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再分配政策の政治経済学II年金改革と積極的社会保障政策【第2版】

年金改革と積極的社会保障政策【第2版】 再分配政策の政治経済学II

A5判 368ページ 上製
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-7664-1598-8 C3033
奥付の初版発行年月:2009年08月

内容紹介

社会保障の充実と経済成長とを結びつけた「積極的社会保障政策」を提唱!
▼年金制度改革に向け積極的賦課方式支持論を展開しつつ、社会保障の拡充と経済成長論とを結びつけた第2次ケインズ革命を提唱し、近年の社会保障政策の転換を予見した快著の第2版。
▼第27回(2004年度)労働関係図書優秀賞を受賞した初版に、著者が委員を務め年金財政シミュレーション、医療・介護費用シミュレーションなどを主導した社会保障国民会議での議論や、今日の経済危機を踏まえた追補を加筆。


権丈善一(けんじょう よしかず)
慶應義塾大学商学部教授(2002年4月〜)、博士(商学、慶應義塾大学)
1962年福岡県生まれ。1985年慶應義塾大学商学部卒業、1990年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了。嘉悦女子短期大学専任講師、慶應義塾大学商学部助手、助教授を経て、2002年慶應義塾大学商学部教授。
主要著作として、『社会保障の政策転換——再分配政策の政治経済学V』(慶應義塾大学出版会、2009年)、『医療政策は選挙で変える【増補版】——再分配政策の政治経済学Ⅳ』(慶應義塾大学出版会、2007年)、『医療年金問題の考え方——再分配政策の政治経済学Ⅲ』(慶應義塾大学出版会、2006 年)、『再分配政策の政治経済学Ⅰ——日本の社会保障と医療——[第2版]』(慶應義塾大学出版会、2005年〔初版2001年、義塾賞〕)、『医療経済学の基礎理論と論点(講座 医療経済・政策学 第1巻)』(共著、勁草書房、2006年)、翻訳としてV.R.フュックス著『保健医療政策の将来』(共訳、勁草書房、1995 年)がある。
URL http://kenjoh.com

権丈英子(けんじょう えいこ) 第4章執筆
亜細亜大学経済学部准教授(2005年4月〜)、アムステルダム大学経済学博士
1967年秋田県生まれ。1989年慶應義塾大学商学部卒業、1995年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了。東北女子短期大学専任講師、嘉悦女子短期大学専任講師、アムステルダム大学助手、研究員を経て、2005年亜細亜大学経済学部准教授。
主要著作として、"New Mothers' Employment and Public Policy in the UK, Germany, the Netherlands, Sweden, and Japan,"LABOUR, vol. 19(sl), December 2005,Balancing Work and Family Life in Japon and Four European Countries: Econometric Analyses on Mothers' Employment and Timing of Maternity, (Tinbergen Institute Research Series, Amsterdam: Thela Thesis, 2004 ), 『論争 日本のワーク・ライフ・バランス』(共著、日本経済新聞出版社、2008年)、『EUの公共政策』(共著、慶應義塾大学出版会、2006年)、『働き方の未来——非典型労働の日米欧比較』(共著、日本労働研究機構、2003年)がある。
URL http://www2.asia-u.ac.jp/~kenjoh/

目次

第2版刊行にあたって
はじめに

 勿凝学問(がくもんにこるなかれ) 1 思想と酩酊体質

I 年金改革論
第1章 年金改革論議の政治経済学——厚生労働省『年金改革の骨格に関する方向性と論点』を読んで
 1 年金制度と年金経済学の方法論
 2 年金理論編
 3 政策技術編
 4 政策評価編
 結論と議論
 補論1-Ⅰ
 補論1-ⅠI
 追補1-Ⅰ なぜ、日本でもスウェーデン方式が適用できると考えてしまったのか?
 追補1-Ⅱ なぜ、最低保障年金の実行は、この国で難しいのか?
 追補1-Ⅲ なぜ、未納が他の人に多大な迷惑をかけると考えてしまったのか?
 追補1-IV なぜ、民主党の年金戦略は歪んだのか?
 勿凝学問 2 メディアの日本的特徴と年金不信

第2章 年金改革と社会保障改革の考え方——『基本方針2003』を踏まえて
 1 年金論議の終焉
 2 経済の活力と国民負担率,そして学者の職分
 3 政府の規模と国民生活——典型的日本人の思考の癖
 4 研究者としての訓練の材料と研究者の政治的態度 
 勿凝学問 3 同音異義語のバランスシート

II 積極的社会保障政策論
第3章 積極的社会保障政策と日本の歴史の転換
序論
 1 福祉生産の3つの機関
 2 社会保障,政府の規模と経済パフォーマンス
 3 典型的日本人の悩み——社会問題
 4 典型的日本人の悩み——経済問題
 5 長期需要不足と日本の形の転換
 6 マクロ経済学の系譜と第1次,第2次ケインズ革命の意味
 7 経済成長論の展開
 8 ケインズ型成長理論——第2次ケインズ革命と社会保障
 結論と議論——大切な問題は政府の財源調達力であり,税制である
 追補3-Ⅰ リーマン・ブラザーズ破綻直前からの論
 勿凝学問 4 制度学派とリベラリズム、そしてネオ・リベラリズム

第4章 先進諸国の家族政策と学歴別出産タイミング
  ——家計パネルデータによるイギリス、オランダ、ドイツ、スウェーデンの4カ国比較
 1 ヨーロッパにおける出生率低下と出産の延期
 2 キャリア・プランニング動機と出産タイミング
 3 イギリス,ドイツ,オランダ,スウェーデンにおける家族政策
 4 イギリス,ドイツ,オランダ,スウェーデンにおける第1子出産タイミングの学歴間格差
 結論
 付録 書評 赤川学著『子どもが減って何が悪いか!』筑摩書房、2004年(評者:権丈英子)

第5章 社会保障の財源調達と消費税——民主主義を統治し得る市民が育っていない日本
 1 問題意識の所在
 2 人口問題に無策の90年代とその社会実験の結果
 3 出生率の動向と公共政策
 4 租税・社会保障負担と消費課税の規模
 5 消費税の逆進性,比例性,さらには累進性
 6 有効な少子化対策と財源の模索
 7 消費税誕生までの歴史的推移と益税
 8 民主主義的な意思決定——未組織納税者の無知と利益集団の政治力
 9 未組織納税者から信頼される消費税に
 勿凝学問 5 マニフェストと小選挙区比例代表並立制の矛盾

第6章 国税と社会保険料の財源調達力
 1 問題の所在
 2 国税と社会保険料の推移
 3 社会保険料の伸びを支えた要因
 4 結論と議論
 補論6-I 相続税の現状
 勿凝学問 6 Institutions matter——制度は重要である

初出一覧
あとがき
索引


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