慶應義塾大学教養研究センター選書14
ベースボールを読む
価格:770円 (消費税:70円)
ISBN978-4-7664-2138-5 C0336
奥付の初版発行年月:2014年04月 / 発売日:2014年04月中旬
小説・映画から野球文化を読み解く。
アメリカの「国民的遊戯」と称されるベースボールが文学作品や映像作品で表現される際に見られる特徴を分析し、そこに透けて見えるアメリカ文化の姿、人々の希望と欲望、そして“神話”としてのベースボールを考察する。
吉田 恭子(ヨシダ キョウコ)
慶應義塾大学文学部准教授。1969年生まれ。福岡県出身。1994年京都大学文学部卒業、1996年同人間環境研究科博士前期課程修了、2001年ウィスコンシン大学ミルウォーキー校英文学科創作専攻博士号取得。英語による創作のかたわら、戦後のアメリカ小説に創作科教育が与えた影響を中心に、現代英語小説の研究を行っている。短編集 Disorientalism (Vagabond Press, 2014)、共著に『悪夢への変貌――作家たちの見たアメリカ』(松籟社, 2010)、『現代作家ガイド6 カート・ヴォネガット』(彩流社, 2012)などがある。日本の実験的現代詩と戯曲の翻訳も続けており、野村喜和夫対訳詩集 Spectacle & Pigsty (Forrest Ganderと共訳。OmniDawn, 2011. ロチェスター大学最優秀翻訳書賞詩部門受賞)、松田正隆 PARK CITY (YCAM, 2010)などを英訳している。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに――野球例外主義
第1章 ベースボールの履歴書――裏通りから巨大ビジネスへ
バット・アンド・ボール・ゲーム
遊戯の職業化
ニグロリーグ
デッドボールからライヴボールへ
戦争と野球
拡張の時代
――ナショナル・パスタイムからインターナショナル・パスタイムへ
遊戯の精神――メジャーだけがベースボールじゃない
第2章 ベースボールの文化表象
パストラルの詩学
郷愁と風刺
皮肉と感傷
神話と野球文学
マジック・リアリズム
第3章 「なぜ書くか」をいかに読むか
―― 隠喩媒体としてのベースボール
イノセンス
めぐる季節
ノスタルジア
逸話が伝える記憶
パストラルの時空間
マジック・リアリズム
野球と民主主義
アメリカの夢、アメリカ人の条件
野球文学の水脈
第4章 最初の野球映画「最期の試合」
国民的遊戯の創生
走れ、ウィリアム
10人のインディアン――消えゆく先住民たち
文化的食人――人間からシンボルへ
ネイティヴ・アメリカン・パスタイム
第5章 フィールド・オブ・アメリカン・ドリームス
父と子の和解の物語
テイク・ミー・トゥー・カムデン・ヤーズ
幸せは緑色
J・D・サリンジャーからテレンス・マンへ
ジェイムズ・アール・ジョーンズの数奇な野球人生
見えない人間たち
おわりに ――野球の明白なる運命
読書案内――ベースボールをさらに読む50点