パウル・クレー 造形の宇宙
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-7664-1944-3 C3071
奥付の初版発行年月:2012年10月 / 発売日:2012年10月下旬
「芸術とは、眼にみえるものを再現するのではなく、眼にみえるようにすることだ」
▼「形態」、「色彩」、「記号過程」の観点から、画家の抽象と具象の造形世界を探る本格画家論。
▼パウル・クレー(1879-1940年)は、抽象的フォルムと具象的イメージにまたがる領域を自由に横断する制作を展開し、いずれの流派にも属さない特異な作品群を多数のこした。
画家の叡智の現われである汲み尽せぬ豊穣な造形世界は、いまもなおわれわれの興味を惹いてやまない。
▼形態と記号、あるいは生命的形態と幾何学形態など、一見矛盾しかねない造形がなぜ可能になったのか、また、独特で魅力にあふれた色彩表現は、色彩理論とどのように関連するのか――ゲーテ、オストヴァルト、アルプ、ドローネー等を参照し、クレー芸術の核心に迫る。
目次
Ⅰ 形態 Gestaltung
クレーにおける「分節」概念の成立
「自然研究の道」 画家クレーにおけるゲーテ
エネルゲイアとしての造形 ゲーテの植物学と二十世紀美術
結晶としての造形 クレーとモデルネ
コンステレーションとしての造形 一九三〇年のクレーとアルプ
Ⅱ 色彩 Farbe
クレーにおけるオーバーラップ もうひとつの制作論とガラス絵
クレーと色彩論
クレーとオストヴァルト
色彩論のイデオロギー オストヴァルトと一九一〇年代の芸術
と制度絵画の導きとしてのエネルギー クレーとゲーテ・再考
Ⅲ セミオーシス Semiose
眼 クレーにおける記号と形態
「美しい石切り場」 階層のありか
アトリエの不在者 力のトポロジーとしての「部屋」
語り手としての画家、そして語り手たち クレーとリルケとハウ
ゼンシュタインクレーとベックマンにおける神話的ノーテーション
墜落/飛行する男性/女性
あとがき
巻末附録
パウル・クレー/年譜
主要研究資料
挿図一覧
人名索引