日本経済の課題と針路 経済政策の理論・実証分析
価格:4,840円 (消費税:440円)
ISBN978-4-7664-2204-7 C3331
奥付の初版発行年月:2015年03月 / 発売日:2015年03月下旬
▼激変する世界経済の中で苦闘を続ける日本。
過去四半世紀の政策効果を分析・評価し、経済回復の方策を提示する。
日本経済は、不良債権問題、財政の悪化、経済成長の減速、新興国経済の台頭、自然環境問題といったさまざまな課題に直面し、その対応に追われてきた。
過去四半世紀の経済政策は果たして正しかったのだろうか。
日本の重要課題をとりあげ、最先端の経済理論と統計手法を駆使して分析・評価し、財政・金融の両面から日本経済復活への知見を提供する。
吉野 直行(ヨシノ ナオユキ)
アジア開発銀行研究所所長、慶應義塾大学名誉教授
1973年東北大学経済学部卒業、1975年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、1979年ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。Ph.D. in Economics。2004年スウェーデン/ヨーテボリ大学名誉博士、2013年ドイツ/マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク名誉博士。1979年ニューヨーク州立大学経済学部助教授、1982年埼玉大学大学院政策科学研究科助教授、1990年慶應義塾大学経済学部助教授、1991年同教授を経て、2014年より現職。専門は、マクロ経済学、金融財政政策。
主な業績:“An ‘Expanded Equation’ Approach to Weak-Exogeneity Tests in Structural Systems and a Monetary Application”, co-authored, Review of Economics and Statistics, 72(1), 1990; Postal Savings and Fiscal Investment in Japan, co-authored, Oxford University Press, 2004 ; Hometown Investment Trust Funds, co-edited, Springer, 2013 ほか。
亀田 啓悟(カメダ ケイゴ)
関西学院大学総合政策学部准教授
1993年慶應義塾大学経済学部卒業、1996年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、1998年同博士課程中途退学。博士(経済学)。1993年東京銀行入行、1996年慶應義塾大学経済学部研究助手、1998年新潟大学経済学部講師、1999年同助教授、2006年関西学院大学総合政策学部助教授を経て、2007年より現職。専門は、公共経済学、マクロ経済学。
主要業績:“Preestablished Harmony: The Japanese Government’s Demand for Japanese Government Bonds”,co-authored, Japan and the World Economy, 24(3), 2012; “What Causes Changes in the Effects of Fiscal Policy? A Case Study of Japan”, Japan and the World Economy, 31, 2014; “Budget Deficits, Government Debt and Long-term Interest Rates in Japan”, Journal of the Japanese and International Economies, 32, 2014 ほか。
中東 雅樹(ナカヒガシ マサキ)
新潟大学人文社会・教育科学系准教授
1996年慶應義塾大学経済学部卒業、1998年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2001年同博士課程単位取得退学。2001年日本学術振興会特別研究員、2002年財務省財務総合政策研究所研究官、2004年千葉経済大学経済学部専任講師、2006年新潟大学経済学部助教授を経て、2007年より現職。専門は、財政学。
主要業績:『日本の社会資本の生産力効果』三菱経済研究所、2003年;“The Role of Infrastructure in Economic Development”, co-authored. ICFAI Journal of Managerial Economics, 2(2), 2004; 「三大都市圏における社会資本整備の経済効率性からみた評価」『財政研究』第9巻、共著、2013年 ほか。
中田 真佐男(ナカタ マサオ)
成城大学経済学部教授
1995年慶應義塾大学経済学部卒業、1997年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2000年同博士課程単位取得退学。博士(経済学)。2001年千葉経済大学経済学部専任講師、2004年財務省財務総合政策研究所主任研究官、2007年九州大学大学院経済学研究院准教授、2011年成城大学経済学部准教授を経て、2012年より現職。専門は、金融論。
主要業績:「財政投資融資制度の変革と政府債務 ―― わが国資金循環の構造変化が政府債務に及ぼす影響」『フィナンシャル・レビュー』第79号、2005年;“Public Debt and the Macroeconomic Stability in Japan”, co-authored, Public Policy Review, 1(1), 2005; 「電子マネー決済の現状と課題」『月刊金融ジャーナル』第54巻第6号、2013年 ほか。
【編著者】
吉野直行(よしの なおゆき)〔第1章、第16章〕
アジア開発銀行研究所所長、慶應義塾大学名誉教授
亀田啓悟(かめだ けいご)〔第2章〕
関西学院大学総合政策学部准教授
中東雅樹(なかひがし まさき)〔第5章〕
新潟大学人文社会・教育科学系准教授
中田真佐男(なかた まさお)〔第14章〕
成城大学経済学部教授
【執筆者】
溝口哲郎(みぞぐち てつろう)〔第1章〕
麗澤大学経済学部准教授
1997年慶應義塾大学経済学部卒業、1999年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2008年オタワ大学経済学部博士課程修了。Ph.D. in Economics。2008年京都大学経済研究所研究員(慶應―京大グローバルCOE)、2009年慶應義塾大学経済学部特別研究講師、2011年麗澤大学経済学部助教を経て、2013年より現職。専門は、公共経済学、応用ミクロ経済学。
主要業績:『国家統治の質に関する経済分析』三菱経済研究所、2011年; “Amakudari: The Role of the Post-Retirement Employment of Bureaucrat in Japan”, co-authored, Journal of Public Economic Theory, 14(5), 2012; “Corruption in Public Procurement Market”, co-authored, Pacific Economic Review, 19(5), 2014 ほか。
江口允崇(えぐち まさたか)〔第3章〕
駒澤大学経済学部講師
2004年青山学院大学経済学部卒業、2006年中央大学大学院経済学研究科修士課程修了、2010年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。2008年三菱経済研究所研究員、2010年慶應義塾大学経済学部助教を経て、2013年より現職。専門は、財政学、マクロ経済。
主要業績:「担保可能性(pledgeability)と融資配分の非効率性」『金融経済研究』第31号、2010年;『動学的一般均衡モデルによる財政政策の分析』三菱経済研究所、2011年;“Optimal Monetary Policy in an Estimated Local Currency Pricing Model”, co-authored, Advances in Econometrics, 28, 2012 ほか。
高野哲彰(たかの てつあき)〔第3章〕
日本経済研究センター研究員
2011年慶應義塾大学経済学部卒業、2013年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。2013年日本経済研究センター研究本部を経て、2014年より現職。専門は、マクロ経済学。
主要業績:『将来推計の抜本見直しを ―― 日本の経済財政社会保障に関する将来推計の課題と将来像』共著、東京財団政策提言、2012年 ほか。
佐藤格(さとう いたる)〔第4章〕
国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部第1室長
2000年慶應義塾大学経済学部卒業、2002年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2005年同博士課程単位取得退学。2005年国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部研究員を経て、2012年より現職。専門は、マクロ経済学、財政論。
主要業績:「OLGモデルによる社会保障の分析」『社会保障の計量モデル分析 ―― これからの年金・医療・介護』東京大学出版会、2010年;「経済前提の変化が年金財政に及ぼす中長期的影響 ―― マクロ計量モデルによる年金財政の見通し」『季刊社会保障研究』第46巻第1号、2010年;「財政・社会保障改革に関するシミュレーション分析」『財政再建の道筋 ―― 震災を超えて次世代に健全な財政を引継ぐために』総合研究開発機構、2011年 ほか。
近藤春生(こんどう はるお)〔第6章〕
西南学院大学経済学部准教授
2003年慶應義塾大学経済学部卒業、2005年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。博士(経済学)。2005年慶應義塾大学経済学部研究助手、2006年財務省財務総合政策研究所研究官、2008年西南学院大学経済学部講師を経て、2010年より現職。専門は、財政学。
主要業績:「社会資本整備における政治経済学的側面」『フィナンシャル・レビュー』第89巻、2008年;「公的支出の地域経済への効果」『財政研究』第7巻、2011年;“Government Transparency and Expenditure in the Rent-Seeking Industry: The Case of Japan for 1998-2004”, co-authored, Contemporary Economic Policy, 31(3), 2013 ほか。
井深陽子(いぶか ようこ)〔第7章〕
東北大学大学院経済学研究科准教授
2000年慶應義塾大学経済学部卒業、2002年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2008年ラトガース大学博士課程修了。Ph.D. in Economics。2008年イェール大学公衆衛生大学院博士研究員、2011年一橋大学大学院経済学研究科専任講師、2012年京都大学大学院薬学研究科特定准教授を経て、2013年より現職。専門は、医療経済学。
主要業績:“The Stabilization of an Open Economy with Capital Controls: An Analysis Using Malaysian Data”, co-authored, Asian Economic Papers, 2 (3), 2003; “Impact of Program Scale and Indirect Effects on the Cost-effectiveness of Vaccination Programs”, co-authored, Medical Decision Making, 32(3), 2012; “Free-riding Behavior in Vaccination Decisions: An Experimental Study”, co-authored, PLoS One, 9(1), 2014 ほか。
庄司啓史(しょうじ けいし)〔第7章〕
衆議院憲法審査会事務局参事
2000年東京学芸大学教育学部卒業、2013年一橋大学大学院国際・公共政策教育部専門職学位課程修了。2000年金融庁監督局銀行第一課、2002年衆議院調査局予算調査室調査員、2004年日本経済研究センター金融研究員などを経て、2013年より現職。専門は、財政論。
主要業績:「公的年金改革の検証」『日本金融研究 ―― 金融研究班報告書』共著、日本経済研究センター、2004年;「中高年者の受診行動 ―― 身体機能との関係から」『統計』共著、2013年;「海外市場情報と輸出開始 ―― 情報提供者としての取引銀行の役割」『経済分析』第188号、共著、2014年ほか。
鈴木彩子(すずき あやこ)〔第8章〕
早稲田大学国際教養学部准教授
1994年慶應義塾大学経済学部卒業、2006年ジョンズ・ポプキンス大学大学院博士課程修了。Ph.D. in Economics。1994年あさひ銀行入行、2006年大阪大学社会経済研究所専任講師、2008年早稲田大学国際教養学部専任講師を経て、2014年より現職。専門は、産業組織論。
主要業績:“ The Basket-Peg, Dollar-Peg, and Floating: A Comparative Analysis”, co-authored, Journal of the Japanese and International Economies, 18(2), 2004; “Market Foreclosure and Vertical Merger: A Case Study of the Vertical Merger between Turner Broadcasting and Time Warner”, International Journal of Industrial Organization, 27(4), 2009; “Yardstick Competition to Elicit Private Information : An Empirical Analysis”, Review of Industrial Organization, 40(4), 2012 など。
和田良子(わだ りょうこ)〔第9章〕
敬愛大学経済学部教授
1987年慶應義塾大学経済学部卒業、1989年同大学大学院商学研究科修士課程修了、1999年同博士課程単位取得退学。1989年富士総合研究所研究員、1999年敬愛大学専任講師、2003年同助教授を経て、2011年より現職。専門は、実験経済学、実験ファイナンス。
主要業績:Experimental Analysis of Decision Making : Choice Over Time and Attitude toward Ambiguity, 白桃書房, 2007; “Separation of Intertemporal Substitution and Time Preference Rate From Risk Aversion: Experimental Analysis With Reward Designs”, Developments on Experimental Economics: New Approaches to Solving Real-world Problems, co-authored, Springer, 2007; “Choice with Imprecise Information: An Experimental Approach”, co-authored, Theory and Decision, 69(3), 2010 ほか。
佐藤祐己(さとう ゆうき)〔第10章〕
ローザンヌ大学助教、スイス金融研究所(SFI)研究員
2001年慶應義塾大学経済学部卒業、2003年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2006年ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン修士課程修了、2011年よりロンドン・スクール・オブ・エコノミクス博士課程修了。Ph.D. in Economics。2011年より現職。専門は、金融理論。
主要業績:“Opacity in Financial Markets”, Review of Financial Studies, 27(12), 2014ほか。
永田〔島袋〕伊津子(ながた〔しまぶくろ〕 いつこ)〔第11章〕
沖縄国際大学経済学部准教授
1998年横浜国立大学経営学部卒業、2000年慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了、2003年同博士課程単位取得退学。2003年学術振興会特別研究員、2004年財務総合政策研究所研究官、2006年沖縄国際大学経済学部専任講師を経て、2010年より現職。専門は、金融論。
主要業績:「貸出のレントと邦銀の海外業務」『アジア金融危機とマクロ経済政策』共著、慶應義塾大学出版会、2004年;「銀行貸出におけるスイッチング・コストの推定 ―― 信用金庫データを用いて」『沖縄国際大学経済論集』第6巻第1号、2009年;「リレーションシップ構築コストと金利に関する実証分析」『經濟學研究』第76巻第5号、2010年ほか。
飯島高雄(いいじま たかお)〔第11章〕
近畿大学産業理工学部准教授
1994年慶應義塾大学経済学部卒業、2000年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2003年同博士課程単位取得退学。博士(経済学)。2004年慶應義塾大学21世紀COEプログラム研究員(PD)、2006年金融庁金融研究研修センター研究員を経て、2008年より現職。専門は、韓国経済論、金融論。
主要業績:『日韓経済システムの比較制度分析』共著、日本経済新聞社、2001年;『韓国「構造改革」の理論分析』三菱経済研究所、2004年;「バブルとアジアの資本移動変化」『不良債権と金融危機』共著、慶應義塾大学出版会、2009年ほか。
関野雅弘(せきの まさひろ)〔第12章〕
2012年慶應義塾大学商学部卒業、2014年同大学大学院商学研究科修士課程修了。2014年より民間企業に勤務。専門は、計量経済学。
渡部和孝(わたなべ わこう)〔第12章〕
慶應義塾大学商学部教授
1995年慶應義塾大学経済学部卒業、1999年プリンストン大学大学院経済学研究科修士課程修了。2003年同博士課程修了。Ph.D. in Economics。1995年総務省入省、2003年大阪大学社会経済研究所講師、2005年東北大学経済学研究科助教授、2007年慶應義塾大学商学部准教授を経て、2013年より現職。専門は、銀行行動、企業金融、応用マクロ経済学。
主要業績:“Why Do People Save? A Micro-Analysis of Motives for Household Saving in Japan”, co-authored, Economic Journal, 107(442), 1997; “Prudential Regulation and the “Credit Crunch”:Evidence from Japan”, Journal of Money, Credit and Banking, 39(2-3), 2007; “Foreign Direct Investment and Regulatory Remedies for Banking Crises : Lessons from Japan”, Journal of International Business Studies, 42(7), 2011 ほか。
塚原一郎(つかはら いちろう)〔第13章〕
福山大学経済学部准教授
2001年慶應義塾大学経済学部卒業、2003年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2009年同博士課程修了。博士(経済学)。2009年福山大学経済学部専任講師を経て、2011年より現職。専門は、金融論、計量経済学。
主要業績:『日本の家計の資産選択行動に関する実証分析』三菱経済研究所、2009年;「株式投資をする家計の特徴」『福山大学経済学論集』第35巻第1号、2010年;「家計の金融資産構成の特徴と要因」『季刊個人金融』2014年夏号、2014年ほか。
矢口和宏(やぐち かずひろ)〔第15章〕
東北文化学園大学総合政策学部准教授
1992年法政大学経済学部卒業、1994年慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了、1998年同博士課程単位取得退学。1994年ライフデザイン研究所(現 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部)研究員、1999年東北文化学園大学総合政策学部専任講師、2004年同大学助教授を経て、2007年より現職。専門は、経済政策論。
主要業績:「不動産証券化の財務指標と不良債権処理に与える影響」『LDI-REPORT 2002.1』2002年;「不動産証券化が不動産の流動化に与える影響」『経済政策ジャーナル』第6巻第2号、2009年;『ECO シティ』共著、中央経済社、2010年ほか。
嘉治佐保子(かじ さほこ)〔第16章〕
慶應義塾大学経済学部教授、PCP Co-ordinator
1982年慶應義塾大学経済学部卒業、1984年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、同大学経済学部助手、1985年ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程入学、1988年イェール大学経済学部訪問大学院生。1992年ジョンズ・ホプキンス大学大学院修了。Ph.D. in Economics。1991年慶應義塾大学経済学部助教授、1999年慶應義塾大学経済学部教授、2006年より同大学経済学部Professional Career Programme(PCP) Co-ordinator兼務。専門は、欧州経済、国際マクロ経済学。
主要業績:『国際通貨体制の経済学――ユーロ・アジア・日本』日本経済新聞社、2004年;『ユーロ危機で日本はどうなるのか』日本経済新聞社、2012年; “Who Will Provide the Next Financial Model? : Asia’s Financial Muscle and Europe’s Financial Maturity”, co-edited, Springer, 2013 ほか。
阿曽沼多聞(あそぬま たもん)〔第16章〕
国際通貨基金(IMF) エコノミスト
2003年慶應義塾大学経済学部卒業、2005年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2011年ボストン大学大学院博士課程修了。Ph.D. in Economics。2005年慶應義塾大学経済学部研究助手を経て、2010年より現職。2014年ボストン大学経済学部訪問研究員。専門は、国際金融論、国際マクロ、対外債務(Sovereign Debt)
主要業績:“Choices of Optimal Monetary Policy Instruments under the Floating and the Basket-peg Regimes”, co-authored, Singapore Economic Review, 57(4), 2012; “Dynamic Transition of Exchange Rate Regime China”, co-authored, China & World Economy, 22(3), 2014; “Dynamic Analysis of the Exchange Rate Regime: Policy Implications for Emerging Countries in East Asia”, co-authored, Review of Development Economics, forthcoming ほか。
目次
序
第Ⅰ部 財政・公共経済の理論・実証分析
第1章 財政の持続可能性を考慮に入れた最適財政政策ルール
吉野直行・溝口哲郎
第1節 はじめに
第2節 日本の債務問題の概観
1 粗債務残高と純債務残高
2 日本国債の増勢とその市場消化手段について
3 国債の需要主体
第3節 なぜ、これまで日本の国債市場は安定してきたのか?
第4節 財政の持続可能性の条件(ドーマー条件とボーン条件)
1 ドーマー条件
2 ボーン条件
第5節 財政不安定化の経路と財政ルール構築の必要性
第6節 政策的含意とおわりに
第2章 ケインズ効果 vs. 非ケインズ効果
―― near - VARからの接近 亀田啓悟
第1節 はじめに
第2節 ケインズ効果・非ケインズ効果の理論
第3節 分析方法とデータ
第4節 実証分析
1 プレリミナリーな分析
2 インパルス反応関数
3 分析の拡張
第5節 政策的インプリケーション
補論1 デ―タについて
補論2 構造形ショックの識別方法について
補論3 拡張分析に利用したデータの作成方法
第3章 金融市場の不完全性下における財政政策の効果
―― 真水か政府貸出か 江口允崇・高野哲彰
第1節 はじめに
第2節 モデル
1 家計
2 企業家と金融仲介機関
3 中間財企業
4 最終財企業
5 資本財企業
6 政府
7 中央銀行
8 集計
第3節 カリブレーション
1 パラメータの設定
2 シミュレーション
第4節 推定
1 データ
2 事前分布の設定
3 推定結果
第5節 おわりに
第4章 雇用延長が年金財政や家計の厚生に与える影響の世代重複モデル
による分析 佐藤格
第1節 はじめに
第2節 モデルの構造
1 モデルの概要
2 経済主体の行動
第3節 シミュレーションの方法
1 定常状態と移行過程の確定
2 パラメータの設定
3 シミュレーションの方法
第4節 シミュレーションのケース分けと結果
1 シミュレーションのケース分け
2 シミュレーションの結果
第5節 結論と今後の課題
第5章 社会資本の老朽化と生産力効果 中東雅樹
第1節 はじめに
第2節 社会資本の老朽化と生産力効果に関する先行研究
第3節 日本の社会資本の老朽化の現状
第4節 社会資本を含めた生産関数モデルの提示
1 推計モデルの提示
2 社会資本の生産力効果の推定方法
3 推計に使用するデータ
第5節 社会資本の生産力効果の推定結果
第6節 おわりに
第6章 道路投資と自民党の利益誘導政治
―― 動学パネルによる再検討 近藤春生
第1節 はじめに
第2節 実証分析の論点
第3節 実証分析の枠組みとデータ
1 実証分析の枠組み
2 変数の定義とデータ
第4節 推定結果
1 基本推定
2 追加推定(マクロ経済の影響と政治的景気循環)
第5節 おわりに
第7章 医療保険の自己負担率と受診行動
―― 疾病ごとの相違 井深陽子・庄司啓史
第1節 はじめに
第2節 データと分析手法
1 分析手法
2 変数
3 推定方法
4 頑健性チェック
第3節 結果
1 自己負担率の低下と受信行動
2 自己負担率の低下と受信行動(疾病ごとの分析)
3 頑健性チェック
第4節 おわりに
第8章 情報の非対称性のもとでのインセンティブ規制についての考察
鈴木彩子
第1節 はじめに
第2節 インセンティブ規制の理論研究
第3節 インセンティブ規制の実証分析の流れ
第4節 ヤードスティック規制の実証研究例
1 都市ガス供給事業における料金規制とヤードスティック査定
2 モデル
3 データと推計結果
4 ヤードスティック査定の効果
第5節 おわりに
第9章 消費の異時点間代替性が環境評価に及ぼす影響
―― 谷津干潟の事例より 和田良子
第1節 はじめに
第2節 仮想法(CVM)による環境評価の位置づけと概説
第3節 先行研究と本研究との関係
1 CVMの正当性についての先行研究と時間に関する感応性
2 日本の干潟についての先行研究
第4節 研究手法
1 環境評価の対象の選定
2 実験手順
3 仮想法のシナリオおよびサーベイ
第5節 実証結果
1 実験データと基本属性
2 質問への回答分布
3 推定結果
第6節 おわりに
第Ⅱ部 金融の理論・実証分析
第10章 金融仲介における不透明性 佐藤祐己
第1節 はじめに
第2節 モデル
第3節 透明性の高いファンド
第4節 不透明なファンド
第5節 経済厚生
第6節 おわりに
第11章 金融検査が銀行行動に与える影響
―― 金融円滑化法を事例として 永田(島袋)伊津子・飯島高雄
第1節 はじめに
第2節 先行研究
第3節 金融行政の変遷
1 金融行政における目標の複線化
2 金融円滑化法
第4節 理論的考察
第5節 推定モデルとデータ
第6節 推定結果
第7節 おわりに
第12章 クレジットクランチ期における政府系金融機関による民間銀行
融資代替の検証 関野雅弘・渡部和孝
第1節 はじめに
第2節 クレジットクランチと政策対応手段について
1 クレジットクランチ
2 1990年代後半の日本におけるクレジットクランチ
3 日本における政府系金融機関を利用したクレジットクランチへの
政策的対応
第3節 データと分析方法
1 データ
2 仮説の設定と分析モデル
第4節 分析結果
1 記述統計量
2 推計結果
3 被説明変数を総資産で相対化した場合の分析
第5節 まとめと今後の課題
付録 データの加工方法の説明
第13章 株価変動が家計の資産選択行動に及ぼす影響 塚原一郎
第1節 はじめに
第2節 理論モデル
第3節 利用データとその特徴
第4節 推定
第5節 おわりに
第14章 消費者の決済手段選択行動
―― 個票調査による実証分析 中田真佐男
第1節 はじめに
第2節 電子マネーの利用実態に関するアンケート調査
第3節 複数決済手段の選択理論
1 先行研究
2 決済手段の利用に伴う取引費用
3 複数決済手段の並存
4 電子マネーの普及が既存の決済手段の「棲み分け」に及ぼす影響
第4節 実証分析
1 先行研究と本分析の特徴
2 Ordered Probitモデルによる推定
第5節 おわりに
第15章 不動産証券化が財務指標に与える影響 矢口和宏
第1節 はじめに
第2節 先行研究のサーベイ
第3節 不動産証券化のしくみ
第4節 財務指標に与える影響の理論分析(1期間のケース)
1 モデルの展開
2 財務指標への影響
第5節 財務指標に与える影響の理論分析(多期間のケース)
第6節 財務指標に与える影響のシミュレーション
第7節 おわりに
第16章 中国の為替レートの現状と最適為替制度への移行に関する動学
分析 吉野直行・嘉治佐保子・阿曽沼多聞
第1節 はじめに
第2節 中国の為替レート変動における実証分析
第3節 小国開放経済モデル
第4節 為替制度
1 厳格な資本移動規制を伴う固定相場制(A)
2 緩やかな資本移動規制を伴うバスケットペッグ制(B)
3 資本移動規制を伴わないバスケットペッグ制(C)
4 資本移動規制を伴わない変動相場制(D)
5 完全資本移動下での固定相場制(E)
第5節 異なる為替制度への移行経路
第6節 定量分析
1 推定結果
2 推定された係数を用いたシミュレーション
第7節 政策提言と結論
索引
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