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移動と記述の中近世史地中海世界の旅人

地中海世界の旅人 移動と記述の中近世史

A5判 328ページ 上製
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-7664-2129-3 C3022
奥付の初版発行年月:2014年04月 / 発売日:2014年04月上旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

私には旅に出る理由がある

▼サファヴィー朝のシャー・アッバースの外交使節としてモスクワ、さらには白海を経由して中欧、イタリア、南仏を歴訪し、スペインのヴァリャドリードでシーア派からカトリックに改宗して「ペルシアのドン・フアン」となったウルチ・ベク――。
メッカ巡礼を中心に据えつつ三大陸を巡る前人未到の大旅行を達成し、広域に関する貴重情報を豊富に含む異色のリフラを残したイブン・バットゥータ――。

▼10世紀~17世紀。西アジアや北アフリカ、そしてヨーロッパを旅した人々は、その情景、自身の思索、異文化との接触交流をいかに記述したのか。

▼遺された多様な史料から、彼らを取り巻く世界や時代の刻印を読み解いてゆく。

著者プロフィール

長谷部 史彦(ハセベ フミヒコ)

1962年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学文学部教授。専攻は、アラブ社会史。主著に『ナイル・デルタの環境と文明Ⅰ・Ⅱ』(編著、早稲田大学イスラーム地域研究機構、2012-13年)、『中世環地中海圏都市の救貧』(編著、慶應義塾大学出版会、2004年)、佐藤次高編『西アジア史Ⅰ アラブ』〈新版世界各国史8〉(共著、山川出版社、2002年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

【編著者】
長谷部 史彦(はせべ ふみひこ)
慶應義塾大学文学部教授。専攻は、アラブ社会史。

(掲載順)
【著者】
関 哲行(せき てつゆき)
1950年生まれ。上智大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、流通経済大学社会学部教授。専攻は、中近世スペイン史。主著に『スペインのユダヤ人』(山川出版社、2003年)、『スペイン巡礼史――「地の果ての聖地」を辿る』(講談社現代新書、2006年)、『旅する人びと』(岩波書店、2009年)などがある。

佐藤健太郎(さとう けんたろう)
1969年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授。専攻は、マグリブ・アンダルス史。主著に関哲行・立石博高・中塚次郎編『世界歴史大系 スペイン史1 古代~近世』(共著、山川出版社、2008年)、私市正年・佐藤健太郎編『モロッコを知るための65章』(共編著、明石書店、2007年)などがある。

藤井真生(ふじい まさお)
1973年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。現在、静岡大学人文社会科学部准教授。専攻は、中世チェコ史。著書に『中世チェコ国家の誕生――君主・貴族・共同体』(昭和堂、2014年)、主要論文に「中世チェコにおけるアルコール飲料――都市とビールの結びつき」(白幡洋三郎・錦仁・原田信男編『都市歴史博覧――都市文化のなりたち・しくみ・たのしみ』笠間書院、2011年)などがある。

岩波敦子(いわなみ あつこ)
1962年生まれ。ベルリン自由大学博士課程修了。Dr.phil. 現在、慶應義塾大学理工学部教授。専攻は、ヨーロッパ中世史。主著に “memoria et oblivio. Die Entwicklung des Begriffs memoria in Bischofs- und Herrscherurkunden des Hochmittelalters” (Berlin, 2004)、『誓いの精神史 中世ヨーロッパの〈ことば〉と〈こころ〉』(講談社選書メチエ、2007年)、『精神史における言語の創造力と多様性』(納富信留・岩波敦子編著、慶應義塾大学出版会、2008年)などがある。

神崎忠明(かんざき ただあき)
1957年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、慶應義塾大学文学部教授。専攻は、西洋教会史。主要論文に「『ヴェッテイヌスの幻視 Visio Wettini 』について――中世ヨーロッパにおける夢の役割」(『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』26、1994年)などがある。

藤木健二(ふじき けんじ)
1976年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学文学部助教。専攻は、オスマン帝国史・中東都市社会史。主要論文に「18世紀イスタンブルにおける靴革流通と靴革商組合」(『史学』82巻3号、2013年)などがある。

櫻井康人(さくらい やすと) 
1971年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。現在、東北学院大学文学部教授。専攻は、十字軍史・十字軍国家史。主要論文に、「エルサレム王国における『他者』との結婚」(渡辺昭一編『ヨーロピアン・グローバリゼーションの歴史的位相――「自己」と「他者」の関係史』勉誠出版、2013年)、「マルシリオ・ゾルジの『報告書』に見るフランク人の現地人支配」(『史潮』新74号、2013年)などがある。

太田啓子(おおた けいこ)
1972年生まれ。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。博士(人文科学)。現在、公益財団法人 東洋文庫・若手研究員。専攻は、アラブ史。主要論文に“The Meccan Sharifate and its diplomatic relations in the Bahri Mamluk period,” Annals of Japan Association for Middle East Studies 17/1, 2002、「メッカ・シャリーフ政権と紅海貿易――中継港ジッダの興隆とマムルーク朝の対ヒジャーズ政策」(博士論文・お茶の水女子大学大学院人間文化研究科、2008年3月提出)などがある。

森本一夫(もりもと かずお)
1970年生まれ。テヘラン大学人文学部博士課程中退。博士(文学)。現在、東京大学大学院情報学環准教授(東洋文化研究所兼任)。専攻は、イスラーム史、イラン史。主著に Sayyids and Sharifs in Muslim Societies: The Living Links to the Prophet (London & New York: Routledge, 2012; 編著)、『聖なる家族――ムハンマド一族』(山川出版社、2010)などがある。

守川知子(もりかわ ともこ)
1972年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授。専攻は、西アジア史、イラン社会史。主著に『シーア派聖地参詣の研究』(京都大学学術出版会、2007年)などがある。

栗山保之(くりやま やすゆき)
1968年生まれ。中央大学大学院文学研究科博士課程退学。博士(史学)。現在、東洋大学文学部非常勤講師。専攻は、イエメン史・インド洋海域史。主著に『海と共にある歴史――イエメン海上交流史の研究』(中央大学出版部、2012年)、論文「イエメン・ラスール朝時代のアデン港税関」(『東方学』 210号、2010年)などがある。

目次

序  長谷部史彦

中近世イベリア半島における宗教的マイノリティーの移動
 ――ユダヤ人とコンベルソ、マラーノを中心に  関 哲行

17世紀モリスコの旅行記
 ――ハジャリーのイスラーム再確認の旅  佐藤健太郎

イタリア司教の目に映った15世紀のチェコ
 ――エネアのボヘミア・レポートとその背景  藤井 真生

学知の旅、写本の旅 
 ――中世地中海世界における科学知の継受と伝播  岩波 敦子

『ローマの都の驚異』考
 ――「ガイドブック」あるいは政治的文書  神崎 忠昭

近世オスマン帝国の旅と旅人 
 ――エヴリヤ・チェレビーを中心に  藤木 健二

イブン・バットゥータの旅行記におけるナイル・デルタ情報の虚実
長谷部史彦

14世紀~16世紀前半の聖地巡礼記に見る「聖墳墓の騎士」
 ――儀礼へのフランチェスコ会の関与過程を中心に  櫻井 康人

中世のメッカ巡礼と医療
 ――クスター・イブン・ルーカーの巡礼医学書の記述から
   太田 啓子

ナーセル・ホスロウとその『旅行記』
 ――屋上に牛はいたのか  森本 一夫

地中海を旅した二人の改宗者
 ――イラン人カトリック信徒とアルメニア人シーア派ムスリム
   守川 知子

インド洋船旅の風
 ――ポルトガル来航期におけるアラブの航海技術研究の一齣
   栗山 保之



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