同時代の毀誉褒貶を、原典で読む。
▼1970年に弊社(当時:慶應通信株式会社)から刊行された『資料集成 明治人の観た福澤諭吉』の復刊(改題)。福地桜痴、中江兆民、田口卯吉、徳富蘇峰、山路愛山、三宅雪嶺、陸羯南など福澤諭吉の同時代人や、明治に生まれた正宗白鳥、津田左右吉らによる福澤諭吉評価を、原典から集成したもの。
▼福澤門下生や慶應関係者はできるだけ除いた人選で、福澤への評価の諸相を知ることができる。編者の視点から資料の選択、抜粋がされており、福澤が各々の筆者からどのような評価をされたかを知るには、各々の筆者が書いたものをそのまま読むよりわかりやすい。
▼各文ごとに編者による簡潔な解説が付されており、理解の助けになる。新組版で読みやすい。
【編者】
伊藤正雄(いとう まさお)
甲南大学名誉教授。
明治35年(1902)生まれ。昭和2年(1927)東京帝国大学文学部国文学科卒業。神宮皇學館教授、甲南大学教授、神戸女子大学教授を歴任。昭和53年(1978)没。
主要業績
『福澤諭吉入門』(毎日新聞社、昭和33年)、『学問のすゝめ講説』(風間書房、昭和43年)、『福澤諭吉論考』(吉川弘文館、昭和44年)など。近世文学の研究書、エッセイも多数。
目次
01 旧友福澤諭吉君を哭す 福地桜痴
02 福澤先生の文章(仮題) 中江兆民
03 福澤翁逝けり 田口鼎軒
04 福澤諭吉君と新島襄君 徳富蘇峰
05 文字の教を読む—文—学者としての福澤諭吉君 徳富蘇峰
06 福澤諭吉氏の政治論 徳富蘇峰
07 福澤翁 徳富蘇峰
08 瘠我慢の説を読む 徳富蘇峰
09 福澤諭吉君の著述とその人物(仮題) 山路愛山
10 欧化主義に対する最初の反動者(仮題) 山路愛山
11 偏人福澤先生(仮題) 山路愛山
12 福澤先生の政治論(仮題) 山路愛山
13 福澤翁と敬宇先生(仮題) 北村透谷
14 福澤先生 戸川秋骨
15 福澤諭吉と大隈重信 三宅雪嶺
16 天爵を重んずること、三百年間類を見ず(仮題) 三宅雪嶺
17 独立自尊も大阪流(仮題) 三宅雪嶺
18 政論社会の通人(仮題) 陸羯南
19 福澤翁の修身要領 朝比奈知泉
20 福澤翁の『修身要領』を評す 井上哲次郎
21 福澤諭吉氏 高山樗牛
22 功利学普及の功罪(仮題) 高山樗牛
23 『修身要領』の功罪(仮題) 高山樗牛
24 福澤氏の瘠我慢説 大町桂月
25 福澤諭吉を弔す 大町桂月
26 福澤翁と大隈伯 大町桂月
27 新聞記者としての福澤諭吉翁 島谷部春汀
28 福澤諭吉翁 鳥谷部春汀
29 福澤先生 竹越三叉
30 福澤先生の諸行無常 植村正久
31 福澤先生の感化とその安心法 植村正久
32 福澤先生を弔す 植村正久
33 福澤諭吉翁 内村鑑三
34 福澤氏の宗教家に対する説教 内村鑑三
35 教育の真義(治者と被治者) 新渡戸稲造
36 福澤諭吉翁 島田三郎
37 福澤翁の『新女大学』を評す 木下尚江
38 修身要領を読む 幸徳秋水
39 啓蒙思潮の先導者(仮題) 大西祝
40 『福翁百話』を読む 綱島梁川
41 福澤翁の『新女大学』を評す 津田左右吉
42 明治文壇最初の新文学者(仮題) 岩城準太郎
43 福澤諭吉の文章(仮題) 正宗白鳥
44 福澤諭吉氏 容膝堂主人
45 衆議院議長の最適任者(仮題) 陸羯南
46 学界貴族主義への警鐘(仮題) 陸羯南
《付録》 南方熊楠の福澤への傾倒について——『南方熊楠全集』中の資料の解説 笠井清
索引