聖書と比喩 メタファで旧約聖書の世界を知る
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-1766-1 C3016
奥付の初版発行年月:2011年01月 / 発売日:2011年01月中旬
古代と現代の言葉をつなぐ奇跡、メタファ。
▼古代ヘブライ人のしなやかな言語観は、時空を超えて、現代の私たちに何を語りかけているのだろうか。メタファの仕組みを解析しながら、数千年前に描かれた難解な古代ヘブライ語の表現世界をやさしく読み解いていく。
▼ 本書において、言語の歴史的変化を扱うフィロロジストと、現代の言語データを理論に基づいて分析するセオリストの協働研究によって『旧約聖書』の通時的視点かつ共時的視点の統合が実現した。巻末には、その分析リストを掲載。180にわたる項目は、聖書の読解のみならず、日常の英語表現や欧米の文学作品及び映画などにみられる比喩表現の読み解きにも役立つだろう。
▼『旧約聖書』をこれから読む人も読み直す人にも新しい発見がある一冊。
橋本功(ハシモトイサオ)
1944年生まれ。関西外国語大学外国語学部教授。
名古屋大学大学院修士課程修了、文学博士(名古屋大学)。専攻は、英語史、聖書英語の研究。主要著書に、『英語史入門』(慶應義塾大学出版会、2005年)、『聖書の英語とヘブライ語法』(英潮社、1998年)、『聖書の英語———— 旧約原典からみた』(英潮社、1995年)など。
八木橋宏勇(ヤギハシヒロトシ)
1979年生まれ。杏林大学外国語学部講師。
慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程(単位取得満期退学)。専攻は、認知言語学・社会言語学・第二言語習得論。主要業績に、「サイバースペースコミュニケーション」(唐須教光(編)『開放系言語学への招待————文化・認知・コミュニケーション』、慶應義塾大学出版会、2008年)など。
目次
はじめに
第1部 聖書の扉を開く
1. 旧約聖書の世界
イギリスと英語の聖書
『旧約聖書』原典の言語
『旧約聖書』・『新約聖書』・『外典』
ユダヤ教とキリスト教
『外典』・『旧約聖書続編』・『アポクリファ』
『旧約聖書』の文字
ヘブライ語の英訳と日本語訳
2. 旧約聖書と古代世界
バイブルと古代都市ビブロス
アブラハムの時代
アブラハムの時代の人々と生活
結婚と出産
乳と蜜が流れる地カナン
ヘブライ人
ユダヤ人とヘブライ人
イスラエル人
アブラハム時代の戦
テントと家
食事
ヘブライ人の宇宙観
『旧約聖書』の成立
3. 子音文字の記憶
ヘブライ語と子音文字
ヘブライ語アルファベットと英語アルファベット
『旧約聖典』原典
子音文字の記憶 その1
子音文字の記憶 その2
4. 現代に伝わる古代ヘブライ語の響き
反復
平行体
第2部 メタファの扉を開く
1. 天地創造と「光」
「分」けて「分」かる
「分類」と「理解」
2.「概念」と日常に溢れる比喩
メタファ1——再び天地創造と「光」
メタファ2——「上」と「下」の概念メタファ
メタファ3——概念メタファ:「心は容器である」
メタファ4——概念メタファ:「人生は旅である」
メトニミ1——意味の焦点をずらす
メトニミ2——聖書の表れるメトニミ
シネクドキ——ことばの上下関係
比喩の相互作用
タブーと言語表現
『旧約聖書』とイディオム
第3部 メタファを通して聖書の扉を開く
1.『旧約聖書』のメタファ
(1)現代でも通じる古代のメタファ
「方向性」をいかに捉えているか
身体に基づく「内」と「外」
さまざまな表情を演出する「手」
「人間」と「壺」の関係
(2)現代では通じない古代のメタファ
「アーモンド」の意味づけ
古代ヘブライ人と動植物
カインとアベル
「神」・「天恵」・「権力」をいかに表現するか
「男の生殖器」と「誓い」
「ソドム」と「ゴモラ」
「油を塗ること」と「任命すること」
「メシア」と「キリスト」
「イエス」と「ヨシュア」
「割礼」と「唇」
衣服の知識が必要な表現
「掌」(てのひら)はどのように捉えられているのか
「内蔵」を表す概念の訳し分け
「父」と「母」
絶対的な「東西南北」と非対称的な「左右」
2. 翻訳とメタファの変容
「目のリンゴ」・「目の娘」・「目の門」
「瞳」・「娘」・「生徒」
「禁断の木の実」と「リンゴ」
Adam’s Apple「喉仏」
怪物と鯨
雨期の季節と冬
最上級の表現に用いる「神」と「死」
付録
主要参考文献
引用した聖書
索引
おわりに