オックスフォード ブリテン諸島の歴史第10巻
20世紀 1901~1951年
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-7664-1650-3 C3322
奥付の初版発行年月:2013年08月 / 発売日:2013年08月下旬
20世紀の始まり。岐路に立つ帝国
▼本書第10巻では、ヴィクトリア女王が死去した1901年から第2次チャーチル内閣成立の1951年までを対象とし、2つの大戦、労働党政権の成立と福祉国家の形成、インドの独立とコモンウェルスの再編、大衆消費社会の誕生など、時代の転換をつくったキーワードをおいながら、帝国の最盛期が再編を繰り返しつつ、徐々に終焉に向かう過渡期の時代、50年を展望する。
▼本文註釈、訳註、索引用語解説、年表、地図等が充実しており、20世紀前半のイギリス史を学ぶ初学者の手引書としても最適。
キース・ロビンズ(Keith Robbins)
ウェールズ大学ランピーター校前副学長。
主要業績 The Eclipse of a Great Power: Modern Britain 1870-1992 (1994); Politicians, Diplomacy and War in Modern British History (1994); History, Religion and Identity in Modern Britain (1993); A Bibliography of British History 1914-1989 (1996); Great Britain: Identities, Institutions and the Idea of Brutishness (1998).
キース・ジェフリー(Keith Jeffery)
クィーンズ・ユニヴァーシティ・ベルファースト教授。
主要業績 The British Army and the Crisis of Empire, 1918-22 (1984); States of Emergency: British Governments and Strikebreaking since 1919 (Peter Hennessyとの共編, 1983); ‘An Irish Empire?’ Aspects of Ireland and the British Empire (1996); A Military History of Ireland (Thomas Bartlettとの共編, 1996); Ireland and the Great War (2000).
ダンカン・タナー(Duncan Tanner)
ウェールズ大学バンガー校教授。2010年逝去。
主要業績 Political Change and the Labour Party 1900-18 (1990); Labour's First Century (Pat Thane, Nick Tiratsooらとの共編, 2000); The Labour Party in Wales (Chris Williams, Deian Hopkinらとの共編, 2000).
シアン・ニコラス(Siân Nicholas)
ウェールズ大学アベリストウィス校講師。
主要業績 The Echo of War: Home Front Propaganda and the Wartime BBC 1939-45 (1996); Reconstructing the Past: History in the Mass Media 1890-2005 (Tom O' Malley, Kevin Williamsらとの共編, 2008).
デーヴィッド・ダットン(David Dutton)
リヴァプール大学教授。
主要業績 Anthony Eden: A Life and Reputation (1997); British Politics since 1945: The Rise, Fall and Rebirth of Consensus (1991); Neville Chamberlain (2001).
W・R・ガーサイド(W.R. Garside)
オタゴ大学教授。
主要業績 The Measurement of Unemployment: Methods and Sources in Great Britain, 1850-1979 (1980); British Unemployment, 1919-1939: A Study in Public Policy (1990).
ロドニー・ロー(Rodney Lowe)
ブリストル大学教授。
主要業績 Adjusting to Democracy: The Role of the Ministry of Labour in British Politics, 1916-1939 (1986); The Welfare State in Britain since 1945 (1993); From Beveridge to Blair: The First Fifty Years of Britain’s Welfare State, 1948-98 (Margaret Jonesとの共編, 2002).
鶴島 博和(ツルシマ ヒロカズ)
FSA, FRHistS 熊本大学教授。
主要業績 (ed.), Nations in Medieval Britain (Donington, 2010) ‘The Moneyers of Kent in the Long Eleventh Century’, in David Roffe (ed.), The English and Their Legacy 900-1200: Essays in Honour of Ann Williams (Woodridge, 2012).
秋田 茂(アキタ シゲル)
大阪大学大学院文学研究科世界史講座教授。
主要業績 (ed.), Gentlemanly Capitalism, Imperialism and Global History (London and New York, 2002)、単著『イギリス帝国とアジア国際秩序』(名古屋大学出版会、2003年)、単著『イギリス帝国の歴史』(中央公論社、2012年)、秋田・桃木編『グローバルヒストリーと帝国(阪大リーブル)』(大阪大学出版会、2013年)。
中村 武司(ナカムラ タケシ)
弘前大学人文学部准教授。
主要業績 British history 1600-2000: expansion in perspective (共著、London, 2010)、 ‘The commemoration of Nelson and Trafalgar in St Paul’s Cathedral’, The East Asian Journal of British History, 2 (2012)、『グローバルヒストリーと帝国』(共著、大阪大学出版会、2013年)。
水田 大紀(ミズタ トモノリ)
大阪大学大学院文学研究科助教。
主要業績 「19世紀後半イギリスにおける官僚制度改革とクラミング――自助による「競争精神」の浸透」『西洋史学』219(2005年)、「“ティーカップ”のなかの「帝国」――1870-80年代マルタにおける政治改革と言語教育」『歴史評論』692(2007年)、「近代イギリス官僚制度改革史再考――調査委員会と官僚たちの同床異夢」『史林』94-6(2011年)。
山口 育人(ヤマグチ イクト)
帝京大学総合教育センター講師。
主要業績 「アトリー労働党政権の対外経済政策と植民地」『史林』82-4(1999年)、「英米借款協定再考――イギリスの戦後世界経済構想とアトリー労働党政権」『二十世紀研究』5(2004年)、「コロンボプランの成立とアトリー労働党政権のスターリング政策」『史林』90-6(2007年)。
【監修者】
キース・ロビンズ(Keith Robbins) [序論、第三章、結論]
ウェールズ大学ランピーター校前副学長。
キース・ジェフリー(Keith Jeffery) [第一章]
クィーンズ・ユニヴァーシティ・ベルファースト教授。
ダンカン・タナー(Duncan Tanner) [第二章]
ウェールズ大学バンガー校教授。2010年逝去。
シアン・ニコラス(Siân Nicholas) [第四章]
ウェールズ大学アベリストウィス校講師。
デーヴィッド・ダットン(David Dutton) [第五章]
リヴァプール大学教授。
W・R・ガーサイド(W.R. Garside) [第六章]
オタゴ大学教授。
ロドニー・ロー(Rodney Lowe) [第七章]
ブリストル大学教授。
【日本語版監修】
鶴島 博和(つるしま ひろかず)
FSA, FRHistS 熊本大学教授。
【監訳者】
秋田 茂(あきた しげる) [序論、第一章、第二章]
大阪大学大学院文学研究科世界史講座教授。
【訳者一覧】
中村 武司(なかむら たけし) [第三章]
弘前大学人文学部准教授。
水田 大紀(みずた とものり) [第四章]
大阪大学大学院文学研究科助教。
山口 育人(やまぐち いくと) [第五章、第六章、第七章、結論]
帝京大学総合教育センター講師。
目次
日本語版に寄せて(ポール・ラングフォード)
監修者序文(ポール・ラングフォード)
日本語版監修者序文(鶴島博和)
凡例
図版一覧・地図一覧
序 論 中間点 半世紀のブリテン諸島と「帝国」 キース・ロビンズ
時代の兆候
理念と現実
バランスの問題
総力戦
過ぎ行く栄光?
第一章 ブリテン諸島/イギリス帝国 二重の委任/二重のアイデンティティ
キース・ジェフリー
新世紀の帝国
ボーア戦争とその影響
帝国防衛への挑戦
戦間期の帝国
本国と海外における大衆帝国主義の動員
帝国の見世物──帝国博覧会とはかないもの
帝国の糧──経済と帝国
帝国的コモンウェルス──民主主義と帝国
スポーツ、スターリング、「信号情報」
帝国の終焉
第二章 統治者の選出/選ばれた者の統治 ダンカン・ターナー
1914年以前のイギリス政治の構造
第一次世界大戦とその余波
戦後政治の再構築──統治者の選出
帝国との関連性
選ばれた者の統治?
挙国一致内閣と帝国
挙国一致内閣と選挙政治
第二次世界大戦とその余波──労働党の実績の評価
第三章 イギリス的やり方と目的 キース・ロビンズ
イギリス的才能
王国の多様性
義務の要求
アイルランド──その岐路
未解決の統合
イギリスの問題を表現する
統合を調整する
特別なままであること
最良の時間と未来の予感
第四章 イギリス人であること 信条と文化 シアーン・ニコラス
芸術──ハイ・カルチャー、ロー・カルチャーと、大衆的な中間の文化
スポーツ文化
「信仰をもつ」
青少年文化
女性と文化
一つの国民文化か、多様な国民的文化か
アメリカ化
「イギリス人であること」──国民文化の擁護
第二次世界大戦──国民文化とナショナル・アイデンティティ
1939~45年
新時代の到来
第五章 統合と分離 勝利の代償 デイヴィッド・ダットン
疑いのない勝利
勝利の代償?
なおも世界大国として
欧州の一員か、帝国とともに生きるか
「統合された王国(ユナイテッド・キングダム)」
共通の目標のための結集
「新しい理想社会(ニュー・イェルサレム)」建設に向かって
「戦後の合意(コンセンサス)」
世紀中間点での総括
おわりに――世紀後半を展望しながら
第六章 後退する優位 イギリス経済 W・R・ガーサイド
エドワード時代――「最盛期」? それとも忍び寄る衰退?
第一次世界大戦下の経済、1914~18年――負担とチャンス
つまずく大戦後の経済
世界経済の変容に直面する1920年代のイギリス
嵐の1930年代――恐慌と回復
正統主義対急進主義――1939年以前の政策の優先順位
二度目の世界大戦と戦後再建
「黄金時代」を前にして――1950年のイギリス経済
第七章 富、貧困、進歩 ロドニー・ロー
資産と収入の分配
なぜ再分配が実現したのか 階級への影響
貧困 社会的帰結
地域、ジェンダー、人種における不平等
地域的不平等 ジェンダーにおける不平等 人種の不平等
福祉に対する政府の役割
結語
結 論 衰退と進歩 キース・ロビンズ
訳注
文献案内
年表
地図
索引