【対話】共生 生命の教養学Ⅷ
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-2002-9 C0045
奥付の初版発行年月:2013年08月 / 発売日:2013年08月中旬
社会における共生、生物における共生。
▼その関係は、共生? 寄生? それとも平等? 生物学の深津武馬氏、社会学の市野川容孝氏の二人の気鋭の学者が、「共生とは何か?」を、それぞれの学問分野から「進化」や「淘汰」とも絡めつつ問い直す、刺激に満ちた集中講義の書籍化。
▼深津氏は、アブラムシなどの昆虫の共生細菌や寄生微生物との細胞内での共生を中心に紹介し、市野川氏は、遺伝子診断、出生前診断、尊厳死・安楽死など、社会の中に生きる人間の共生関係を考察する。
鈴木 晃仁(スズキ アキヒト)
慶應義塾大学経済学部教授。1963年生まれ。
1986年東京大学教養学部教養学科科学史・科学哲学専攻卒業。
1992年ロンドン大学ウェルカム医学史研究所Ph.D、同研究所フェロー、アバディーン大学トマス・リード研究所フェローなどを経て、1997年より慶應義塾大学経済学部助教授、2005年より現職。
主な著書に、Madness at Home : The Psychiatrist, the Patient, and the Family in England, 1820-1860.(University of California Press,
2006)、『身体医文化論――感覚と欲望』(慶應義塾大学出版会、2002年)、『身体医文化論Ⅳ――食餌の技法 』(慶應義塾大学出版会、2005年)など。
深津 武馬(フカツ タケマ)
産業技術総合研究所生物プロセス研究部門首席研究員(兼)生物共生進化機構研究グループ長、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻教授(兼任)、筑波大学大学院生命環境科学系教授(連携大学院)。理学博士。日本学術会議連携会員。専門は進化生物学、昆虫学、微生物学。昆虫類における多様な微生物との共生関係を主要なターゲットに設定し、さらに関連した寄生、生殖操作、形態操作、社会性などの高度な生物間相互作用をともなう生物現象について、進化多様性から生態的相互作用、生理機能から分子機構に至る研究を多角的なアプローチで展開している。共著書に『アブラムシの生物学』(東京大学出版会、2000)、『進化にワクワクする本』(朝日新聞社、1995)など、監訳書に『生物がつくる<体外>構造:延長された表現型の生理学』(みすず書房、2007)、共訳書にウォーレス,R.A.『ウォーレス現代生物学(上・下)』(東京化学同人、1991)がある。
市野川 容孝(イチノカワ ヤスタカ)
東京大学大学院総合文化研究科教授。1964年生まれ。
1993年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。
明治学院大学社会学部専任講師などを経て、1998年より東京大学大学院総合文化研究科助教授(2008年、准教授)、2009年より現職。主な著書に、『身体/生命』(岩波書店、2000年)、『優生学と人間社会』(共著、講談社現代新書、2000年)、『生命倫理とは何か』(編著、平凡社、2002年)、『社会』(岩波書店、2006年)、『社会学』(岩波書店、2012年)など。
【編者】
慶應義塾大学教養研究センター
鈴木 晃仁(すずき あきひと)
慶應義塾大学経済学部教授。
【著者】
深津 武馬(ふかつ たけま)
産業技術総合研究所生物プロセス研究部門首席研究員(兼)生物共生進化機構研究グループ長、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻教授(兼任)、筑波大学大学院生命環境科学系教授(連携大学院)。
市野川 容孝(いちのかわ やすたか)
東京大学大学院総合文化研究科教授。
目次
二つの「共生」 鈴木晃仁
生物学から考える「共生」 深津武馬
Ⅰ 共生と生物進化
Ⅱ 共生細菌による宿主昆虫の体色変化
Ⅲ 共生微生物を利用した害虫制御――概念、実践、展望について
Ⅳ 兵隊アブラムシ――生態、生理、階級分化、社会調節から特異的発現遺伝子まで
社会学から考える「共生」 市野川容孝
Ⅰ 社会学と生物学──二つの共生概念
Ⅱ 遺伝子診断を考える
Ⅲ 出生前診断を考える
Ⅳ ナチズムと医学
Ⅴ 尊厳死・安楽死を考える
参考文献