総合研究 現代日本経済分析2
資源循環型社会 制度設計と政策展望
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-7664-1434-9 C3333
奥付の初版発行年月:2008年04月 / 発売日:2008年04月上旬
新たな資源循環レジームの構築をめざして
▼ペットボトル、家電、自動車、建設廃棄物など日本の個別リサイクルシステムの現状と問題点をつぶさに観察しつつ、「潜在資源価値」の本質的意味や「生産物連鎖制御」の実行可能性を理論面から明らかにする。
▼日本を含む東アジア全体を見据え、広域資源循環レジームを提唱するとともに、「バッズ」を「グッズ」に変える新たな社会経済システムの構築をめざした提言の書。
▼日本社会の新たな制度設計に挑む『総合研究 現代日本経済分析』シリーズ第2弾。
環境経済・政策学会 第1回学術賞を受賞しました。
細田衛士(ほそだ えいじ)
慶應義塾大学経済学部教授
1977年慶應義塾大学経済学部卒業、80年同経済学部助手、82年同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、87年同大学経済学部助教授を経て、94年より現職。
主要業績に、『環境制約と経済の再生産 ——古典派経済学的接近』(慶應義塾大学出版会、2006年)、『はじめての環境経済学』(共訳、東洋経済新報社、2005年)、『循環型社会の制度と政策』(岩波講座 環境経済学・政策学 第7巻)、『グッズとバッズの経済学』(東洋経済新報社、1999年)、“Recycling and Landfilling in a Dynamic Sraffian Model: Application of the Corn-Guano Model to a Waste Treatment Problem”, Metroeconomica, Vol.52, No.3, 2001, “Asymmetry of Control and Quantity Control in an Environmental Policy”, Environmental Economics and Policy Studies, Vol.3, No.4, 2000, “Material Cycle, Waste Disposal and Recycling in a Leontief-Sraffa-von Neumann Economy”, Journal of Material Cycles and Waste Management, Vol.2, 2000, “An Environmental Restriction and Income Distribution in a Capitalist Economy”, Metroeconomica, Vol.47, No.3, 1996, 他多数。
目次
はじめに
第1章 静脈経済の現状の概観——問題の所在
1.1 はじめに
1.2 廃棄物とリサイクルの現状
1.3 費用の側面
1.4 見えるフローと見えないフロー
1.5 法制度の対応
1.6 相場に揺れるリサイクル
1.7 おわりに
第2章 容器包装の適正処理とリサイクル
2.1 はじめに
2.2 容器包装の特徴——社会的費用の観点から
2.3 容器包装の動脈部・静脈部のアクター
2.4 容器包装リサイクル法の機能
2.5 容器包装の動脈的側面——ペットボトルの場合
2.6 健全なリサイクルを促進するために
2.7 おわりに
第3章 使用済み家電製品のリサイクルの現状と課題
3.1 はじめに
3.2 家電リサイクル法成立の背景
3.3 家電リサイクル法のあらまし
3.4 家電リサイクル法の特徴と問題点
3.5 今後の課題と展望
3.6 おわりに
第4章 使用済み自動車のリサイクルの現状と課題
4.1 はじめに——問題の所在
4.2 自動車リサイクル法施行以前のELVリサイクルの問題点
4.3 使用済み自動車リサイクル法をめぐる議論
4.4 ELV適正処理・リサイクルの新しい制度
4.5 おわりに
第5章 建設廃棄物リサイクルの経済的側面
5.1 はじめに
5.2 従来型の建設廃棄物処理の状況
5.3 建設系静脈市場の問題点と展望
5.4 最適化政策——バッズフローの最適制御
5.5 建設リサイクル法
5.6 おわりに
第6章 廃棄物の発生・排出抑制とリサイクルの制度的課題
6.1 はじめに
6.2 グッズとバッズの相対性
6.3 廃棄物問題解決の理念と従来型廃棄物処理レジームの問題点
6.4 資源循環型レジームに向けての新たなる展開の可能性
6.5 グッズとバッズの相対性に関する数学補論
6.6 おわりに
第7章 企業のイニシアティブによる廃棄物処理と情報
——拡大生産者責任の理論的基礎
7.1 はじめに
7.2 基本モデル——社会的な最適性
7.3 4つの代替的手法の同値性
7.4 一意な市場均衡の存在と最適料金の模索
7.5 おわりに
第8章 潜在資源価値と円滑な資源循環の可能性
8.1 はじめに
8.2 潜在資源性と潜在汚染性
8.3 残余物の資源価値の顕在化を促す条件
8.4 拡大生産者責任と環境配慮設計
8.5 具体的な事例による説明
8.6 土壌の潜在資源価値と再資源化
8.7 おわりに
第9章 使用済み電気・電子機器(E-Waste)の適正処理とリサイクル
9.1 はじめに
9.2 使用済み電気・電子機器(E-Waste)の現状——国内における回収とリサイクル
9.3 E-Wasteの潜在資源性と潜在汚染性
9.4 E-Wasteの海外流出
9.5 広域リサイクルの可能性
9.6 おわりに
第10章 東アジアを中心とした広域静脈・再生資源循環統治レジームの構築の可能性
10.1 はじめに
10.2 アクター・レジーム分析——概念設定
10.3 フォーマルレジームとインフォーマルレジームの乖離
10.4 バーゼル条約
10.5 フォーマルな広域資源循環レジームの構築と競争力
10.6 おわりに
第11章 新しい資源循環型レジームの展望
——国内資源循環と国際資源循環の接合
11.1 はじめに
11.2 3Rおよび国際静脈・再生資源循環の現況
11.3 市場の不完全性と生産物連鎖上での制御
11.4 包括的産業政策——資源循環戦略
11.5 おわりに