オックスフォード ブリテン諸島の歴史第3巻
ヴァイキングからノルマン人へ
価格:8,140円 (消費税:740円)
ISBN978-4-7664-1643-5 C3322
奥付の初版発行年月:2015年10月 / 発売日:2015年10月上旬
▼ヴァイキング襲来の300年
北方の民からの攻撃にさらされるブリテン諸島。最新の史料をもとに、政治・経済・文化・宗教の観点から、西暦800から1100年の島嶼を詳述する。シリーズ完結巻!
本書は、790年代に始まったヴァイキングの襲来から、1066年のノルマン人の到来までのおよそ300年間のブリテン諸島を概観する。
ヴァイキング、君主およびその他の政治構造、領主と労働者との関係、交易と都市の発展、キリスト教化される社会、文字文化と学問の機能と普及、ブリテン諸島と大陸ヨーロッパとの関係など、この時代の鍵となるトピックを網羅する。
ウェンディ・デイヴィス(Wendy Davies)
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン名誉教授。専門は、初期ウェールズ、ブルトン、アイルランド、イングランド、ヨーロッパの歴史と考古学。著作に Wales in the Early Middle Ages (Leicester University Press, 1989), Acts of Giving: Individual, Community, and Church in Tenth-Century Christian Spain (Oxford University Press, 2007)など。
鶴島 博和(ツルシマ ヒロカズ)
FSA, FRHistS 熊本大学教授。
主要業績 (ed.), Nations in Medieval Britain (Donington, 2010) “The Moneyers of Kent in the Long Eleventh Century”, in David Roffe (ed.), The English and Their Legacy 900-1200, Essays in Honour of Ann Williams (Boydell, Woodbridge, 2012)、『バイユーの綴織を読む ―― 中世のイングランドと環海峡世界』(山川出版社、2015年)。
【原著監修】
ポール・ラングフォード(Paul Langford)
元オックスフォード大学リンカーン・カレッジ校長。
【編者】
ウェンディ・デイヴィス(Wendy Davies)[序論、結論]
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン名誉教授。専門は、初期ウェールズ、ブルトン、アイルランド、イングランド、ヨーロッパの歴史と考古学。
【著者一覧】
ポーリーン・スタッフォード(Pauline Stafford)[第一章]
リヴァプール大学歴史学教授。初期中世イングランドについて、また同時期の王妃たちについて著作多数。著作に The East Midlands in the Early Middle Ages (1986), Unification and Conquest: a Political and Social History of England in the Tenth and Eleventh Centuries (1989).
バーバラ・E・クロフォード(Barbara E. Crawford)[第二章]
セント・アンドルーズ大学名誉准教授。専門は、ヴァイキング時代と中世におけるスコットランドとスカンディナヴィアの歴史的関係。著作に Scandinavian Scotland (1987), The Northern Earldoms: Orkney and Caithness from AD 870 to 1470 (2013).
デイヴィッド・グリフィス(David Griffiths)[第三章]
オックスフォード大学ケロッグ・カッレッジ・フェロー、生涯教育科准教授。専門は、初期中世におけるブリテン、アイルランド、スカンディナヴィアの歴史。著作に Meols: The Archaeology of the North Wirral Coast (2007), Vikings of the Irish Sea (2010).
ロビン・フレミング(Robin Fleming)[第四章]
ボストン・カレッジ中世史教授。著作に Kings and Lords in Conquest England (1991), Domesday Book and the Law: Society and Legal Custom in Early Medieval England (1998), Britain after Rome: The Fall and Rise, 400 to 1070 (2011).
ヒュー・プライス(Huw Pryce)[第五章]
ウェールズ大学歴史学准教授(リーダー)。主著に Native Law and the Church in Medieval Wales (1993)、編著書に Literacy in Medieval Celtic Societies (1998), The Acts of Welsh Rulers, 1120-1283 (2005).
ダヒイ・オ・クローニーン(Dáibhí Ó Cróinín)[第六章]
アイルランド国立大学ゴールウェー校教授。
専門は、初期中世のアイルランドとヨーロッパの歴史。著作に Early Medieval Ireland, 400–1200 (1995), A New History of Ireland, volume one (2006).
ジョン・ギリンガム(John Gillingham)[第七章]
ロンドン・スクール・オヴ・エコノミクス名誉教授。専門は、アンジュー帝国の歴史。著作に The English in the twelfth century : imperialism, national identity, and political values (2000), The Angevin Empire (2001).
【日本語版監修・監訳者】
鶴島博和(つるしま ひろかず)
FSA, FRHistS 熊本大学教授。
【訳者一覧】
堀越庸一郎(ほりこし よういちろう)[第一章、第五章]
ロンドン大学歴史学研究所博士課程修了。
主要業績 ‘Churchscot, Tithes and Society in England before 1200’ (Ph. D. thesis, University of London, 2014)
小澤実(おざわ みのる)[第二章、第七章]
立教大学文学部准教授。
主要業績『辺境のダイナミズム』(共著、岩波書店、2009年)、『知のミクロコスモス』(共編著、中央公論新社、2014年)、『北西ユーラシア歴史空間の再構築』(共編著、北海道大学出版会、2015年近刊)。
森貴子(もり たかこ)[第三章、第六章]
愛媛大学教育学部准教授。
主要業績「アングロ・サクソン期ウスターの都市的発展と司教座 ―― 所領経済の解明に向けて」(『西洋史学論集』45号、2007年)、「アングロ・サクソン期イングランドにおける王の法典の史料的性格 ―― P. Wormald, The Making of English Lawを素材として」(『愛媛大学教育学部紀要』59巻、2012年)、「中世初期イングランドの集会をめぐって」(『愛媛大学教育学部紀要』61巻、2014年)。
内川勇太(うちかわ ゆうた)[第四章]
東京大学大学院人文社会系研究科西洋史学専門分野博士課程、日本学術振興会特別研究員(DC1)。
成川岳大(なりかわ たかひろ)[結論]
埼玉大学全学教育機構非常勤講師、立教大学文学部兼任講師。
主要業績「12世紀スカンディナヴィア世界における「宣教大司教座」としてのルンド」(『史学雑誌』2011年)、「遥かなるローマ ―― ノルウェー王スヴェッレにとっての教会権威と教皇庁」(甚野尚志・踊共二編『中近世ヨーロッパの宗教と政治』ミネルヴァ書房、2014年)。
【協力】
梁川洋子(やながわ ひろこ)
関西大学文学部非常勤講師。
主要業績『西洋の歴史を読み解く ―― 人物とテーマでたどる西洋史』(上田耕造・入江幸二・比佐篤・梁川洋子編著、晃洋書房、2013年)。
田付明子(たつき あきこ)
共立女子大学非常勤講師、東京大学文学部西洋史学研究室研究員。
主要業績 “Legal professions in early Ireland” University of Tokyo Center for Philosophy Bulletin, vol. 8 (2007).
目次
日本語版に寄せて(ポール・ラングフォード)
監修者序文(ポール・ラングフォード)
日本語版監修者序文(鶴島博和)
凡例
図版一覧
序 論 ウェンディ・デイヴィス
ヴァイキングの人びととノルマン人 / 先行研究の主要論点 /
イングランド対その他の地域 / 史料
第一章 王、王権、王国 ポーリーン・スタッフォード
王権、上位王権、君主権 / 王位継承 / 王と法 / 教会と王 /
王の財源の発達 / 外部からの力 ―― ヴァイキングとノルマン人
第二章 ヴァイキング バーバラ・E・クロフォード
ケルトのブリテンとアイルランド / 北部および東部イングランドへの
襲撃 / ウェセックスとアルフレッド王 / 「大軍勢」の解体 / 対照と
帰結 / 第二次ヴァイキング時代
第三章 交換、交易、都市化 デイヴィッド・グリフィス
交換すること、そして富をはかること / 九世紀 ―― 動乱と変化 /
権力中心地としての都市、876~1016年
第四章 領主と労働 ロビン・フレミング
ブリテンの景観と領主権 / アイルランドの景観と領主権 / 貴族の
消費 / 衣服と身分 / 食事と身分 / 際立った信仰心
第五章 キリスト教の浸透 ヒュー・プライス
教会は勝利したのか / 司教管区と修道院 / 教会組織と司牧 /
聖職者は俗世を離れた閉鎖的階層(カースト)か / 富と権力 /
異教徒からキリスト教徒へ ―― ヴァイキングと教会 /
信仰と行い
第六章 書くこと ダヒイ・オ・クローニーン
ヴァイキングの襲撃 / 読み書き能力と俗人 /
アルフレッド後のイングランドにおける大陸の影響 /
アイルランドにおける著述と学問
第七章 ブリテン、アイルランド、大陸 ジョン・ギリンガム
改革 / ノルマン征服 / 十字軍 / 世俗領主と世俗文化 /
聖職者文化 / 都市と交易
結 論 ウェンディ・デイヴィス
民族性(エスニシティ)と帰属(アイデンティティ) / 富 /
イングランドの拡大とケルト周縁の対応
訳注
文献案内
年表
索引