Ⅲ 1972年9月の戦略転換から南ベトナム武力解放決定までの道程
おわりに
第8章 日中接近とインドネシア
——「日・豪・インドネシア三カ国構想」の模索 宮城 大蔵
はじめに
Ⅰ スハルト訪日——不可解な目的
Ⅱ スハルトの情勢認識——中国からの脅威
Ⅲ 日本へのアプローチ——「日・豪・インドネシア三カ国構想」
Ⅳ 曖昧な構想提起と経済問題での積極姿勢
Ⅴ 日本の反応
Ⅵ オーストラリアの反応
Ⅶ 裏面でのアプローチ
おわりに
第9章 米中接近とソ連 斎藤 元秀
はじめに
Ⅰ 珍宝島事件の衝撃
Ⅱ ニクソン訪中発表の衝撃
Ⅲ 第二次ニクソン・ショックとグロムイコ訪日
Ⅳ ニクソン訪中とソ連の安堵
Ⅴ 対日牽制外交の活発化——日中国交正常化から田中訪ソへ
Ⅵ 条約締結阻止を求めて
おわりに