国際銀行とアジア 1870~1913
価格:55,000円 (消費税:5,000円)
ISBN978-4-7664-1890-3 C3022
奥付の初版発行年月:2014年06月 / 発売日:2014年06月中旬
▼本邦初の本格的国際金融史研究
運輸・通信技術革命による第1次グローバリゼーションは、国際貿易の量と質、速度を劇的に変えた。そして、列強諸国から世界へ進出した銀行家たちは、単なる資本輸出にとどまらず、貿易金・融に決定的な役割を果たしたのだった。
各国に眠る金融機関の1次資料などを発掘し、1870年代から1913年にかけての国際銀行のアジアにおける活動を精緻に分析。さらにロンドン金融市場がアジア経済発展に果たした役割を解明する本格的金融史研究。
西村 閑也(ニシムラ シズヤ)
法政大学名誉教授。
1953年東京大学経済学部卒業、同大学大学院社会科学研究科修士課程修了、1969年ロンドン大学(London School of Economics and Political Science)大学院経済学研究科博士課程修了、Ph.D. (econ.)。1955年法政大学経済学部助手、同助教授、同教授を経て1996年定年退職。2014年没。専門は金融史。
主要業績に、The Decline of Inland Bills of Exchange in the London Money Market 1855-1913 (Cambridge : At The University Press,1971)、『国際金本位制とロンドン金融市場』(法政大学出版局、1980年)、The Origins of International Banking in Asia: the Nineteenth and Twentieth Centuries (Oxford: Oxford University Press, 2012, co-edited with T. Suzuki and R. C. Michie)ほか。
鈴木 俊夫(スズキ トシオ)
帝京大学経済学部教授、東北大学名誉教授。
1971年慶應義塾大学商学部卒業、同大学大学院商学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学、1991年ロンドン大学(London School of Economics and Political Science)大学院経済史研究科博士課程修了、Ph.D. (econ.)。1980年中京大学商学部専任講師、同助教授、同大学経営学部助教授、同教授、東北大学大学院経済学研究科教授を経て現職。専門は英国経済史・経営史、国際銀行史。
主要業績に、Japanese Government Loan Issues on the London Capital Market 1870-1913 (London: Athlone Press,1994)、『金融恐慌とイギリス銀行業――1866年のガーニィ商会の経営破綻』(日本経済評論社、1998年)、The Origins of International Banking in Asia: the Nineteenth and Twentieth Centuries (Oxford: Oxford University Press, 2012, co-edited with S. Nishimura and R. C. Michie)ほか。
赤川 元章(アカガワ モトアキ)
慶應義塾大学名誉教授、千葉商科大学大学院客員教授。
1965年慶應義塾大学商学部卒業、同大学大学院商学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。博士(商学)。1970年慶應義塾大学商学部助手、同助教授、1978年銀行史研究所(フランクフルト)訪問研究員、1985年慶應義塾大学商学部教授、2001年ケルン大学経営経済学部客員教授、2007年帝京大学経済学部教授を経て現職。専門はドイツ金融史、証券経済論、移行期経済論(中国・東欧)、社会経済学。
主要業績に、『ドイツ金融資本と世界市場』(慶應義塾大学商学会商学研究叢書18、慶應義塾大学出版会、1994年)(慶應義塾賞)、『東アジア経済研究のフロンティア』(編著、慶應義塾大学出版会、2004年)、「ヒルファーディングの経済学方法論(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)」『三田商学研究』21巻2・3号、22巻1号(1978、79年)、「チェコスロバキアにおけるバウチャー方式民営化の構造と問題点」『三田商学研究』47巻3号(2004年)ほか。
※〔 〕内は担当章。
【編著者】
西村閑也(にしむら しずや)〔第1章、第8章、第11章、第13章〕
法政大学名誉教授。
2014年没。専門は金融史。
鈴木俊夫(すずき としお)〔第3章、第4章、第7章〕
帝京大学経済学部教授、東北大学名誉教授。
専門は英国経済史・経営史、国際銀行史。
赤川元章(あかがわ もとあき)〔第15章〕
慶應義塾大学名誉教授、千葉商科大学大学院客員教授。
専門はドイツ金融史、証券経済論、移行期経済論(中国・東欧)、社会経済学。
【執筆者】
菅原歩(すがわら あゆむ)〔第2章、第6章〕
東北大学大学院経済学研究科准教授。
1996年京都大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。博士(経済学)。2003年日本学術振興会特別研究員、2004年東北大学大学院経済学研究科助教授を経て現職。専門はグローバル経営史。
主要業績に、「イギリス対外投資におけるカナダの位置」『社会経済史学』66巻5号(2001年)、「N・M・ロスチャイルド商会の鉱業投資(1952-1960年)『経営史学』36巻1号(2001年)、「リオ・ティント社の対カナダ投資、1952-1956年」『経営史学』42巻2号(2007年)ほか。
西村雄志(にしむら たけし)〔第5章、第17章〕
関西大学経済学部准教授。
1998年大阪府立大学経済学部卒業、大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了、同博士後期課程修了。博士(経済学)。2005年松山大学経済学部専任講師、同准教授を経て現職。専門は近代アジア経済史。
主要業績に、「20世紀初頭のインドにおける銀流通」『社会経済史学』68巻6号(2003年)、「20世紀初頭の海峡植民地における通貨制度の展開」『歴史と経済(旧・土地制度史学)』188号(2005年)、『帝国とアジア・ネットワーク――長期の19世紀』(共著、世界思想社、2009年)ほか。
蕭文嫻(しう まんはん)〔第8章補論、第9章〕
大阪経済大学日本経済史研究所研究員、同大学非常勤講師。
1990年京都大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。博士(経済学)。1998年大阪経済大学経済学部非常勤講師、2007年同大学日本経済史研究所研究員。専門は中国金融史。
主要業績に、「清末上海における事業投資とその資金調達――ゴム株式恐慌(一九一〇年)に至る過程」『社会経済史学』63巻5号(1998年)、「中国幣制改革と香港上海銀行」『経済史研究』12号(2009年)、「横浜正金銀行上海支店(1900-13年)――香港上海銀行・チャータード銀行との比較を通じて」『経済史研究』14号(2011年)、「外国銀行と中国の現地経済(1913-37年)――チャータード銀行上海支店の業務を中心に」『大阪経大論集』64巻3号(2013年)ほか。
北林雅志(きたばやし まさし)〔第10章、第12章、第14章〕
札幌学院大学経営学部教授。
1974年同志社大学経済学部卒業、中央大学大学院商学研究科修士課程修了、中央大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。1984年北海学園北見女子短期大学専任講師、札幌学院大学商学部助教授を経て現職。専門は金融論。
主要業績に、「イギリス植民地銀行の対銀価下落政策」『経営史学』26巻4号(1992年)、「創設期のイギリス植民地銀行と改革者達」『経済学論叢』48巻4号(1997年)、「19世紀後半アジアにおけるイギリス植民地銀行の支店活動」『札幌学院商経論集』18巻2号(2001年)、『金融サービス企業のグローバル戦略』(共著、中央経済社、2005年)、「19世紀後半におけるチャータード銀行の本支店勘定」『札幌学院大学経営論集』2号(2010年)ほか。
矢後和彦(やご かずひこ)〔第16章〕
早稲田大学商学学術院教授。
1984年横浜国立大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科修士課程修了、東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得退学、1996年パリ第十大学大学院博士課程修了、Docteur en histoire。1992年東京大学経済学部助手、東京都立大学経済学部講師、同助教授、同教授、首都大学東京経営学系教授を経て現職。専門は国際金融史、フランス経済史。
主要業績に、『フランスにおける公的金融と大衆貯蓄――預金供託金庫と貯蓄金庫 1816-1944』(東京大学出版会、1999年)、『国際金融史』(共編著、有斐閣、2007年)、『国際決済銀行の20世紀』(蒼天社出版、2010年)、Financial History of the Bank for International Settlements (London: Routledge,2013)ほか。
目次
序文
凡例
第1編 グローバリゼーションと国際銀行
第1章 第一次グローバリゼーションとアジアにおける英系国際銀行 西村 閑也
1 序
2 運輸通信革命
3 グローバリゼ―ションと貿易金融
4 アジア現地における英系国際銀行
5 アジアにおける英系国際銀行と非英系国際銀行
6 結語
第2章 国際資本移動と国際労働移動
1870-1913年 菅原 歩
1 序
2 国際資本移動 1870-1913年
3 国際労働移動 1870-1913年
4 結語
第3章 海底電信ケーブルの敷設と国際銀行 鈴木 俊夫
1 序
2 海底電信ケーブルの敷設
3 通信時間の短縮
4 電信のビジネス利用と料金
5 電信と商取引構造の変化
6 国際銀行業と電信
7 結語
第4章 国際銀行とロンドン金融市場 鈴木 俊夫
1 序
2 英系海外銀行の英国における営業活動
3 英系海外銀行とロンドン割引市場
4 手形取引の例示
5 非英系国際銀行のロンドン支店の営業活動
6 結語
第5章 銀本位制から金本位制へ――アジア諸国 西村 雄志
1 序
2 インド
3 海峡植民地
4 蘭領東インド
5 シャムの通貨制度概観
6 仏領インドシナの通貨制度概観
7 結語
第2編 英系国際銀行
第6章 国際銀行の前史 菅原 歩
1 序
2 国際銀行設立の背景
3 王室特許状、株式銀行、株主有限責任
4 王室特許状と国際銀行の規制体系
5 各行の王室特許状①
――オーストラレイジア銀行の事例
6 各行の王室特許状②
――サウス・オーストラリア銀行の事例
7 各行の王室特許状の比較――業務の地理的範囲
8 王室特許状における銀行券の扱い
9 結語
第7章 東洋銀行 1842-1884年 鈴木 俊夫
1 序
2 19世紀前半期のアジア向け海外銀行設立ブーム
3 オリエンタル銀行の創業
4 1850年代の東洋銀行の経営
5 1860年代の東洋銀行の経営
6 1870年代の東洋銀行の経営
7 1880年代の東洋銀行の経営
8 結語――東洋銀行崩壊の要因
第8章 香港上海銀行 1865-1913年 西村 閑也
1 序
2 支店の業務
3 マーチャント・バンクとしての香港上海銀行
4 結語
第8章補論 香港上海銀行ロンドン店 1875-1889年
――David McLean Papersの検討を通じて 蕭 文嫻
1 為替業務
2 コルレス銀行との関係およびロンドン諮問委員会の設置
3 預金業務
4 アジアに進出した国際銀行間の協調行動
5 結語
第9章 香港上海銀行ハンブルク支店
1890-1913年 蕭 文嫻
1 序
2 ドイツとアジアとの経済関係
3 アジアにおける国際銀行の業務展開
4 英系国際銀行ハンブルク支店の業務
5 結語
第10章 チャータード銀行 1858-1890年 北林 雅志
1 序
2 チャータード銀行のアジア支店の活動
3 1880年代のチャータード銀行
4 チャータード銀行の計算書類について
5 結語に代えて
第11章 チャータード銀行 1890-1913年 西村 閑也
1 序
2 チャータード銀行の成長 1890-1913年
3 業務の実態
付1 チャータード銀行本店のB/S 1899年6月30日
付2 チャータード銀行の現地貸付
付3 天津支店
第12章 チャータード・マーカンタイル銀行
1853-1892年 北林 雅志
1 序
2 チャータード・マーカンタイル銀行の設立と初期の活動
3 チャータード・マーカンタイル銀行の計算書類
4 1860年代初頭のチャータード・マーカンタイル銀行
5 ボンベイ・バブルとチャータード・マーカンタイル銀行
6 銀価の下落とチャータード・マーカンタイル銀行
7 チャータード・マーカンタイル銀行の解散と新銀行の設立
第13章 マーカンタイル銀行 1892-1913年 西村 閑也
1 マーカンタイル・バンク・オブ・インディアの成立
2 マーカンタイル銀行の成長
3 マーカンタイル銀行ロンドン本店
4 海外支店
5 結語
第14章 英系国際銀行のパフォーマンス
――総資産利益率と株価収益率を中心に 北林 雅志
1 序
2 英系国際銀行の動向
3 英系国際銀行の地域間比較
4 英系国際銀行のパフォーマンス
5 結語
第3編 非英系国際銀行
第15章 ドイツ銀行・独亜銀行 1870-1913年 赤川 元章
1 序
2 19世紀末のドイツ銀行業と東アジア
3 独亜銀行の発展と営業活動
4 独亜銀行の財務諸表の構成と本支店間の取引関係
5 独亜銀行の本支店活動と営業領域の特殊性
6 中国鉄道投資と独亜銀行
7 結語
第16章 露清銀行・インドシナ銀行
1896-1913年 矢後 和彦
1 序
2 パリ割引銀行(パリ国民割引銀行)
3 露清銀行
4 インドシナ銀行――支店業務を中心に
5 結語にかえて
第17章 横浜正金銀行 1880-1913年 西村 雄志
1 序――研究史概観
2 貿易金融の展開
3 阪神地方における横浜正金銀行の展開
4 結語にかえて――横浜正金銀行神戸支店の位置づけ
あとがき
参考文献
図表一覧
人名索引
企業名等索引
地理名等索引
語句索引
執筆者紹介