法体系の概念(第2版) 法体系論序説
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-7664-1871-2 C3032
奥付の初版発行年月:2011年08月 / 発売日:2011年08月中旬
法哲学の重要文献に詳細な解説を付して待望の復刊!
▼1998年に刊行した本書は、法哲学の重要文献とされていながら、長らく品切れとなっておりましたが、訳者による詳細な解説を付し、新装版として復刊。
▼「法とは何か」という法学の最も根本的な問題に正面から取り組んだ現代法学の名著。ベンサム、オースティン、ハート、ケルゼンらの理論を批判的に検討した上で、新たな法分析への視点を提示する。法改正が進み、また日本の法整備支援が活発化する中で、どのような法体系をとるべきか、普遍的な法体系が存在するか、文化的な特殊性はどのように組み込まれるか。こうしたことが昨今の話題になりつつある現在、本書の意義はいまだなお高い。
ジョゼフ・ラズ(ジョゼフラズ)
ジョゼフ・ラズ(Joseph Raz)
1939年生まれ。オックスフォード大学法哲学教授。主要著作として、The Concept of a Legal System, 2nd ed., Clarendon Press, Oxford, 1980; Practical Reason an Norms, 2nd ed., Princeton University Press, 1990; The Authority of Law, Clarendon Press, Oxford, 1979; The Morality of Freedom, Clarendon Press, Oxford, 1986; Ethics in the Public Domain, Revised Edition, Clarendon Press, Oxford, 1995; Engaging Reason: On the Theory of Value and Action, Oxford University Press, 2000; Value, Respect, and Attachment, Cambridge University Press, 2001などがある。
本書『法体系の概念』において、H.L.A.ハートの系譜を受け継ぎ、分析的法実証主義の到達点に至ったとも称される。
松尾弘(マツオヒロシ)
1962年生まれ。1985年慶應義塾大学法学部卒業、1987年同大学院法学研究科修士課程修了、1990年一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。
横浜市立大学商学部助教授、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授を経て現在、慶應義塾大学法科大学院教授。 シドニー大学客員教授(1997年)、オックスフォード大学客員研究員(1998年~1999年)。主要著作として、『民法の体系(第5版)』(慶應義塾大学出版会)、カナリス『法律学における体系思考と体系概念』(共訳、木村弘之亮代表訳、慶應義塾大学出版会、1996年)、「民法学の発展における自然法論の意義」姫路法学21号(1997年)、゛Historical and Theoretical Intimacy between the Concepts of Rights and Property”, ARSP-Beiheft 67, Rights, Franz Steiner Verlag, 1997、『物権・担保物権法(第2版)』(共著、弘文堂、2005年)、『債権総論』(共著、法律文化社、2006年)、『民法と税法の接点――基本法から見直す租税実務(新訂)』(共編著、ぎょうせい、2007年)、『ケースではじめる民法(第2版)』(共著、弘文堂、2011年)、『良い統治と法の支配――開発法学の挑戦』(日本評論社,2009年)、“Let the Rule of Law be Flexible to Attain Good Governance,” in: per Bergling, Jenny Ederlöf and Veronica L. Taylor (eds.), Rule of Law Promotion: Global Perspectives, Local Applications, Iustus, Uppsala, 2009, pp. 41-56、『財産権の保障と損失補償の法理』(大成出版社,2011)
目次
はしがき
序 論
Ⅰ オースティンの法体系論
1 主権
2 存在の指標
3 同一性の指標
4 法体系の構造
Ⅱ オースティンの理論:批判
1 主権の無制限性
2 人的服従について
3 主権の統一性
4 立法について
5 独立性について
Ⅲ 規範理論の構成要素
1 規範的言明
2 規範の構成要素
A 規範の構造に関するベンサムの説明
B 規範の構造に関するケルゼンの立場
3 規範の存在
A 派生的な創造条件
B 派生的な消滅条件
C 原初的な存在条件
Ⅳ 法の個別化について
1 個別化の問題
2 法の個別化へのケルゼンのアプローチ
3 ケルゼン対ベンサムー比較
V ケルゼンの法体系論
1 法体系の存在
2 同一性の指標
3 同一性の指標―根本規範の役割
4 同一性の指標―有効性の連鎖
5 法体系の構造
A 個別化に関する二つの選択的原理
B 一方の分類を他方の分類に投影することの可能性
C 静態的原理の優越性
6 独立的規範について
VI 諸規範の体系としての法体系
1 定言命令的規範
2 根本規範と動態的正当化
3 体系の構造とその体系に属する諸法の個別化
A 制限的要件
B 指導的要件
4 義務賦課法
5 権能付与法
A 服従法に関する覚書き
Ⅶ 諸法の体系としての法体系
1 法の規範性について
2 許可について
3 権利を設定する法について
4 発生的構造および作用的構造
A 強制的サンクションに関する覚書き
Ⅷ 法体系の同一性
1 非定時点的な法体系の同一性
2 定時点的な法体系の同一性とその所属資格
3 承認のルールについて
A 法と紙に書かれた法との関係に関する覚書き
Ⅸ 法体系の存在について
1 実効性の原理について
2 幾つかの追加的な指摘
おわりに:源泉,規範性および個別化
1 源泉
2 個別化一般
3 権能付与的ルール
4 規範性
5 規範的言明
あとがき
訳者解説「ラズの法体系論――『法体系の概念』の意義と課題――」(松尾弘)
文献目録
人名索引