戦略史としてのアジア冷戦
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-7664-2068-5 C3031
奥付の初版発行年月:2013年09月 / 発売日:2013年09月中旬
▼アジア冷戦下のパワーゲームを鋭く描く!
冷戦の主戦場といわれたヨーロッパ以上に大国の「戦略」が激しくぶつかり合ったアジア冷戦。諸国家の国益達成とその手段の交錯の歴史を、国家間のパワーバランスに焦点を当てて描き出す。
赤木 完爾(アカギ カンジ)
慶應義塾大学法学部教授。
1953年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了。法学博士。
主要著作:『第二次世界大戦の政治と戦略』(慶應義塾大学出版会、1997年)、『朝鮮戦争――休戦50周年の検証・半島の内と外から』(編著、慶應義塾大学出版会、2003年)、『歴史としての冷戦――力と平和の追求』(共訳、慶應義塾大学出版会、2004年) 、ほか。
今野 茂充(コンノ シゲミツ)
東洋英和女学院大学国際社会学部准教授。
1975年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了。博士(法学)。
主要著作: 『イメージの中の日本――ソフト・パワー再考』(共著、慶應義塾大学出版会、2008年)、『中国の統治能力――政治・経済・外交の相互連関分析』(共著、慶應義塾大学出版会、2006年)、『朝鮮戦争――休戦50周年の検証・半島の内と外から』(共著、慶應義塾大学出版会、2003年)、ほか。
李 錫敏(リ ソクミン)
慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程。
1977年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科前期博士課程修了。
主要著作:「トルーマンのポイント・フォア計画――冷戦におけるイデオロギー競争の始まり」(『法学政治学論究』第91号、2011年12月)、ほか。
狩野 直樹(カノウ ナオキ)
杏林大学外国語学部非常勤講師。
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得満期退学。
主要著作:『朝鮮戦争──休戦50周年の検証・半島の内と外から』(共著、慶應義塾大学出版会、2003年)、「米国のアジア政策の展開、1953~60年──NSC文書を中心に」(『法学政治学論究』第52号、2002年3月)、「米国の対中政策とアジア冷戦、1948年~49年」(『法学政治学論究』第53号、2002年6月)、ほか。
小此木 政夫(オコノギ マサオ)
九州大学特任教授、慶應義塾大学名誉教授。
1945年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。(法学博士)。
主要著作:『朝鮮戦争――米国の介入過程』(中央公論社、1986年)、『東アジア地域秩序と共同体構想』(共編著、慶應義塾大学出版会、2009年)、『転換期の東アジアと北朝鮮問題』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、ほか。
平野 龍二(ヒラノ リュウジ)
海上自衛隊幹部学校防衛戦略教育研究部戦略研究室教官。
1964年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了。博士(法学)。
主要著作:「海洋限定戦争としての日清戦争――コルベットの海洋戦略の視点から」(『軍事史学』第44巻第4号、2009年3月)、「日露開戦の決断――海軍力均衡と海軍戦略の視点から」(『法学政治学論究』第82号、2009年9月)、「日露開戦劈頭における旅順口攻撃の再評価――戦争目的達成の観点から」(『日本歴史』第759号、2011年8月)、ほか。
石田 京吾(イシダ ケイゴ)
元海上自衛隊幹部学校研究部第2研究室長。
1956年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科前期博士課程修了。
主要著作:「戦後日本の海上防衛力整備――海上防衛における日米の役割分担の起源」(『防衛研究所戦史研究年報』第9号、2006年3月)、『歴史群像シリーズ 「決定版」太平洋戦争10 占領・冷戦・再軍備』(共著、学研パブリッシング、2011年)、ほか。
眞嶋 俊造(マジマ シュンゾウ)
北海道大学大学院文学研究科・応用倫理研究教育センター長・准教授。
1975年生まれ。英バーミンガム大学大学院グローバルエシックス研究所博士課程修了(PhD)。
主要著作:『民間人保護の倫理――戦争における道徳の探求』(北海道大学出版会、2010年)、‘Just Torture?’(Journal of Military Ethics 11:2, 2012) 、Jus Post Bellum and Transitional Justice (共著、Cambridge University Press、2013年近刊)、ほか。
【編著者】
赤木 完爾(あかぎ かんじ)
慶應義塾大学法学部教授。
今野 茂充(こんの しげみつ)
東洋英和女学院大学国際社会学部准教授。
【執筆者】(掲載順)
李 錫敏(り そくみん)
慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程。
狩野 直樹(かのう なおき)
杏林大学外国語学部非常勤講師。
小此木 政夫(おこのぎ まさお)
九州大学特任教授、慶應義塾大学名誉教授。
平野 龍二(ひらの りゅうじ)
海上自衛隊幹部学校防衛戦略教育研究部戦略研究室教官。
石田 京吾(いしだ けいご)
元海上自衛隊幹部学校研究部第2研究室長。
眞嶋 俊造(まじま しゅんぞう)
北海道大学大学院文学研究科・応用倫理研究教育センター長・准教授。
目次
序 論 赤木完爾・今野茂充
第一部 アメリカの対外戦略とアジア冷戦
第一章 トルーマン政権期における「冷戦戦略」の形成とアジア冷戦の始
まり――対ソ脅威認識を中心に 李 錫敏
はじめに
一 ローズヴェルトの戦後構想とアジア政策
二 トルーマン政権による戦後構想の継承と失敗――対ソ脅威認識の形
成
三 ヨーロッパ政策とアジア政策の相違――ソ連の脅威の有無、あるい
は程度の差
四 「原点」への回帰の試み、そして失敗――「大戦略」と「冷戦戦
略」の同一化
おわりに
第二章 アイゼンハワー政権移行期の東南アジア政策
──PSB D-二三の形成と変容、一九五二~一九五三年 狩野直樹
はじめに
一 心理戦略──定義と組織
二 トルーマン政権の東南アジア政策
三 PSB D-二三の形成と変容
四 タイにおける心理戦
五 アイゼンハワー政権の東南アジア政策の形成
おわりに
第三章 大量報復戦略下の東アジア 赤木完爾
はじめに
一 ニュールックの戦略態勢
二 核兵器使用のコントロール
三 朝鮮半島、インドシナ、台湾海峡
おわりに
第二部 アジア冷戦形成期の朝鮮半島と日本
第四章 米軍の南朝鮮進駐――間接統治から直接統治へ 小此木政夫
はじめに
一 ホッジ司令官の懸念
二 敵国領土の間接統治
三 進駐軍が直面した難問
四 直接統治――日本からの分離
おわりに
第五章 朝鮮戦争における対立構造の起源
――満洲における治安戦との連続性 平野龍二
はじめに
一 三八度線を挟んだ二つの「軍隊」の創設
二 満州国軍の創設と育成
三 共産主義の浸透と満州における治安戦
四 第二次世界大戦後の満州とアメリカの東アジア政策
おわりに
第六章 戦後日本の防衛政策(一九五一~一九五二年)
――「Y委員会」を中心として 石田京吾
はじめに
一 海上警備隊発足前夜――朝鮮戦争と日本の海上防衛力
二 アメリカの対日期待
三 海上防衛力の創設に向けて
四 戦後日本の海上防衛力と「Y委員会」
おわりに
第三部 アジア冷戦を俯瞰する
第七章 東アジアにおける冷戦とアメリカの大戦略
――オフショア・バランシング論の観点から 今野茂充
はじめに
一 大戦略の理論
二 オフショア・バランサーとしてのアメリカ
三 アメリカの戦略的行動――トルーマン政権からニクソン政権まで
おわりに
第八章 歴史・戦略・道徳――正戦論の視座からの批判的検討
眞嶋俊造
はじめに
一 方法論としての「歴史から学ぶ」ということ
二 理論としての戦略と道徳
三 ヴェトナム戦争――冷戦期アジアにおけるアメリカの戦略
四 ヴェトナム戦争から学ぶこと
五 正戦論と戦略
六 正戦論の適用――ヴェトナム戦争
おわりに
あとがき
索 引
執筆者紹介