福澤諭吉と自由主義 個人・自治・国体
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-7664-1352-6 C3010
奥付の初版発行年月:2007年05月
「いかなる偉大な学者も、他の人々の信念に基づいた多くの考えを取り入れているのである」(トクヴィル)。
福澤諭吉は、19世紀の自由主義者たちから何を学んだのか。そして、自らの思想をどのように形成したのか。ミル、ギゾー、トクヴィルらの著作から福澤が受けた影響を明らかにし、近代日本への提言を倦むことなく続けたその思考の軌跡を、鮮やかに提示する。トクヴィル『アメリカのデモクラシー』福澤手沢本の再現を巻末に収載。
安西敏三(あんざい としみつ)
甲南大学法学部教授、法学博士、日本政治思想史専攻。
1948年愛知県に生まれる。1972年学習院大学法学部政治学科卒業。1979年慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。
〔主要著書〕『福沢諭吉と西欧思想—自然法・功利主義・進化論—』名古屋大学出版会、1995年。『福澤諭吉の法思想—視座・実践・影響—』(岩谷十郎、森征一との共編著)慶應義塾大学出版会、2002年。
目次
凡例
序 章 J・S・ミル『女性の隷従』との対話
一 はじめに
二 着眼箇所
三 考 証
四 おわりに
第一章 「独一個人の気象」考——福澤とギゾー、そしてミル——
一 はじめに
二 ギゾーにおける”individuality”
三 ミルにおける”individuality”
四 「独一個」と「気象」
五 おわりに
第二章 国民(ネーション)の構想——ギゾー『ヨーロッパ文明史』福澤手沢本再読——
一 はじめに
二 「人民」と「国民」——その伝統的用法——
三 「国民」の発見——ギゾー文明史を通して——
四 おわりに
第三章 国体観念の転回——国体・政統・血統——
一 はじめに
二 維新前後の「国体」
三 「ナショナリチ」としての「国体」
四 「ポリチカル・レジチメーション」としての「政統」
五 「ライン」としての「血統」
六 おわりに
第四章 トクヴィル問題——政権と治権——
一 はじめに
二 「政府の政」と「人民の政」——「民権」の基底——
三 「政権」と「治権」——トクヴィル問題(1)——
四 「天稟の愛国心」と「推考の愛国心」——トクヴィル問題(2)——
五 西南戦争と『アメリカのデモクラシー』——トクヴィル問題(3)——
六 おわりに——その後の『アメリカのデモクラシー』——
第五章 バジョット問題——政治社外としての帝室——
一 はじめに
二 バジョットへの言及と引用
三 明治憲法制定期におけるバジョット問題
四 政治社外としての帝室
五 おわりに
あとがき
索 引
参考史料 福澤手沢本A.d.Tocqueville, Democracy in America, Tr. by H.Reeve.再現