荷風と市川
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-1942-9 C0095
奥付の初版発行年月:2012年05月 / 発売日:2012年05月中旬
荷風の老いの孤独、寂寥が余すところなく描かれ粛然とする。(川本三郎氏評)
永井荷風は、昭和20年3月10日の東京大空襲で東京麻布の偏奇館が焼失した後、転々と居を変え、岡山で終戦を迎えた。昭和21年1月に千葉県市川市菅野に住み始め、昭和34年4月に永眠するまで、同じ市川市で暮らし続けた。本書は、戦後市川時代の荷風の生活を、一時期荷風の大家(おおや)であった仏文学者・小西茂也の「荷風先生言行録 メモ帖」(新発見)とともに多角的に検証して荷風の内奥に迫る注目の評伝。
秋山 征夫(アキヤマ ユキオ)
1944年生れ。東京外国語大学スペイン語科卒。TBSに勤務し、2004年退社。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
一 麻布をあとに
1 偏奇館炎上
2 流浪の旅へ
3 帰京の思い
二 市川の発見
1 杵屋五叟との縁
2 よみがえる創作意欲
3 相磯凌霜との再会
4 ラジオ問題と杵屋家との確執
5 日常生活の回復
三 小西家に寄寓
1 執筆活動の本格化
2 小西メモの発見
3 活発化する散策活動
4 蔵書盗難事件
5 幸田露伴の葬儀
6 小西家に泥棒入る
7 養子廃嫡騒動
8 文学談義に花が咲く
9 広がる散策/洪水騒ぎ
10 来客多忙
11 好日鼎談
四 「同居人荷風」以後
1 浅草通いの復活
2 観察と描写の妙
3 『四畳半襖の下張』事件
4 相次ぐ文学者らの来訪
5 小西家を去る
6 小林修のこと
7 小西茂也の仕事
8 上演された荷風の作品
五 小西茂也の見た永井荷風
1 『三田文学』の座談会
2 「荷風先生の生活」
六 晩年まで
1 文化勲章受章
2 カバン紛失事件とお歌の来訪
3 荷風と日記
4 幻の東京オリンピック/ノエル・ヌエットとの縁
5 荷風の死
荷風と水――むすびにかえて