内容紹介
Ut pictura poesis
詩は絵のごとし
エクゼキアスのキュリックス、ピカソ《アヴィニョンの娘》から
写楽《中山富三郎の宮城野》まで。作中にあらわれた豊富な絵画的イメージをテーマに、
西脇詩の魅力の秘密に迫る。
新倉俊一(にいくら としかず)
1930年生まれ。慶應義塾大学卒。フルブライト留学生としてミネソタ大学大学院に留学。明治学院大学名誉教授。西脇順三郎の全集や定本全詩集のテキストの校訂をはじめ、英詩集の翻訳に携わる。著訳書に、『西脇順三郎全詩引喩集成』(筑摩書房)、『西脇順三郎 変容の伝統』(東峰書房)、『エズラ・パウンド詩集』(角川書店)、『エズラ・パウンド詩集』(小沢書店)、『アメリカ詩の世界』(大修館書店)、『エミリー・ディキンスン——不在の肖像』(大修館書店)、『詩人たちの世紀——西脇順三郎とエズラ・パウンド』(みすず書房、ロゲンドルフ賞)、『ピサ詩篇』(みすず書房)、『評伝 西脇順三郎』(慶應義塾大学出版会、和辻哲郎文化賞、山本健吉文学賞)、『西脇順三郎コレクション』(全6巻、編者、慶應義塾大学出版会)ほか。
目次
プロローグ ジキル博士とハイド氏
Ⅰ 絵画的な詩への出発
1 詩の新しさと古さ
2 『アムバルワリア』の翻訳詩
3 もう一つのトリトンの噴水
Ⅱ 二大潮流 萩原朔太郎と西脇順三郎
1 音楽派と絵画派
2 女の立場 『旅人かへらず』はしがき
3 鳥居清長からクールベの女まで
Ⅲ 西脇詩の原風景
1 信濃川と郷里小千谷 風景としてのふるさと
2 多摩川と多摩人(たまびと)
3 「ふるさと」のエティモロジー 人類・宇宙・永遠
Ⅳ 詩と溶け合う絵 西脇美術館
1 グロテスクの画家たち ピカソから写楽まで
2 自然と芸術 ゴーガンからセザンヌまで
3 肖像画の「見立て」 ゴヤからマネまで
4 オノマトペーと諧謔 ゴッホ、クレー、キリコなど
5 彫刻のイメージ ミケランジェロ、ロダン、ムア
Ⅴ 西脇訳でエリオットを読む
1 パロディーか文明批評か 『荒地』をどう読むか
2 初めと終り 『四つの四重奏曲』をどう読むか
3 より巧みなる者へ エリオット、パウンド、西脇
Ⅵ 古典とモダン
1 「郷愁の詩人与謝蕪村」と「はせをの芸術」
2 西脇順三郎と現代詩人たち
エピローグ あとがきにかえて