「移民国家ドイツ」の難民庇護政策
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-7664-2166-8 C3036
奥付の初版発行年月:2014年10月 / 発売日:2014年10月中旬
ドイツにおける難民政策の変遷を分析。
移民国家としての歩を進めることで、ドイツの移民政策・難民保護はどのように変化していったのか? 市民社会の庇護、国家レベルの政策、EUレベルの共通移民政策を検討することで明らかにするとともに、移民の権利保護が拡大する一方で、強化された難民・非正規移民の管理・取り締まりの実態から、新たな包摂と排除を論ずる。
昔農 英明(セキノウ ヒデアキ)
1980年北海道生まれ。2011年慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は国際社会学。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て、現在、一橋大学などで非常勤講師。
主要業績として「セキュリティ対策としての移民統合 ―― 2000年代におけるドイツの事例」『社会学評論』65(1)、2014年など。
目次
はじめに
第Ⅰ部 脱国家化・超国家化と再国家化の間で揺れ動く西欧諸国の移民
政策
第1章 人の移動と国民国家の境界
1 人権保護体制の確立と国家主権の衰退?
2 研究方法と調査の概要
3 移民国家と「非移民国家」 ―― 分析概念の整理
4 ドイツ移民研究への2つの研究アプローチ
第2章 超国家化と再国家化の中での西欧諸国の移民政策
1 はじめに
2 移民政策の意図せざる帰結と移民への権利付与
3 西欧諸国における移民政策の再編
4 移民政策における超国家化と再国家化
5 おわりに ―― 西欧諸国の移民政策にみられるジレンマ
第Ⅱ部 「非移民国家」ドイツにおける難民庇護政策と教会アジール
第3章 「非移民国家」における難民庇護と制限の論理
1 はじめに ―― 冷戦期における「寛大な」難民庇護
2 「経済難民」の増加と「庇護の濫用」
3 「非移民国家」における難民受け入れ制限
4 基本法庇護権規定改正の妥協の成立
5 おわりに
第4章 国家のアジールと教会のアジール
1 はじめに
2 アジール概念の歴史的な変遷
3 現代における教会アジールのアウトライン
4 教会アジールをめぐる国家と市民社会の対立・論争の構図
5 おわりに
第5章 「監獄」に閉じ込められる難民
―― 脱国家・超国境の研究アプローチの再考
1 はじめに
2 教会アジールと市民社会
3 「親しい間柄における監獄」
4 再国家化と超国境の不自由な移動の促進
5 おわりに
第6章 難民庇護の可視化と保護制度の「民主化」
1 はじめに
2 教区市民の教会アジール実施の動機
3 国境管理領域の「民主化」へ
4 対抗的公共圏としての教会アジールと国家の論理
5 おわりに
第Ⅲ部 移民国家ドイツにおける難民庇護
第7章 選別的な移民の受け入れと統合政策の構築
1 はじめに
2 選別的な移民受け入れ
3 「世界に開かれた寛容な社会」という論理
4 おわりに
第8章 「ヨーロッパの境界」にもとづく移民受け入れと排除の論理
1 はじめに
2 「望ましい移民」の受け入れ拡大
3 EUにおける国家横断的な難民・非正規移民の管理・取り締まり政策
―― 難民・非正規移民像のステレオタイプの強化
4 普遍主義をよそおった人種差別
5 おわりに
第9章 ドイツへの残留と出身国送還の狭間におかれる難民
1 はじめに
2 事実上の難民に対する救済策
3 自己統治能力を求められる難民
4 超国家化と再国家化の中での教会アジール
5 おわりに
第10章 脱国家化・超国家化と再国家化の間で揺れ動く難民庇護
1 はじめに
2 脱国家化・超国家化と再国家化の中での難民庇護
3 難民の主体性の確立に向けて
あとがき
資料ならびに参考文献一覧
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