英国ゴシック小説の系譜
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2021-0 C0095
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年03月下旬
怪奇と恐怖の文学世界へようこそ。
▼「ゴシック小説」とは、18世紀末~19世紀の英国で興隆した「恐怖小説」のことである。
本書では、主に19世紀英国の「ゴシック小説」を取り上げ、現在にいたるゴシック的物語の系譜をたどっていきながら、「怪物」、「旅」、「写真」、「博物館」、「自己像」という視点から読み解き、その成り立ちと物語構造を明らかにする。
▼『ケイレブ・ウィリアムズ』、『フランケンシュタイン』、『ドリアン・グレイの肖像』――。怪奇と驚異に満ちた「英国ゴシック小説」入門編。
坂本 光(サカモト ヒカル)
1961年生まれ。1991年慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程単位取得退学。慶應義塾大学文学部教授。専門は19~20世紀の非イングランド系英文学、特にゴシック小説。著作に『情の技法』(共著、慶應義塾大学出版会、2006)、『イギリス文学と旅のナラティブ』(共著、慶應義塾大学出版会、2004)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
第1部 ゴシック小説の物語構造
第1章 旅と秘密 『ケイレブ・ウィリアムズ』と『フランケンシュ
タイン』
ゴシック的装置としての旅/ゴシック・アイコンの誕生/ゴシック小
説と非日常/怪異の条件/『ケイレブ・ウィリアムズ』/秘密による
隔絶/『フランケンシュタイン』/辺境の後退/旅の始まりと景色を
見る旅/エンクロージャーと景観改良/旅の同行者たち/旅の終
わりと秘密の解消
第2章 ユートピアと怪物 ありえない場所とありえないモノ
ユートピア/怪物の居場所/怪物の三類型/『エクソシスト』/悪魔
祓い/ゴシック小説と推理小説/秩序の確認/怪物の命数
第2部 『ドリアン・グレイの肖像』を読む
第3章 視線と二つの肖像 ゴシック的自己像の誕生
二つの肖像/ドリアン・グレイの罪/写真の誕生/視線による投影/
社会的視線と創作者の視線/視線と自己像/社会的自己像の孤立/
コレクションの働き/過剰と欠落
第4章 博物館と写真の時代
博物館の時代/英国の発展と博物館の役割/写真の時代/手札判写真
の流行/ドリアン・グレイの「肖像」の物語/スフィンクスの問いか
け/社会的自己像の確立と死/ワイルドと英国の自己像
註
参考文献
謝 辞
索 引