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地域開発の知恵と発想ドバイのまちづくり

ドバイのまちづくり 地域開発の知恵と発想

四六判 288ページ 並製
価格:2,860円 (消費税:260円)
ISBN978-4-7664-1689-3 C33
奥付の初版発行年月:2009年10月

内容紹介

地方の時代の成長戦略を描く!
▼青い空、白い砂浜、豪華なホテルなど、超高級リゾート地として注目されるドバイ。
しかし、その歩みは「カネなし、ヒトなし、資源なし」の砂漠に囲まれた小さな港町から始まる・・・。
3代にわたる賢人リーダーの足跡をたどりながら、産業インフラの整備、
地球上のヒトとモノを集めるハブ戦略、外国人雇用政策など、ドバイの成長要因を解き明かす。
まちおこしの発想を転換させ「地域開発読本」。


佐野陽子(さの ようこ)
嘉悦大学名誉学長・理事、慶應義塾大学名誉教授。
1954年慶應義塾大学経済学部卒業、57年同大学院経済学研究科修士課程修了、59年同経済学研究科博士課程修了、70年博士号取得(経済学、慶應義塾大学)。1960年慶應義塾大学産業研究所助手、72年慶應義塾大学商学部教授、96年東京国際大学商学部教授、2001年嘉悦大学学長・経営経済学部教授、2005年より嘉悦大学名誉学長。
この間、64年イリノイ大学労使関係研究所所員、83年グラスゴー大学政治経済学部客員研究、92年エセックス経済商科大学院訪問教授、93年フィリピン国立大学労働産業関係大学院訪問教授、96年クランフィールド経営大学院訪問教授。また、87-88年日本労務学会代表理事、89-90年慶應義塾大学商学部長・大学院商学科研究科委員長、94年より慶應義塾評議員。
専門は人的資源管理論、労働経済学。
主要業績に、『賃金決定の計量分析』(東洋経済新報社、1970年。日経・経済図書文化賞受賞)、『労働市場と情報』(共著、慶應通信、1982年)、
Human Resource Management in Japan (Keio University Press, 1995)、『研究開発人材のマネジメント』(共同執筆、慶應義塾大学出版会、2002年)、『働く助成の履歴書——無名のウーマンパワー』(共著、朝陽会、2005年)、『はじめての人的資源マネジメント』(有斐閣、2007年)、『慶應義塾で学んだ女性たち』(共同執筆、慶應義塾大学出版会、2008年)など、翻訳書に『人的資本——教育を中心とした理論的・経験的分析』(ゲーリー・ベッカー著、東洋経済新報社、1976年)。

目次

はじめに
 なぜドバイなのか?
 地域研究の必要を痛感して
 本書の構成

第1章 ドバイの成り立ち
 ドバイはどこ?
 アラブ首長国連邦以前のオスマン帝国
 ドバイ首長国のルーツ
 イランとの深い関係
 イスラエルの建国と中東におけるアメリカ
 中東の石油と地政学的緊張
 アラブの大国・サウジアラビア王国
 湾岸アラブ国家共同会議(GCC)の誕生
 アラブ首長国(UAE)におけるドバイの地位
 ドバイ政府と政府企業の構図
  ドバイ政府組織
  ドバイの政府系企業
 戦国時代を経て

第2章 ドバイの賢人リーダーたち
  シェイク・ムハンマドはドバイ首長国の経営者?
  取材記者を隣に乗せて案内する首長
  日本とドバイの劇的な出会い
  ハイジャック機がドバイに強制着陸
  ドバイにいた日本人が通訳
  ムハンマド交渉人の根気強い説得
  アラブで起こったことはアラブで解決
  ムハンマドとハイジャッカーを結んだ「アラブの心」
 ドバイ首長国・マクトゥーム家のお家柄
 シェイク・ムハンマドの偉大なる父・ラーシド
 「マジュリス」というアラブ社会の意思決定制
 ドバイ政府の政策決定は誰が?
 シェイク・ムハンマドの生い立ち
 父から与えられたムハンマドの任務はUAE国防相
 皇太子時代のムハンマド ——一九九五—二〇〇六年
 詩人であり馬主であるムハンマド
 シェイク・ムハンマドはこのようなリーダー
 国造りのビジョンの継承について

第3章 国造りは産業インフラから
 産業インフラはドバイ発展モデルの原点
 政府が二つードバイ政府と連邦政府
 UAEの概要と人口
 UAEの経済水準
 ドバイがモデルとしたシンガポール共和国
 小さな国でも交易のハブ(中継拠点)
 大型産業インフラにこだわった「ドバイの父・ラーシド」
 港湾も空港も完成ということがない
  港湾インフラ
  空港インフラ
  エミレーツ航空
  ドバイ・メトロ
  アラビア運河
 ドバイの国造りは大型インフラ投資から

第4章 世界の企業をよびこむフリーゾーン(経済特区)
 ドバイ首長家の家訓——ハコモノが先?
 フリーゾーン(経済特区)って何?
 世界・ビジネスのしやすさランキング
 ドバイはフリーゾーン花盛り
  中東初のジュベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA)
  国際空港に隣接するドバイ・エアポート・フリーゾーン(DAFZ)
  最高水準の医療と保養を目指すドバイ・ヘルスケア・シティ(DHCC)
  金融の雄・ドバイ国際金融センター(DIFC)
  多くのフリーゾーンがドバイを覆う
 ドバイの産業インフラ、フリーゾーンと産業発展
 ドバイはなぜ、フリーゾーンをつくったのか
 フリーゾーンの落とし穴
 ドバイには住所がない
 日本の経済特区

第5章 人を「エキサイト」させる仕掛け
 手広く開発を続けるドバイの政府系企業
 ドバイの顔を司る企業・ドバイ・ホールディング
  超豪華ホテル、ブルジュ・アル・アラブとは
  水のテーマパーク、ワイルド・ワディ・ウォーター・パーク
  砂漠に出現したスキー場とスケート場
  買い物天国・ショッピング・モール
 ハードの魅力を高めるフェスティバルの数々
 ナンバーワン戦略  
 モノづくりからは生まれない非日常領域

第6章 高度情報化都市のメディア戦略
 インターネットの普及
  ITの基盤をつくったドバイ・インターネット・シティ (DIC)
  ドバイを情報のハブにするために
  UAEのインターネット検閲制度 
  ドバイの検閲はダブル・スタンダード
マスメディア戦略
  世界報道自由ランキング
  中東を代表するマスメディア
  ドバイ首長のホームページ
  ドバイ・メディア・シティ(DMC)の役割
  ドバイ・ナレッジ・ビレッジ(DKV)
  ドバイ学術シティ(DAC)とドバイ国際学術シティ(DIAC)
 ドバイ政府のマスメディア戦略
  世界一を発信する
  ビッグ・ネームを借りる
  政治声明を出す
 情報化は小国ほど成功する?

第7章 資金調達の謎
 投資の資金は借り入れで
 ドバイに流れ込む資金
 ドバイ政府系企業は首長直轄
 ドバイ金融危機対応委員会の報告
 ドバイ政府による政府債の発行、実はアブダビ首長国による金融支援
 不動産バブルのつまずき
 個人金融資産が豊富な日本

第8章 ドバイを支える人材
 アラブ首長国連邦(UAE)の国民とは
 外国人都市ドバイ
 ドバイの自国民増加策
  結婚奨励
  妊娠のための医療——ドバイ婦人科不妊治療センター——
  UAEの子供に対する手厚い保障
  ドバイのラクダ・レースから子供が消えた
 UAE労働市場事情
  働き盛りが中心のUAE労働力人口
  UAE国民の失業事情
  新規学卒者に手厚い職業訓練と職業紹介
  給料格差と労働時間
  外国人の就労プロセス
 外国人労働力はフロー人材・国民はストック人材
  ストック人材は終身雇用、フロー人材はその都度(つど)雇用
  日本でもフロー人材は増える
 労働市場のヒエラルキー
  労働力の階層化
  学歴と英語力が重要
  ドバイにもあるフリーター現象
 外国人労働者の住居事情
 人的資源管理の問題点
 ドバイ戦略プラン2015における今後の雇用

第9章  異文化共生圏ドバイ
 イスラム教を国教とするアラブ諸国
  湾岸アラブ諸国の宗教
 UAEアラブ国民の生活文化
  国民性
  長い挨拶
  驚愕の生活水準の上昇
  正式衣装——アバーヤとカンドゥーラ——
  平均では語れない住生活
 イスラム文化とアラブ
 イスラムの連帯感——イスラム諸国会議機構——
 メルティング・ポットかサラダ・ボールか
  グローバルな風土
  外国人居住者の管理
  格差はあるが差別はない国
 出身国別のコミュニティ
 異文化共生圏としてのドバイ
 徹底したハブ思想

第10章 ドバイ・モデルとは
 ドバイ・成長の軌跡と2015年までの発展計画
 ドバイ・モデル2009——世界ナンバーワン戦略——
 ドバイ開発モデルの特徴
  そのスピード
  小さい国
  柔軟な外交と国の安全
  世界の知能を集める、MICE(マイス)は観光開発の要
  規模広大・気宇壮大
  地球改造を辞さない人工島
  フロー人材としての外国人対策
  資金の調達
 UAEアブダビ首長国はライバル
 むすび

あとがき

参考資料
ドバイ史年表


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