世界の英語と社会言語学 ―多様な英語でコミュニケーションする
価格:3,190円 (消費税:290円)
ISBN978-4-7664-2056-2 C3080
奥付の初版発行年月:2013年09月 / 発売日:2013年09月上旬
英語は誰のものか?
社会言語学の立場から、「世界の英語」を解き明かす。
進化するグローバル化世界の異文化コミュニケーション論テキスト。
▼英語は一つではない。
グローバル化が進み、非英語母語話者が世界中で英語を日々使用している状況の中で、多様化してゆく“英語”の姿を社会言語学の立場からひもとく。
ヤムナ・カチュルー(Yamuna Kachru)
米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois at Urbana-Champaign)の言語学の名誉教授で、インド、英国、米国で教鞭をとり、アジア、ヨーロッパ、北アメリカで講演を行ってきた。彼女の研究分野は、ヒンドゥー語や他の南アジアの言語の構造、世界の英語を用いた言語と文化を超えたコミュニケーションなどである。2006年にはインド大統領によりヒンドゥー語言語学への貢献に対して表彰されている。世界の英語についての多くの学術書、論文を執筆、編集してきた。著書に、 The Handbook of World Englishes [共著, Blackwell, 2006]などがある。
ラリー・E・スミス(Larry E. Smith)
21世紀のリーダー育成のための組織、有限責任会社クリストファー・スミス・アソシエイツ (Christopher, Smith & Associates LLC) 代表である(原著執筆時)。ハワイの東西センター (East-West Center) での研究者および役員としての経歴と、世界諸英語国際協会 (International Association for World Englishes) の理事長としての経歴を持つ。Braj B. Kachru氏とともに、専門誌 World Englishes: Journal of English as an International and Intranational Language の創始者であり、このトピックに関する多数の著作を執筆し、編集者、共編集者もつとめている。
井上 逸兵(イノウエ イッペイ)
慶應義塾大学法学部・文学部卒、同大学大学院文学研究科修士課程修了、文学博士(慶應義塾大学)。富山大学講師、同大学助教授、信州大学助教授、慶應義塾大学法学部教授を経て、現在、同大学文学部教授。専門は社会言語学、英語学。主要著書・論文:『くらべてわかる英文法』(共著、くろしお出版、2012年)、『サバイバルイングリッシュ』(幻冬舎エデュケーション、2011年)、『ことばの意味と使用――日英語のダイナミズム』(共著、鳳書房、2010年)、『ことばの生態系――コミュニケーションは何でできているか』(慶應義塾大学出版会、2005年)、 Advances in Discourse Approaches (共著、Cambridge Scholars Publishing, 2009)、『応用言語学事典』(共著、研究社、2003年)など。
多々良 直弘(タタラ ナオヒロ)
神奈川大学外国語学部卒、慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了、同大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、桜美林大学リベラルアーツ学群准教授。専門は言語人類学、社会言語学、英語学。主要著書・論文:“Phenomenological Approach to Language Expressions: Habitus and Rhetorical Styles in Languages” Colloquia (第23号、2002年)、「ニュースのレトリック――スポーツニュース報道における言語使用」『社会言語科学会第16回大会発表論文集』(2005年)、「物語としての新聞記事の日英比較――日本語と英語の物語構造と好まれる言い回し」『紀要 桜美林英語英米文学研究』(第48輯、2008年)、『開放系言語学への招待――文化・認知・コミュニケーション』(共著、慶應義塾大学出版会、2008年)、「新聞報道における英語と日本語のテクスト構造の比較」『JELS 26 日本英語学会第26回大会研究発表論文集』(2009年)など。
谷 みゆき(タニ ミユキ)
慶應義塾大学文学部卒、同大学大学院文学研究科修士課程修了、同大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。立教大学ランゲージセンター教育講師を経て、現在、中央大学法学部准教授。専門は英語学。主要著書・論文:「文学作品とその英訳に見る英語の〈結果志向〉と日本語の〈過程志向〉」『立教大学ランゲージセンター紀要』(第24号、2010年)、「移動表現に見る日英語話者の事態把握」『英語英米文学』(第52集、2012年)など。
八木橋 宏勇(ヤギハシ ヒロトシ)
慶應義塾大学文学部卒、同大学大学院文学研究科修士課程修了、同大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、杏林大学外国語学部准教授。専門は認知言語学、社会言語学、第二言語習得論。主要著書・論文:『聖書起源のイディオム 42章』[David Crystal, Begat, Oxford University Press, 2010](共訳、慶應義塾大学出版会、2012年)、『プログレッシブ英和中辞典(第5版)』(分担執筆、小学館、2012年)、『聖書と比喩――メタファで旧約聖書の世界を知る』(共著、慶應義塾大学出版会、2011年)、『開放系言語学への招待――文化・認知・コミュニケーション』(共著、慶應義塾大学出版会、2008年)など。
北村 一真(キタムラ カズマ)
慶應義塾大学文学部卒、同大学大学院文学研究科前期博士課程修了、同大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得満期退学。現在、杏林大学外国語学部講師。専門は英語学、英語語法文法研究。主要著書・論文: “The what is it about X that Y -construction and its pragmatic variant” 『藝文研究』(第96号、2009年)、 “The What is it about X that Y? -Construction and its Congeners” 『杏林大学外国語学部紀要』(第22号、2010年)、「ミル『女性の解放』の誤訳を考察する――英文読解の観点から」『杏林大学研究報告教養部門』(第28巻、2011年)。
上記内容は本書刊行時のものです。【著者】
ヤムナ・カチュルー(Yamuna Kachru)
米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois at Urbana-Champaign)の言語学の名誉教授。
ラリー・E・スミス(Larry E. Smith)
21世紀のリーダー育成のための組織、有限責任会社クリストファー・スミス・アソシエイツ (Christopher, Smith & Associates LLC) 代表である(原著執筆時)。
【訳者】 [ ]は翻訳担当章
井上 逸兵(いのうえ いっぺい)[まえがき、序章、第9章、第10章、終章]
慶應義塾大学文学部教授。
多々良 直弘(たたら なおひろ)[第3章、第3部、第8章]
桜美林大学リベラルアーツ学群准教授。
谷 みゆき(たに みゆき)[第4章、第2部、第5章]
中央大学法学部准教授。
八木橋 宏勇(やぎはし ひろとし)[第1部、第1章、第2章]
杏林大学外国語学部准教授。
北村 一真(きたむら かずま)[第6章、第7章]
杏林大学外国語学部講師。
目次
まえがき
謝辞
記号
略語
序章 世界の英語と文化のコンテクスト
Introduction: World Englishes and Cultural Contexts
世界の中の英語
英語の数字上の強さと地位
英語の機能
本書の構成
データソース
第1部 ことばの相互行為と識別的理解
Verbal Interaction and Intelligibility
はじめに
ことばの相互行為への理論的アプローチ
識別的理解
第1章 協調としての相互行為
Interaction as Cooperation
はじめに
情報のやりとり
関連概念
おわりに
第2章 文化のコンテクスト
Context of Culture
はじめに
コンテクストと状況のコンテクスト
背景知識の構造
文化、状況のコンテクスト、言語使用
おわりに
第3章 丁寧さ(ポライトネス)の諸要因
Parameters of Politeness
はじめに
おわりに
第4章 識別的理解と対話者
Intelligibility and Interlocutors
はじめに
識別的理解は常に必要か
識別的理解の定義
認識的理解
識別的理解と認識的理解
解釈的理解
識別的理解、認識的理解、解釈的理解
言語の流暢さと文化的能力との関係
コミュニケーションにおける文化的慣習の例
おわりに
第2部 音、文、語
Sound, Sentence, and Word
はじめに
言語バリエーション
リズムパターン
文法パターン
語彙とイディオム
第5章 音とリズム
Sounds and Rhythm
はじめに
強勢とリズム
音
音と識別的理解
第6章 句と文
Phrases and Sentences
はじめに
文法
主題情報
おわりに
第7章 単語とコロケーション
Words and Collocations
はじめに
辞書編纂における諸問題
アジア
土着化の過程
現地の辞書を編纂する際の配慮
おわりに
第3部 会話のスタイルと書きことばのスタイル
Conversational and Writing Styles
はじめに
会話
書きことば
話しことばと書きことば
テクストのタイプ
相互行為的テクスト対交流的テクスト
想像的テクスト
第8章 会話の相互行為
Conversational Interaction
はじめに
会話の相互行為の構成
文化ごとの差異
異文化間会話への示唆
言語行為、協調の原理、ポライトネス
アイデンティティの問題
おわりに
第9章 書きことばの相互行為
Interaction in Writing
はじめに
手紙
アカデミック・ライティング
論争的テクスト
ジャンル分析
おわりに
第10章 世界の英語文学をコンテクスト化する
Contextualizing World Englishes Literatures
はじめに
なぜ文学テクストか
文化的なテーマ
創造性の指数
様々な文脈で英語文学を教える
おわりに
終章 世界の英語:遺産と関連性
Conclusion: World Englishes: Legacy and Relevance
はじめに
態度とイデオロギー
人間の知識と相互行為における英語
おわりに
訳者あとがき
参考文献
索引