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関係発達の世代間循環を考える子どもは育てられて育つ

子どもは育てられて育つ 関係発達の世代間循環を考える

鯨岡峻:著
A5判 332ページ 上製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-1780-7 C3011
奥付の初版発行年月:2011年03月 / 発売日:2011年03月上旬

内容紹介

いま、子育て・保育・教育を問い直す。
育ての歪み・育ちの危うさにどう向かうか。
▼「関係発達論」の提唱者として、保育、障害児教育に携わる方々に支持されている筆者が、現場経験を踏まえ、さらに展開させた「関係発達論再考」といえる書。
▼「育てることは、子どもを自分の意のままにすることではない。“子どもの心を受け止める”ということを、今、ないがしろにしている」本書を通して著者は訴えています。

著者プロフィール

鯨岡峻(クジラオカタカシ)

中京大学心理学部教授。京都大学博士(文学)。専門は発達心理学、発達臨床心理学。関係発達論の提唱者。
1943年生まれ。京都大学文学部哲学科卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。島根大学教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、2007年より現職。
近著『〈育てられる者〉から〈育てる者〉へ』(NHKブックス、2002年)、『エピソード記述入門』(東京大学出版会、2005年)、『ひとがひとをわかるということ』(ミネルヴァ書房、2006年)『障害児保育』(ミネルヴァ書房、2009年)、『エピソード記述で保育を描く』(共著、ミネルヴァ書房、 2009年)、『保育・主体として育てる営み』(ミネルヴァ書房、2010年)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 なぜ、「子どもは育てられて育つ」というテーマなのか
 第1節 本書の成り立ちの経緯
 第2節 本書執筆の動機:なぜこのテーマなのか
 第3節 本書で取り上げたいこと

第1章 関係発達という考え方とその再考
 第1節 従来の「発達」概念を批判的にとらえ直す
 第2節 関係発達という考え方の成り立ち
 第3節 4人の保育者の描いたエピソードから

第2章 子どもの心の育ちに目を向ける
 第1節 子どもの心の育ちに目を向ける
 第2節 <自分の心>の成り立ち
 第3節 重要な他者との心的な関係
 第4節 個別具体の子どもの心
 第5節 児童養護施設で生活する子どもの葛藤

第3章 両義性という概念と主体という概念
 第1節 関係論の根源:「人間存在の根源的両義性」という考え
 第2節 「人間存在の根源的両義性」と相互主体的な関係
 第3節 主体という概念は三重の意味で両義性を孕んでいる
 第4節 主体は「私は私」の側面と「私は私たち」の側面からなる
 第5節 「私は私」と「私は私たち」の両義性
 第6節 「ある」と「なる」の両義性
 第7節 一つのエピソード記述を通してこれまでの議論を振り返る

第4章 関係発達の観点から子育て支援を考える
 第1節 関係発達最早期の様相
 第2節 乳児期後期から幼児期にかけて
 第3節 子育て支援の実態
 第4節 子育て支援としての一時保育の概容

第5章 子どもの思いを「受け止める」ということ
 第1節 子どもの思いを受け止める具体的な場面
 第2節 思いを「受け止める」と行為を「受け入れる」の違い
 第3節 なぜ子どもの思いを「受け止める」ことが必要なのか
 第4節 保育者の描くエピソードから
 第5節 三つのエピソードを振り返って
 第6節 「受け止める」ことの奥行き
 第7節 エピソード7:「つば しても 好き?」を再吟味する
 第8節 「受け止める」から「伝える」へ
 第9節 「受け止める」が難しくなる理由

第6章 「養護」と「教育」そして「学び」と「教え」
 第1節 養護の働き
 第2節 言葉の広い意味での教育の働き
 第3節 「育てる」営みは養護の働きと教育の働きの両面からなる
 第4節 「養護」や「教育」は領域概念なのか機能概念なのか
 第5節 「学ぶこと」と「教えること」
 第6節 就学前の学び=周囲の人と共に生きる中での「学び」
 第7節 就学を挟んだ「学ぶ」ことの転換
 第8節 今日の学校教育の問題を考えるために

第7章 特別支援教育の理念と障碍の問題を考える
 第1節 特殊教育から特別支援教育への転換
 第2節 なぜ、この度の教育改革は実を結ばないのか
 第3節 障碍児教育において「学ぶ−教える」の相互的関係に立ち返る
 第4節 特別支援教育の理念の実現のためには従来の発達の見方を見直す必要がある
 第5節 特別支援教育の現場を振り返る
 第6節 障碍を関係論的に考える
 第7節 「発達の障碍」といわゆる「発達障碍」を考える
 第8節 一教員の目から見た一人の自閉症の子どもの様子

第8章 思春期はいつの時代にも難しい
 第1節 身体面、意識面に現れる一連の変化
 第2節 親からの離反と友達への依存
 第3節 思春期は親も戸惑う
 第4節 子どもの自立を見守る
 第5節 この時期の子どもにどのように規範を示すか
 第6節 親もまた難しい思秋期にある

終 章 相手の思いが分かるということ
 第1節 これまでの議論の振り返り
 第2節 「相手の思いが分かる」を重視するか、それを排除するか
 第3節 「解釈的に分かる」と「間主観的に分かる」
 第4節 「解釈して分かる」と「間主観的に分かる」の違い
 第5節 間身体的に分かる:間主観的に分かることの基底
 第6節 第三者が間主観的に分かることから触発されて、私にそれが「分かる」という場合
 第7節 相手に分かってもらうことの大切さ
 第8節 「大事に思う」と「大事に思ってもらう」:相互主体的な関係の基礎
 第9節 終わりに


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