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ヨーロッパの中世

ヨーロッパの中世

A5判 448ページ 並製
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-7664-2206-1 C3022
奥付の初版発行年月:2015年05月 / 発売日:2015年05月上旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

近現代に結実する、豊穣なる中世

―― 中世とは真に暗黒の時代だったのか。
「ローマ」「キリスト教」「世俗権」「都市」「国民」「科学」など、ヨーロッパの基底となるキーワードから読み解く。

▼ヨーロッパ史を学び直したい人のために。

中世ヨーロッパは確かに暗黒の時代であった。しかし、近代において飛躍するヨーロッパを育んだ豊かな苗床の時代であったともいえる。
「ローマ」「キリスト教」「世俗権(王権・帝権)「都市」「国民」「科学」などのキーワードから中世ヨーロッパ史を読み解き、近代の「人間」の時代へと誘う。

▼中世を読み解くための6つのキーワード

【ローマ】中世人は模範として仰ぎ見た。政治的にも文化的にも深い刻印を残したが、中世は古代ローマの繁栄を1000年以上も超えられなかった。
【キリスト教】中世人の心を絶対的な規範として律した。人々はそのメッセージを遵守し、理想に殉じたが、時に軽んじ、自らの利益を優先した。
【世俗権】君主個人の能力やカリスマに基づいたが、教会との闘争を経て宗教性を減じ、官僚制と軍を備えた近代国家へと脱皮した。
【都市】西欧の復活にともない、社会全体の成長のエンジンとなった。生活を向上させるだけでなく、新興階層を出現させ、新しい文化を生み出した。
【国民】帝国でもなく宗教でもない、ヨーロッパが生み出した新しい統合の絆である。現在に至るまで世界を支配している。
【科学】近現代におけるヨーロッパの繁栄の源泉となった。技術を手がかりに、理論を実験や観測と結びつけ、新しい合理的な世界観を生み出した。
・・・そして【人間】へ・・・

著者プロフィール

神崎 忠昭(カンザキ タダアキ)

略 歴:1957年生まれ。1989年3月慶應義塾大学大学院博士課程単位取得満期退学。慶應義塾大学文学部教授。
専 攻:ヨーロッパ中世史。
主要著作:『地中海世界の旅人 ―― 移動と記述の中近世史』(共著、慶應義塾大学出版会、2014年)、ジャン・ルクレール『修道院文化入門 ―― 学問への愛と神への希求』(共訳、知泉書館、2004年)、「ヴェッティヌスの幻視 Visio Wettiniについて」『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』26、1994年等。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

イントロダクション
 1 時代区分
 2 自然条件

第1章 大いなるローマ
 1 ローマの遺産
 2 キリスト教の成立
 3 後期ローマ帝国
 4 荒れ野に生きる人々

第2章 古代世界の終焉とゲルマン人
 1 侵入
 2 帝国の衰退
 3 統合の模索
 4 ガリア
 5 海の彼方
 6 文化の継承

第3章 フランク王国
 1 メロヴィング朝
 2 カロリング家の台頭
 3 カール大帝
 4 カロリング・ルネサンス
 5 ベネディクト修道士
 6 カロリング家の退潮 

第4章 隣人たち ―― 交流と緊張
 1 コンスタンティノープル
 2 イスラーム
 3 東欧 
 4 ノルマン人

第5章 鉄の時代 ―― 混乱と再編
 1 異民族の侵入
 2 封建制 
 3 荘園と農民
 4 農業革命
 5 平和の回復

第6章 皇帝
 1 オットー朝 
 2 帝国教会政策
 3 11世紀中葉までのローマ教会
 4 カノッサの屈辱

第7章 教皇
 1 聖職者とは
 2 ヒエラルキー
 3 教皇権の「絶頂」
 4 帝国の落日
 5 アナーニ事件

第8章 修道士
 1 クリュニー 
 2 隠修士
 3 シトー会
 4 修道参事会士
 5 戦士のキリスト教化
 6 12世紀ルネサンス

第9章 英仏の葛藤
 1 プランタジネット朝
 2 カペー家
 3 イングランドの混乱と立憲制の萌芽

第10章 都市
 1 都市とは
 2 都市の人々
 3 人とモノの動き
 4 都市の文化
 5 アウトサイダーたち

第11章 新しい宗教生活
 1 異端:ワルド派、カタリ派
 2 托針修道会
 3 知の復興
 4 民衆のキリスト教化

第12章 国民国家
 1 百年戦争
 2 国民国家フランス
 3 バラ戦争:イングランド

第13章 それぞれの国制の模索
 1 帝国からドイツへ
 2 ブルゴーニュ
 3 イタリア
 4 スイス

第14章 隣人から一員へ
 1 北欧
 2 中東欧
 3 レコンキスタ
 4 コンスタンティノープルの落日
 5 帝国の後継者

第15章 中世後期の教会
 1 アヴィニョン教皇庁
 2 教会大分裂
 3 公会議主義運動
 4 「国民教会」に向かって

第16章 衣食住
 1 衣服
 2 食生活
 3 住居

第17章 人の一生
 1 子ども
 2 家族
 3 病気
 4 不安
 5 死

第18章 宗教改革
 1 人文主義
 2 ルター
 3 カール5世
 4 反宗教改革

第19章 近代へ
 1 古代の再発見
 2 大航海時代
 3 技術そして科学
 4 人間性の肯定

エピローグ

人名索引
事項索引

図版出典一覧


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