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―日米韓に見る新たな「公共圏」の姿ネット選挙が変える政治と社会

ネット選挙が変える政治と社会 ―日米韓に見る新たな「公共圏」の姿

清原 聖子:編著, 前嶋 和弘:編著
A5判 216ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-2067-8 C3031
奥付の初版発行年月:2013年09月 / 発売日:2013年09月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

“ネット選挙解禁”は日本社会に何をもたらすのか?

▼ネット選挙(=ネットを使った選挙運動)解禁によって、新たな「有権者主体の選挙運動」が生まれるのか? あるいは、選挙はビッグデータに支配され、ネットは「政治マーケティングの戦場」と化すのか?
▼2013年参院選を総括しつつ、政治献金・事前運動・戸別訪問など、次への改革課題と民主主義の行方を論じた緊急鼎談を収録。
▼また、2012年の米・韓大統領選挙から見えてきたネット選挙の変貌過程とその功罪を紹介。日米韓比較の立場から、ネット選挙時代の選挙と政治、そして社会のありかたをめぐる議論に一石を投じる。

著者プロフィール

清原 聖子(キヨハラ ショウコ)

明治大学情報コミュニケーション学部准教授。
1975年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績に、「ティーパーティ運動とテレコミュニケーション政策―― FCCによるネットワーク中立性の規則制定をめぐって」 久保文明+東京財団 「現代アメリカ」 プロジェクト編著 『ティーパーティ運動の研究―― アメリカ保守主義の変容』 (NTT出版、2012年)、『インターネットが変える選挙―― 米韓比較と日本の展望』 (共編著、慶應義塾大学出版会、2011年)、「テレコミュニケーション政策におけるイデオロギー的対立」 五十嵐武士・久保文明編著 『アメリカ現代政治の構図―― イデオロギー対立とそのゆくえ』 (東京大学出版会、2009年)、『現代アメリカのテレコミュニケーション政策過程―― ユニバーサル・サービス基金の改革』 (慶應義塾大学出版会、2008年) (第24回電気通信普及財団テレコム社会科学奨励賞受賞)など。

前嶋 和弘(マエシマ カズヒロ)

文教大学人間科学部准教授。
1965年生まれ。メリーランド大学政治学部博士課程修了(Ph.D. in Government and Politics)。
主要業績に、『アメリカ政治とメディア―― 「政治のインフラ」から「政治の主役」に変貌するメディア』 (北樹出版、2011年)、『オバマ政権と過渡期のアメリカ社会―― 選挙、政党、制度、メディア、対外援助』 (共編著、東信堂、2012年)、『インターネットが変える選挙―― 米韓比較と日本の展望』 (共編著、慶應義塾大学出版会、2011年)、『2008年アメリカ大統領選挙―― オバマの当選は何を意味するのか』 (共編著、東信堂、2009年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

(目次順)
【編著者】
清原 聖子(きよはら しょうこ)
明治大学情報コミュニケーション学部准教授。

前嶋 和弘(まえしま かずひろ)
文教大学人間科学部准教授。

【執筆者】
高 選 圭(ゴ ソンギュ)
韓国中央選挙管理委員会選挙研修院教授。
1968年生まれ。東北大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士(情報科学)。
主要業績に、『被災地から考える日本の選挙―― 情報技術活用の可能性を中心に』 (共編著、東北大学出版会、2013年)、「韓国におけるネット選挙運動の現状と誹謗中傷の取締基準」 情報ネットワーク法学会編 『ネット選挙運動のすべて』 (商事法務、2013年)、「韓国の大統領選挙とオンライン候補者ファンクラブの選挙運動」 『選挙研究』 25 (2) (日本選挙学会、2009年)など。

李 洪 千(リ ホンチョン)
慶應義塾大学総合政策学部専任講師。
1968年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。
主要業績に、『ネット選挙完全解禁! 韓国大統領選挙の真実』 (colors BOOKS、2013年)、「政治家の言動の一貫性に関する研究」 『拓殖大学国際開発学研究』 9 (2009年)、「日本の新聞における韓国・中国報道―― 1996-2005」 伊藤陽一・河野武司編 『ニュース報道と市民の対外国意識』 (慶應義塾大学出版会、2008年)、 “The Influence of Online News Site on the 2002 Presidential Election in South Korea,” Journal of Political Science and Sociology, 8,2007,pp.107-128など。

小林 哲郎(こばやし てつろう)
国立情報学研究所情報社会相関研究系准教授。
1978年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。博士(社会心理学)。
主要業績に、 『寛容な社会を支える情報通信技術―― ゆるやかにつながり合うネット時代の社会心理』 (多賀出版、2010年) (第9回ドコモ・モバイル・サイエンス賞社会科学部門奨励賞受賞)、 “Bridging Social Capital in Online Communities: Heterogeneity and Social Tolerance of Online Game Players in Japan,” Human Communication Research, 36, 2010, pp.546-569, T. Kobayashi & K. Ikeda, “Selective Exposure in Political Web Browsing : Empirical Verification of ‘Cyber-balkanization’ in Japan and the U.S.” Information, Communication & Society, 12, 2009, pp.929-953など。

清水 憲人(しみず のりと)
株式会社情報通信総合研究所主任研究員。
1966年生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。
主要業績に、『情報通信アウトルック』 〔2000年版、2003年版~2013年版〕 (共著、NTT出版)、『ブリタニカ国際年鑑』 〔2009年版~2013年版〕 (共著、ブリタニカ・ジャパン)など。

目次

序 「ネット選挙解禁」は何を生むのか
   ――「公共圏」としてのインターネットか「選挙のアメリカ化」か

第1章 ネット選挙解禁で何ができるようになるのか
    ――2013年公職選挙法の一部改正で変わる日本の選挙運動
    清原聖子
 1 はじめに
 2 日本におけるネット選挙解禁の背景――2012年までを振り返る
 3 日米韓における選挙管理委員会の役割とネット選挙
 4 2013年公職選挙法の一部改正
   ――「できるようになったこと」と「できないこと」
 5 おわりに

第2章 進化するネット選挙戦略
    ――2012年アメリカ大統領選挙戦を読み解く  清原聖子
 1 はじめに
 2 連邦選挙資金規正法とネット選挙に対する“規制”の考え方
 3 有権者はどのメディアから2012年大統領選挙情報を取得したのか
 4 ツイッターとスマートフォンの普及をベースにした新しいネット選
   挙戦略
 5 おわりに

第3章 「下からの起爆剤」か「上からのコントロール」か
    ――変貌するアメリカ大統領選挙のソーシャルメディア利用
    前嶋 和弘
 1 はじめに
 2 2008年の「革命」
   ――「下からの改革の起爆剤」としてのソーシャルメディア
 3 2012年大統領選挙――ソーシャルメディアの利用増とオバマの圧
   倒
 4 「上からのコントロールの道具」としてのソーシャルメディア
 5 むすびにかえて――アメリカから見た日本の「ネット選挙」導入

第4章 ネット選挙が変える有権者の政治参加
    ――2012年韓国大統領選挙に見る市民ネットワーク型政治参加
    高 選 圭
 1 はじめに
 2 有権者の情報発信メディアとしてのネットの進化
 3 2012年韓国大統領選挙とネット選挙運動
 4 ネット選挙と投票参加
 5 ネット選挙と市民ネットワーク型政治への変化
 6 まとめ

第5章 若者の政治参加とSNS選挙戦略の世代別効果
    ――2012年韓国大統領選挙におけるリベラルの敗北
    李 洪 千
 1 はじめに
 2 インターネットの影響に関する諸議論
 3 ソーシャルメディア選挙運動解禁と選挙環境の変化
 4 政治的不満と支持率
 5 保守系政党のインターネット選挙戦略
 6 インターネット空間における保守層の増加
 7 メディア利用の変化
 8 2012年の選挙におけるソーシャルメディア選挙運動戦略
 9 おわりに

第6章 マスメディアよりも「中立」な日本のネットニュース
    ――2012年衆議院議員選挙時のニュース利用における党派的
    バイアス認知  小林 哲郎
 1 はじめに
 2 敵対的メディア認知の妥当性
 3 党派的な選択的接触とその限定性
 4 日本のメディア環境における選択的接触と敵対的メディア認知
 5 調査概要
 6 党派的バイアス認知の測定と記述統計
 7 党派的バイアス認知の規定因
 8 党派的バイアス認知の方向性――敵対的メディア認知か選択的接触
   か
 9 1993年CNEP調査との比較
 10 なぜ、党派的な選択的接触が生じにくいのか
 11 考察

第7章 ケータイの進化とSNSの普及が変えたコミュニケーションのあ
    り方――ネット選挙に与えるインパクト  清水 憲人
 1 携帯電話の登場と普及――高価な電話機から1人1台の情報端末に
 2 iPhoneの大ヒットと「スマートフォン」がもたらしたパラダイム・
   シフト
 3 フェイスブックの急成長と失速
 4 ソーシャルメディアの課題
 5 まとめ

第8章 鼎談 2013年参院選に見るネット選挙運動の将来 
清原 聖子・前嶋 和弘・李 洪 千
 1 参院選でのネット選挙運動をどう評価するか?
   2013年公職選挙法改正の意味/
   投票率の低さをどう解釈するか?/
   政党間の明暗/有権者は変われるか?/
   政党-候補者関係の変容
 2 「ネット選挙」解禁がもたらすのは「選挙のアメリカ化か「新たな
   公共圏」創出か?
   有権者はなぜ受け身に回ったか?/日本人は「冷めている」の
   か?/「選挙のアメリカ化」か「公共圏」か?/ネットによる亀裂
   の増幅/カギを握るのは誰か?/少数者にとってのネット選挙/
   メディアとサウンドバイト/マスメディアの役割/インターネット
   と既存メディアの相互補完/選挙報道の公平性とは?/マスメディ
   アを補完するインターネット/市民組識と政治文化/「公共圏」創
   出への道筋
 3 日本の「ネット選挙」の行方
   技術革新が支える「ネット選挙」/選挙期間の廃止/収支の透明化
   と小口献金/未成年者の政治運動/戸別訪問/選挙教育


索 引


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