井筒俊彦全集第七巻
イスラーム文化 一九八一年 ― 一九八三年
価格:8,580円 (消費税:780円)
ISBN978-4-7664-2077-7 C3310
奥付の初版発行年月:2014年09月 / 発売日:2014年09月下旬
イスラームという宗教、文化を知るための、最適の書。
▼1981年~1983年の思索が成熟しつつある時期に書かれた著作群を、発表年月日順に収録。
▼著作集・単行本未収録の「イラン・イスラムの黙示録」は、イランでの生活やホメイニ革命について語る貴重な逸品。旧友や師をセンチメンタルに語るエッセイも収録。
▼月報執筆は、井筒と知己であるヘルマン・ランドル氏、湯川豊、河合俊雄各氏。
井筒 俊彦(イヅツ トシヒコ)
1914年東京・四ツ谷生まれ。1937年慶應義塾大学英語英文学科卒業、同大学文学部助手。1941年『アラビア思想史』、49年『神秘哲学』。1959年から2年間にわたって中近東・欧米でイスラーム研究に従事。1961年マギル大学客員教授、69年同大学イスラーム学研究所テヘラン支部教授、75年イラン王立研究所教授。
1979年イラン革命激化のためテヘランから日本に帰国。『意識と本質』(1980-82年)、『意味の深みへ』(1985年)、『コスモスとアンチコスモス』(1989年)、『超越のことば』(1991年)、絶筆『意識の形而上学』(1993年)など代表著作を発表。1993年北鎌倉の自宅にて逝去(78歳)。
木下 雄介(キノシタ ユウスケ)
中央大学、学習院大学、駒澤大学非常勤講師(フランス語)。
1957年東京都生まれ。1980年一橋大学社会学部卒業。1986年東京都立大学大学院博士課程満期退学。フランス文学・イスラーム哲学専攻。
主要業績:「不可解なペニュルチエーム――マラルメの散文詩『類推の魔』について」(『東京都立大学人文学報』1984年)、「イブン・シーナーの魂論」(『イスラーム哲学とキリスト教中世』I、岩波書店、2011年)、イブン・シーナー『魂について』(翻訳、知泉書館、2012年)等。
【著者】
井筒 俊彦(いづつ としひこ)
【解題・索引】
木下 雄介(きのした ゆうすけ)
中央大学、学習院大学、駒澤大学非常勤講師(フランス語)。
目次
凡 例
一九八一年
イスラーム文化 ―― その根柢にあるもの
はじめに / Ⅰ 宗教 / Ⅱ 法と倫理 / Ⅲ 内面への道 / 後 記
一九八二年
『みすず』読書アンケート(一九八一年)への回答
イラン・イスラムの黙示録
追 憶―― 西脇順三郎に学ぶ
一九八三年
デリダ現象
幻影の人―― 池田彌三郎を憶う
行脚漂泊の師 ムーサー
「読む」と「書く」
コーランを読む
第一講 『コーラン』を「読む」方法
一 『コーラン』の形成 / 二 「読む」こと
第二講 神の顕現
三 『コーラン』の解釈学 / 四 「開扉」の章 / 五 神の顔
第三講 神の讃美
六 存在、すなわち讃美 / 七 神の生ける徴(しるし)
第四講 神の創造と審き
八 イスラームの人間観 / 九 『コーラン』の存在感覚 /
一〇 信仰の概念 /
一一 イスラームの終末観
第五講 『コーラン』のレトリック的構成
一二 レアリスティックな表現レベル / 一三 イマジナルな表現
レベル /
一四 ナラティヴな表現レベル
第六講 終末の形象と表現(その一)
一五 レトリックの言語学 / 一六 『コーラン』の発展と表現意
識 / 一七 終末の描写
第七講 終末の形象と表現(その二)
一八 レトリックの重層性 / 一九 終末の概念とイマージュ
第八講 実存的宗教から歴史的宗教へ
二〇 神の奴隷 / 二一 アブラハムの宗教
第九講 「存在の夜」の感触
二二 存在の夜 / 二三 預言者と預言現象
第十講 啓示と預言
二四 啓示の構造 / 二五 神の導きの二面性 / 二六 質問に
こたえて
後 記
解 題 木下雄介
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