公共の経済・経営学 ―市場と組織からのアプローチ
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-7664-1963-4 C3033
奥付の初版発行年月:2012年10月 / 発売日:2012年11月下旬
行政改革のためのロジックと手法を示す!
▼経済学と経営学の双方の立場から、公共の問題解決方法を提示。経済原則と経営改革を重視する自治体ガバナンスの新しい潮流を明らかにする実践的テキスト。医療、教育、道路、空港、河川、農業の6つの分野から最新のケースを紹介。
▼法制化、制度化が主体の従来の官僚主義的改革論を超える実証的アプローチを具体的事例とともに提示する。
山内 弘隆(ヤマウチ ヒロタカ)
一橋大学大学院商学研究科教授。
専門は、公共経済学、交通経済学、公益事業論。
慶應義塾大学商学部卒業、同大学院商学研究科修士課程修了、同博士課程修了。中京大学経済学部専任講師、一橋大学商学部専任講師・助教授を経て現職。
主要著作に、『航空輸送』(共著、晃洋書房、1990年、1990年度日本交通学会賞受賞)、『講座・公的規制と産業 ④交通』(共著、NTT出版、1995年、1995年度交通図書賞受賞)、『航空運賃の攻防』(NTT出版、2000年)、『交通経済学』(共著、有斐閣、2002年、2002年度国際交通安全学会賞受賞)、『パブリック・セクターの経済・経営学』(共編、NTT出版、2003年)など。
上山 信一(ウエヤマ シンイチ)
慶應義塾大学総合政策学部教授。
専門は、企業の経営改革、行政評価、行政経営。
京都大学法学部卒業、プリンストン大学大学院(公共経営学修士)修了。運輸省(現・国土交通省)、マッキンゼー(共同経営者)、米ジョージタウン大学研究教授、慶應義塾大学特別研究教授等を経て2007年より現職。大阪府・市特別顧問、愛知県政策顧問、新潟市都市政策研究所長、国土交通省政策評価会座長等を兼務。
主要著作に、『政策連携の時代』(日本評論社、2002年、第1回日本NPO学会賞受賞)、『ミュージアムが都市を再生する』(共著、日本経済新聞社、2003年)、『行政の経営分析 大阪市の挑戦』(共著、時事通信出版局、2008年)、『行政の解体と再生』(共著、東洋経済新報社、2008年)、『自治体改革の突破口』(日経BP社、2009年)、『公共経営の再構築』(日経BP社、2012年)など。
※ [ ]内は担当章。
【編者】
山内 弘隆(やまうち ひろたか) [はじめに・第1章]
上山 信一(うえやま しんいち) [第5・7・12・14章]
【執筆者】
太田 和博(おおた かずひろ) [第1・2・11章]
専修大学商学部教授。
専門は、公共経済学、交通経済学、社会資本整備論。
慶應義塾大学商学部卒業、同大学院商学研究科修士課程修了、同博士課程修了(商学博士)。
慶應義塾大学総合政策学部助手、東京電機大学理工学部専任講師・助教授、専修大学商学部助教授を経て現職。
主要著作に、『集計の経済学』(文眞堂、1995年)、『インターモーダリズム』(共著、勁草書房、1999年)、『自由化時代の交通政策』(共編著、東京大学出版会、2001年)、『交通の産業連関分析』(共著、日本評論社、2006年)など。
長峯 純一(ながみね じゅんいち) [第3章]
関西学院大学総合政策学部教授。
専門は、財政学、公共選択論、政策分析評価。
茨城大学人文学部卒業、横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程修了、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学、関西学院大学)。追手門学院大学経済学部専任講師、助教授、関西学院大学総合政策学部助教授を経て現職。公共選択学会理事。日本公共政策学会理事。
主要著作に、『公共選択と地方分権』(勁草書房、1998年)、『公共投資と道路政策』(共編著、勁草書房、2001年)、『選挙の経済学』(監訳、ブライアン・カプラン著、日経BP社、2009年)、『比較環境ガバナンス』(編著、ミネルヴァ書房、2011年)など。
片山 泰輔(かたやま たいすけ) [第4章]
静岡文化芸術大学文化政策学部教授・大学院文化政策研究科長。
専門は、財政・公共経済、芸術文化政策。
慶應義塾大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得満期退学。三和総合研究所主任研究員、跡見学園女子大学マネジメント学部助教授等を経て現職。
日本文化政策学会理事長、日本アートマネジメント学会関東部会長。
主要著作に、『図解国家予算のしくみ』(編著、東洋経済新報社、1999年)、『アメリカの芸術文化政策』(日本経済評論社、2006年、日本公共政策学会著作賞受賞)、『アーツ・マネジメント概論 三訂版』(監修・編著、水曜社、2009年)、『アメリカの芸術文化政策と公共性――民間主導と分権システム』(共編著、昭和堂、2011年)など。
玉村 雅敏(たまむら まさとし) [第6章]
慶應義塾大学総合政策学部准教授。
専門は、公共経営、ソーシャルマーケティング、評価システム設計など。
慶應義塾大学総合政策学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。千葉商科大学政策情報学部助教授を経て現職。新潟市都市政策研究所客員研究員、横須賀市政策研究専門委員、文部科学省科学技術政策研究所客員研究官、内閣官房・地域活性化伝道師等を兼務。
主要著作に、『住民幸福度に基づく都市の実力評価』(副監修、時事通信社、2012年)、『社会イノベータへの招待』(共著、慶應義塾大学出版会、2010年)、『コミュニティ科学――技術と社会のイノベーション』(編著、勁草書房、2009年)、『行政マーケティングの時代――生活者起点の公共経営デザイン』(第一法規、2005年)など。
大庫 直樹(おおご なおき) [第8章]
プライスウォーターハウスクーパース株式会社パートナー。
専門は、金融機関に対する経営コンサルティング。
東京大学理学部数学科卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてパートナーとして金融分野を主導。独立してルートエフ株式会社を設立、代表取締役。大阪府・市特別参与。
主要著作に、『「新」銀行論』(ダイヤモンド社、2004年)、『あしたのための「銀行学」入門』(PHPビジネス新書、2009年)など。
井深 陽子(いぶか ようこ) [第9章]
京都大学大学院薬学研究科特定准教授。
専門は、医療経済学。
慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了、米ラトガース大学博士課程修了(Ph.D(経済学))。米イェール大学公衆衛生大学院博士研究員、一橋大学国際・公共政策大学院/経済学研究科講師を経て現職。
主要業績に、“Impact of Program Scale and Indirect Effects on the Cost-effectiveness of
Vaccination Programs”(共著、Medical Decision Making,2012)、“The Dynamics of Risk
Perceptions and Precautionary Behavior in Response to 2009(H1N1)Pandemic
Influenza”(共著、BMC Infectious Diseases,2010)、“Health-Related Activities in the
American Time Use Survey”(共著、Medical Care,2007)など。
赤林 英夫(あかばやし ひでお) [第10章]
慶應義塾大学経済学部教授。
専門は、労働経済学、応用ミクロ経済学(家族・教育)。
東京大学教養学部基礎科学科第二卒業。同総合文化研究科広域科学専攻修了。シカゴ大学経済学大学院博士課程修了。PH.D.(Economics)。通商産業省(現・経済産業省)職員、マイアミ大学経済学部客員講師、世界銀行コンサルタントエコノミスト、慶應義塾大学助教授を経て現職。
主要著作に、「学校選択と教育バウチャー」『現代経済学の潮流2007』(共著、東洋経
済新報社、2007年)、“The Labor Supply of Married Women and Spousal Tax Deductions in Japan: A Structural Estimation,” Review of Economics of the Household,4(4),2006,“Private Universities and Government Policy in Japan,” International Higher Education,42
(Winter),2006など。
荒木 宏子(あらき ひろこ) [第10章]
慶應義塾大学経済学部助教。
専門は、応用ミクロ経済学(労働、教育)。
慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了、同博士課程修了(経済学博士)。
主要著作に、「総合学科設置(コンプリヘンシブ・カリキュラム)が高等学校生徒の中退行動に与えた影響の計量分析」『経済分析』第185号(内閣府、2011年)、『グローバル社会の人材育成・活用(第1章)』(共著、勁草書房、2012年)、“Do Education Vouchers Prevent Dropout at Private High Schools? Evidence from Japanese Policy Changes,” Journal of the Japanese and International Economies,25(3)(共著、2011年)など。
山本 貢(やまもと みつぐ) [第12章]
大阪府和泉市市長公室次長。
大阪経済大学経営学部卒業。大阪市立大学大学院(都市政策修士)修了。大阪府和泉市入職後、大阪府出向を経て現職。
主要著作に、「これからの公債管理」『自治大阪』(大阪府地方自治振興会、1986年1月15日)など。
戸田 香(とだ かおり) [第13章]
京都女子大学文学部卒業、大阪市立大学大学院創造都市研究科(都市政策専攻)修了(都市政策修士)、神戸大学大学院法学研究科(政治学専攻)博士後期課程在籍。
専門は、地方政治や行政の政策における政治過程の分析、「道の駅」と地域社会の関係など。
朝日放送株式会社勤務。
池末 浩規(いけすえ ひろき) [第14章]
株式会社パブリックパートナーズ代表取締役。
専門は企業及び行政組織の改革。
東京大学法学部卒業。マッキンゼー社マネージャー、ITベンチャー企業取締役等を経て現職。
大阪府・市特別参与、大阪府泉北ニュータウンのあり方を考える懇談会委員などを兼務。
目次
はじめに
01 ミクロ経済学をどう使うか
02 公共部門の経営の確立
03 公共の経済・経営学に向けて
第Ⅰ部 公共の経済学
第1章 公共の経済学の考え方
01 はじめに――行政の分析と経済学
02 市場と公共政策
03 市場から公共政策に向けて
第2章 政策分析の理論と手法
01 市場と公共政策の関係
02 ミクロ経済学の分析ツール
03 費用便益分析――理論的基礎と役割
第3章 政策形成と公共選択
01 政策形成プロセスと政治の機能
02 直接民主制と政策形成――住民投票モデル
03 間接民主制と政策形成――政治家の行動原理
04 官僚による政策形成への関与
05 利益集団による政策形成への関与とレントシーキング活動
06 政治の失敗と改革のための制度設計
第4章 政策執行の主体と効率性
01 政策の執行プロセス
02 政府とインセンティブ
03 政策の執行主体
04 政府の改革と政策評価
第Ⅱ部 公共の経営学
第5章 公共の経営学の考え方
01 公共の経営学 VS 行政学
02 個別の組織への着目
03 「良い経営」とは何か
04 公共分野の経営の難しさ
05 公共経営の理論
06 これからの公共経営と民主主義
第6章 パブリックマネジメントの実際
01 NPN(New Public Management)の潮流
02 NPNにおける改革アプローチ
03 パブリックマネジメントの価値基準の転換
04 パブリックマネジメントの課題
――持続的な改革イニシアティブを引き出す仕組みづくり
第7章 行政評価とガバナンス
01 行政評価とそのメカニズム
02 「行政評価」制度のわが国への普及と浸透
03 評価制度の現状と課題
04 政治主導による政策の評価と刷新
05 今後の評価制度の進化
第8章 地域主権時代の自治体財務のあり方
――公的部門の資金生産性の向上
01 大規模自治体の財政と都市事業サービスの実態
02 国による地方財政の管理
03 自治体の財務マネジメントの強化
04 事業サービスのための地方債改革
05 事業リスクに合わせた地方債制度の再構築
06 経営形態の変更による都市事業サービスの財務力強化
07 まとめ
第Ⅲ部 事例分析
第9章 医療・公衆衛生における公的役割・介入のあり方
――予防接種政策を事例として
01 社会保障制度の役割
02 公衆衛生と政府の役割
03 公衆衛生における政府の介入――予防接種政策
04 予防接種に対する需要――個人の意思決定
05 ワクチンの最適分配について
06 おわりに
◇ 本章の検討課題
第10章 公教育政策の経済学的評価
01 はじめに
02 人的資本理論
03 政府が教育に関わる根拠
04 教育の費用効果分析
05 米国での教育政策評価の現状
06 わが国の教育政策評価研究
07 よりよい教育政策の選択に向けて
◇ 本章の検討課題
第11章 都市高速道路の料金体系の変更
――首都高速道路における対距離料金制への移行
01 都市高速道路の料金決定原則と料金問題
02 料金体系変更の社会厚生上の含意
03 3つの対距離料金体系案
04 料金体系決定の政治経済学
◇ 本章の検討課題
第12章 空港経営の仕組みと課題
――関西国際空港の経営再生を考える
01 空港の本質と現状
02 関西3空港の現状と経営課題
03 現行の関西3空港体制の評価
04 今後の課題
05 抜本的解決策を考える
06 経営形態の変更
07 債務処理の方法
08 おわりに
◇ 本章の検討課題
第13章 河川統制から治水政策へのパラダイム転換
――管理からガバナンスへ
01 日本の河川政策
02 問題が生まれた原因と今後の方向性
03 地方と国で模索されている転換
04 まとめ
◇ 本章の検討課題
第14章 米作のビジネスモデルと政策の評価
01 はじめに
02 稲作産業の特性と位置づけ
03 新潟市の米作りの現状
04 新潟の米作りの成立基盤
05 持続可能性の評価
06 今後の課題
◇ 本章の検討課題
索引
執筆者紹介