高齢者のためのデザイン ― 人にやさしいモノづくりと環境設計へのガイドライン
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-7664-2059-3 C3050
奥付の初版発行年月:2013年07月 / 発売日:2013年07月下旬
人にやさしいデザインは、みんなにやさしいデザイン
▼本書は、アメリカの「加齢と技術発展についての研究教育センター」(the Center for Research and Education on Aging and Technology Enhancement; CREATE)の主要な研究者5名の共著による書籍(Designing for Older Adults: Principles and Creative Human Factors Approaches, 2nd edition, CRC PRESS, 2009)の翻訳書である。
▼高齢者に配慮したデザインをおこなうための指針を、基礎編、デザインガイドライン、応用事例、チュートリアル、総括の5つのカテゴリーによってわかりやすく解説している。
▼日本も、高齢者社会に突入したと言われて久しいが、いまだ高齢者に配慮した環境が整っているとはいえない。本書では、多くの高齢者が使いづらいと感じているモノ(製品)について、その問題を指摘するだけでなく、どうすることで問題を解決できるのか、「ユーザ中心設計」の概念や人間工学のツールや手法を紹介しながら、その具体的かつ実践的なガイドラインを示す。
▼ヘルスケアテクノロジーのインタフェースや情報通信に関する課題など、最新の事例も満載。
▼理論と実践の両面から学べる本書は、大学生や大学院生のみならず、プロダクトデザインに実際に関わるデザイナーにも必携の書!
アーサー・D・フィスク(Arthur D. Fisk)
実験心理学の博士号をイリノイ大学 (University of Illinois) で1982年に取得。現在ジョージア工科大学 (Georgia Institute of Technology) 心理学科の人間工学プログラムコーディネータおよび教授。大学教員になる以前には AT&Tの人間工学部門マネージャーを務める。250以上の学術文献を出版しており、アメリカ心理学会 (American Psychological Association: APA) および人間工学会 (Human Factors and Ergonomics Society: HFES) のフェローをはじめ多くの学会のメンバーである。HFES、およびAPAの応用実験心理学・人間工学分科会 (APA Division 21: Applied Experimental and Engineering Psychology) では会長も務めた。
ウェンディ・A・ロジャース(Wendy A. Rogers)
ジョージア工科大学心理学科の教授。学士号をマサチューセッツ大学ダートマス校 (University of Massachusetts Dartmouth) 、修士号と博士号をジョージア工科大学でそれぞれ取得。メンフィス大学 (University of Memphis) 、ジョージア大学 (University of Georgia) を経てジョージア工科大学で現職。加齢人間工学研究室 (Human Factors and Aging Laboratory) の共同ディレクター。研究領域は技能習得、人間工学、トレーニング、認知的加齢など。HFESおよびAPAフェロー。応用心理学・人間工学分野の優秀な研究に贈られる Franklin V. Taylor 賞、およびAPA Division 20 (Adult Development and Aging) と高齢者研究財団 (Retirement Research Foundation) のメンター・アワードを受賞。APA Division 21とHFES の会長を歴任、現在学術誌 Journal of Experimental Psychology: Applied の編集委員。
ニール・チャーネス(Neil Charness)
フロリダ州立大学 (Florida State University) のWilliam G. Chase心理学教授であり、同大学のペッパー加齢公共政策研究所 (Pepper Institute on Aging and Public Policy) の研究員である。学士をマギル大学 (McGill University) で取得し、修士と博士をカーネギーメロン大学 (Carnegie Mellon University) で取得した。フロリダへ赴任する前は、ウィルフリッド・ローリエ大学 (Wilfrid Laurier University) とウォータールー大学 (University of Waterloo) で教鞭を取った。研究分野は高齢者を対象とした人間工学および高齢者の熟達化行動である。科学的心理学会 (Association for Psychological Science: APS) 、APA、カナダ心理学会 (Canadian Psychological Association: CPA) 、アメリカ老年学会 (Gerontological Society of America: GSA) のフェローであり、国際ジェロンテクノロジー学会 (International Society for Gerontechnology: ISG) の名誉会員。これまで学術誌 Canadian Journal on Aging/La Revue canadienne du vieillissement の心理学セクション編集委員、APA およびCPAの成人発達学・加齢分科会 (APA Division 20, CPA section 17: Adult Development and Aging) の会長を歴任。
サラ・J・サージャ(Sara J. Czaja)
心理学の学士号および経営工学の修士号・博士号をニューヨーク州立大学バッファロー校 (State University of New York at Buffalo) で取得。マイアミ大学 (University of Miami) 精神医学・行動科学および経営工学教授。Center for Research and Education on Aging and Technology Enhancement (CREATE) のディレクター、およびマイアミ大学の加齢センター (Center on Aging) の共同ディレクターを務める。加齢の研究に豊富な経験を持ち、高齢者の生活の質を向上させる戦略策定に長く関わってきた。研究分野は加齢と認知、eヘルス、介護、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション、機能評価など。加齢分野で書籍・論文などの著作多数。APA、HFESのフェロー。
ジョセフ・シャリット(Joseph Sharit)
人間工学を専門とし、修士号と博士号をパデュー大学 (Purdue University) 経営工学科において取得。マイアミ大学経営工学科の研究教授であり、マイアミ大学医学部の精神医学・行動科学科と麻酔学科にも籍を置いている。CREATEの研究責任者の1人。ニューヨーク州立大学バッファロー校経営工学科大学院プログラムディレクターを経て現職。研究分野はヒューマン・マシン・インタラクション、技術的システムを利用する際の高齢者のパフォーマンスの評価、人間信頼性解析とシステムの安全性、リスク分析など。シャリット博士の研究は医学、製造業、海洋、原子力、航空などの分野に応用されている。
福田 亮子(フクダ リョウコ)
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任准教授。
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(学術)、Dr.rer.nat(理学博士)。ミュンヘン工科大学人間工学研究室研究員、慶應義塾大学環境情報学部専任講師などを経て、現職。専門は人間工学、ジェロンテクノロジー(加齢工学)。最近では熟練者の特徴抽出にも取り組んでいる。
日本人間工学会、日本認知科学会、日本感性工学会、人工知能学会、日本老年医学会、Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE) などに所属。国際ジェロンテクノロジー学会日本支部世話人。
主要業績に 『高齢者の視覚機能による起こりやすいヒューマンエラーとその対策 (ヒューマンエラー対策事例集)』 (技術情報協会、2013年) 、 “Gerontechnology in a super-aged society,” Florian Kohlbacher, Cornelius Herstatt (eds.) , The Silver Market Phenomenon: Business Opportunities in an Era of Demographic Change, 2nd edition (Springer Verlag, 2010)、「高齢ドライバーの視覚情報受容と運転行動」(『人間工学』 45(3)、 2009年)ほか。
伊藤 納奈(イトウ ナナ)
産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門主任研究員。
早稲田大学大学院理工学研究科建築工学専攻修士課程、イリノイ大学アーバナ・シャンペン校建築学修士課程修了、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(学術)。William McDonough Architects in New York、鈴木了二建築計画事務所を経て、現職。専門は高齢者・ロービジョンの視覚、アクセシブルデザイン。国内外標準化活動に従事。日本人間工学会、日本照明委員会、日本建築学会、日本福祉のまちづくり学会などに所属。国際ジェロンテクノロジー学会日本支部世話人。
主要業績にItoh N., Sagawa K., Fukunaga Y., “Useful visual field at a homogeneous background for old and young subjects,” Gerontechnology , 8(1), (2009) , “Visual guidance of walking:effects of illumination level and edge emphasis,” Gerontechnology ,5(4), (2006) ほか。
梅室 博行(ウメムロ ヒロユキ)
東京工業大学社会理工学研究科准教授。
東京工業大学理工学研究科制御工学専攻修士課程修了。博士(工学)。株式会社野村総合研究所研究員、東京工業大学工学部助手、同講師を経て、2004年より現職。専門は感情と技術・経営、人間工学。
Human Factors and Ergonomics Society、Association of Computing Machinery、日本経営工学会、日本人間工学会、経営情報学会、日本認知科学会などに所属。国際ジェロンテクノロジー学会日本支部世話人代表。
主要業績に『アフェクティブ・クオリティ――感情経験を提供する商品・サービス』(日本規格協会、2009年)、 “Computer attitudes,cognitive abilities,and technology usage among older Japanese adults,” Gerontechnology ,3(2), (2004) , Zhang,J., Umemuro, H., “Older adults’ hedonic and eudaimonic well-being in information and communication technology activities,” Gerontechnology , 10(4), (2012) ほか。
【著者】
アーサー・D・フィスク(Arthur D. Fisk)
ジョージア工科大学心理学科の人間工学プログラムコーディネータおよび教授。
ウェンディ・A・ロジャース(Wendy A. Rogers)
ジョージア工科大学心理学科教授。
ニール・チャーネス(Neil Charness)
フロリダ州立大学のWilliam G. Chase心理学教授。
サラ・J・サージャ(Sara J. Czaja)
マイアミ大学精神医学・行動科学および経営工学教授。
ジョセフ・シャリット(Joseph Sharit)
マイアミ大学経営工学科の研究教授。
【監訳者】
福田 亮子(ふくだ りょうこ) [第2版への序文、初版への序文、第3章~第7章]
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任准教授。
【訳者】
伊藤 納奈(いとう なな) [第2章、第8章~第11章]
産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門主任研究員。
梅室 博行(うめむろ ひろゆき) [第1章、第12章~第18章]
東京工業大学社会理工学研究科准教授。
目次
第2版への序文
初版への序文
第1部 基礎編
第1章 高齢者のためのよりよいデザインに向けて
第2章 高齢ユーザの特徴
第3章 デザインプロセスの手引き
第2部 デザインガイドライン
第4章 情報受容の改善
第5章 入出力機器のデザイン
第6章 インタフェースデザイン
第7章 トレーニング・指導プログラムのデザイン
第3部 応用事例
第8章 高齢者にやさしい仕事環境作り
第9章 ヘルスケアテクノロジーの有用性とユーザビリティの
最大化
第10章 交通
第11章 地域居住のための住環境のデザイン
第4部 チュートリアル
第12章 研究とユーザビリティ調査への高齢者の参加
第13章 高齢者を対象としたフォーカス・グループの実施
第14章 ユーザビリティテストにおける統計的考察
第15章 タスク分析とエラー予測
第16章 高齢者のためのGOMSモデル
第17章 マルチメディアデザイン
第5部 総括
第18章 まとめと注釈
訳者あとがき
参考文献
索引