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貴重書の挿絵とパラテクスト

貴重書の挿絵とパラテクスト

A5判変型 276ページ 上製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-1971-9 C3000
奥付の初版発行年月:2012年09月 / 発売日:2012年09月下旬

内容紹介

書物の「仕掛け」を読み解く。
テクストを取り囲む視覚的な要素は、
いかに私たちの読書行為に影響を与えるのか?

挿絵やブックデザインから、古今東西の貴重書を分析する
11篇の論考を収録。
▼書物が「もの」として持つ物理的形態をめぐり、基本的な形状の決定から、表紙のデザイン、ページのレイアウト、前書きや注釈の挿入、挿絵の利用など、様々なパラテクスチュアルな仕掛けは、書物を文化的産物ととらえる書誌学の重要な研究領域であることを提示する。


【編者】

松田 隆美(まつだ たかみ)

慶應義塾大学文学部教授(中世英文学、思想史)。ヨーク大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。

主要業績:『ヴィジュアル・リーディング――西洋中世におけるテクストとパラテクスト』(ありな書房、2010年)、『ロンドン物語――メトロポリスを巡るイギリス文学の700年』(共編著、慶應義塾大学出版会、2011年)。


【執筆者】

関場 武(せきば たけし)

慶應義塾大学名誉教授・斯道文庫顧問(辞書史、中世近世文芸)。慶應義塾大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。

主要業績:『中世近世辞書論攷――洋学・往来・歌語辞典』(慶應義塾大学言語文化研究所、1996年)、『辞書の世界――平成21・22年度極東証券寄附講座「辞書・事典」』(編著、慶應義塾大学文学部、2012年)。


佐々木 孝浩(ささき たかひろ)

慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授(日本古典籍書誌学、和歌文学)。慶應義塾大学大学院博士課程中退(文学修士)。

主要業績:『大島本源氏物語の再検討』(共著、和泉書院、2009年)、「絵巻物と絵草紙――挿絵と装訂の関係について」(『斯道文庫論集』第45輯、2011年)。



宮内 ふじ乃(みやうち ふじの)

立教大学文学部兼任講師(西洋美術史)。立教大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。

主要業績:『物語る絵――トゥール(アシュバーナム)のモーセ五書』(聖公会出版、2009年)、「ベアトゥス写本におけるテクストとイメージ生成――黙示録8章1-5節の挿絵をめぐって」(『西洋中世研究3号』、2011年)。


久木田 直江(くきた なおえ)

静岡大学人文社会科学部教授(中世英文学、文化史)。エクセター大学、Ph.D.[英文学]。

主要業績:Margery Kempe’s Meditations: The Context of Medieval Devotional Literature, Liturgy and Iconography (Cardiff: University of Wales Press, 2007)、『くすりの小箱 薬と医療の文化史』(共編著、南山堂、2011年)。


安形 麻理(あがた まり)

慶應義塾大学文学部准教授(書誌学、情報メディア)。慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学(博士 [図書館・情報学])。

主要業績:『デジタル書物学事始め――グーテンベルク聖書とその周辺』(ネットワーク時代の図書館情報学)(勉誠出版、2010年)。


髙橋 三和子(たかはし みわこ)

成城大学文芸学部非常勤講師(近代初期英文学、旅行記と蒐集文化)。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、ヨーク大学大学院修士課程修了(M.A.)。

主要業績:「「劇場」 と 「劇場性」 ――17世紀初期イギリス旅行記に見られる空間描写」, The Round Table, 20 (2006), 27-33、「近代初期イギリス旅行記における好奇心」『藝文研究』第92号(2007年), 1-14。


明星 聖子(みょうじょう きよこ)

埼玉大学教養学部教授(ドイツ文学、編集文献学)。東京大学大学院博士課程修了(博士 [文学])。

主要業績:『新しいカフカ――「編集」が変えるテクスト』(慶應義塾大学出版会、2002年)、『グーテンベルクからグーグルへ――文学テキストのデジタル化と編集文献学』ピーター・シリングスバーク著(共訳書、慶應義塾大学出版会、2009年)。


井出 新(いで あらた)

慶應義塾大学文学部教授(初期近代英文学、演劇史)。明治学院大学大学院博士課程単位取得退学。

主要業績: “John Fletcher of Corpus Christi College : New Records of His Early Years,” Early Theatre, 13.2 (2010), 63-77、『シェイクスピアと演劇文化』(共著、研究社、2012年)。


石川 透(いしかわ とおる)

慶應義塾大学文学部教授(国文学、絵入り本史)。慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学、博士(文学)。

主要業績:『奈良絵本・絵巻の展開』(三弥井書店、2009年)、『入門 奈良絵本・絵巻』(思文閣出版、2010年)。


佐藤 道生(さとう みちお)

慶應義塾大学文学部教授(日本漢学)。慶應義塾大学大学院博士課程修了。

主要業績:『平安後期日本漢文学の研究』(笠間書院、2003年)、『和漢朗詠集 新撰朗詠集』(共著、明治書院、2011年)。

目次

前言     松田隆美

繪抄、繪字引の世界     関場 武

『卜養狂歌絵巻』における挿絵と本文     佐々木孝浩

ベアトゥス写本の「開かれた天の神殿と深淵を上る獣」をめぐって     宮内ふじ乃

中世医学の図像
 ――心身の相関関係を読む     久木田直江

聖書に見る本文の構造の視覚的な提示方法     安形麻理

時禱書の物語性と教訓性
 ――『ローマ式典礼の時禱書』(パリ、1525年)をめぐって     松田隆美

近代初期における珍品蒐集
――イギリス王立協会のコレクションカタログを中心に     髙橋三和子

カフカ研究の憂鬱
 ――高度複製技術時代の文学作品     明星聖子

挿絵の中のイギリス・ルネサンス演劇     井出 新

奈良絵本・絵巻『尭舜』をめぐって     石川 透

絵巻の錯簡
 ――『年中行事絵巻』内宴の場合     佐藤道生

執筆者紹介


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