瀧口修造1958 旅する眼差し
価格:55,000円 (消費税:5,000円)
ISBN978-4-7664-1662-6 C70
奥付の初版発行年月:2009年10月
内容紹介
旅人となった詩人の「眼差し」
◎1958 年5月、瀧口修造はヴェネツィア・ビエンナーレ代表としてヨーロッパに旅立つ。ヴェネツィアでの公務のあと、パリを拠点にヨーロッパ各地を周遊、スペインではサルバドール・ダリ邸でマルセル・デュシャンと邂逅し、ベルギー、オランダ、スイスではヒエロニムス・ボスやパウル・クレーなど「幻想画家」の作品をたずねる巡礼者となる。そして戦前から交流を重ねたシュルレアリスムの指導者アンドレ・ブルトンとパリで会見を果たすまで、瀧口の旅は4ヶ月以上におよんだ。
◎旅行中、瀧口がみずからシャッターを切り、多くの写真を遺したことはあまり知られていない。その総数は1200点にも及び、現在、慶應義塾大学アート・センターに所蔵されている。瀧口自身、写真論を多数書いてはいたものの、みずから撮影した写真を発表することはほとんどなかった。今回、遺された写真のなかから184点を写真集に収録。瀧口独自の写真的感性をうかがわせる貴重な一冊となっている。
◎写真集に加えて、旅の写真一覧、瀧口綾子宛書簡集、解題、旅程を収録した「解説書」、また付録としてオリジナルプリント、「旅の手帖」と「絵葉書」のファクシミリなどをボックスに収め、旅人となった詩人の「眼差し」を克明に再現した。
瀧口修造(たきぐち しゅうぞう、1903年12月7日—1979年7月1日)
美術評論家、詩人。富山県出身。慶應義塾大学で西脇順三郎の教えを受ける。シュルレアリスムに限らず、ヨーロッパの前衛美術に関する文献を日本に多く紹介した。またアンドレ・ブルトンなどとも交流した。1938年には、阿部芳文、永田一脩、今井滋、田中雅夫らとともに「前衛写真協会」を結成。戦後は、実験工房を主催するとともに、美術評論を数多く著し、戦前に引き続き、旺盛な活動を行う。マルセル・デュシャンに傾倒。執筆活動のみにとらわれず、デカルコマニーの制作も行った。